保護者参観初挑戦
朝の保育園――
「……本日……恐怖……いや、初めての保護者参観……任務開始……」
泥まみれマントを整え、魔王マオは深呼吸する。
園児たちはいつも以上に元気いっぱい。
「園長ー!今日、ママ来るんだよ!」
リナの目はキラキラ。
ユウトも「僕のお父さん、来る!」と興奮気味。
ハナは抱っこ紐の中で少し緊張しているが、周りの笑顔に安心した表情だ。
魔王は園長室で準備を整える。
「……魔界の支配者としては……想像を絶する……恐怖……いや、挑戦……」
今日は保護者の前で園児たちを紹介し、成長を見てもらう大事な日。
戦場での指揮とは違う――
しかし、守る対象はより愛らしく、混沌の度合いも増すのだった。
バスから保護者が到着すると、園児たちは一斉に駆け寄る。
「ママー!」
「お父さん、こっちだよ!」
笑顔の嵐に、魔王は思わずたじろぐ。
「……人間の小さき者……感情……強烈……」
サクラが手際よく案内する。
「園長、園児たちを一人ずつ紹介してください」
マオは大きく頷き、まずはリナから紹介。
「この小さき者は……リナ……元気……無尽蔵……戦闘力高し……」
親たちは笑いながらツッコミを入れる。
「園長、それは戦闘力じゃなくて元気でしょう!」
魔王、顔を真っ赤にしつつも、次はユウトを紹介。
「ユウト……分析力……高し……泥遊び適性……優秀……」
親は爆笑。
次々と園児を紹介していくうち、マオの言動はどんどん豪快になり、保護者たちのツッコミも絶えない。
「園長、ちょっと言い方が魔界すぎます!」
「でも……面白い……」
園児たちは大笑いし、親たちは微笑む。
魔王の豪快すぎる自己紹介は、想定外の笑いと混乱を生み出したが、同時に園児たちの魅力を引き立てる結果となった。
「……守るべきは……笑顔……混沌……いや、秩序……」
魔王は心の中で呟き、親たちの笑顔に小さく微笑む。
戦場での冷徹な支配者とは違う――
今日の任務は、笑顔と混乱の中で守護力を発揮することなのだ。
保護者参観初日――
泥まみれのマント、紙吹雪まみれの床、笑い声とツッコミの嵐――
これこそ魔王マオにとって新たな戦場であり、園児たちと親の笑顔を守る“ゆるふわ戦場”の始まりだった。




