魔王流保育園経営術、始動
朝の光が差し込む保育園――
マオは鏡の前で名札を直し、深呼吸する。
「今日こそ、園児たちに“私の力”を見せてやる……!」
思いついたのは、魔王流“スーパープレイ”だ。
積み木を空中に浮かせたり、滑り台を魔力で加速させたり――
魔法の力で遊び時間を“最大限楽しくする”計画である。
「ふふふ……これぞ魔王の園長力……!」
その瞬間、園児たちは目を輝かせ、歓声を上げる。
しかし、計画通りにはいかないのが保育園の日常。
滑り台を加速させたら、園児が飛びすぎてマットにダイブ!
積み木を浮かせたら、予想外に壁まで飛んでいき、サクラの頭に直撃!
「園長!?何やってるんですか!?」「危ないじゃないですか!」
サクラとケンジのツッコミが炸裂する中、マオは慌てて魔力を制御。
「……支配ではなく、保護……だと……?」
園児たちは大喜びで、滑り台を何度も滑る。
「もう一回!もう一回!」
「園長、見て見て!」
マオの魔力はまだ不安定で、時折小さな爆発音や煙が上がる。
それでも園児たちは無邪気に笑い、魔王は心の中で戦慄しつつも、少しずつ楽しさを覚え始める。
給食タイムには、魔王の力で食べ物を“自動配膳”させる計画も実行。
しかし、配膳されたご飯が空中で踊り、園児たちは手でキャッチする大混乱に。
ケンジは呆れ顔で、サクラは笑いをこらえながら片付ける。
「……なるほど……支配ではなく、管理……そして笑顔……」
魔王はつぶやく。
悪魔の力で何でもできるのに、ここでは“力を抑える”ことが最も重要だという現実に、少しだけ心が震える。
午後には園庭で小さな“魔王式宝探しイベント”を開催。
魔力で宝箱を浮かせ、園児たちは全力で追いかける。
だが宝箱は次々に宙を舞い、園児たちがぶつかりそうになり、サクラが飛んで助ける。
「園長、ちょっとやりすぎです!!」
マオは息を切らしつつ、心の中で微笑む。
「……なるほど……これが、ゆるふわ保育園経営……」
こうして、魔王流保育園経営術は、大混乱と笑いと、そして少しの達成感で幕を閉じる。
魔王にとって、世界征服よりも難しく、でも充実感に満ちた新たな戦場――
それが保育園だと、はっきりと理解した一日だった。




