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転移先は日本でしたが、あまりにも楽しいのでスローライフを目指します!~従者(ヤンデレ)がついてきたので一緒に幸せになる~  作者: 雨宮 叶月
第1章

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第7話 おいしいものを食べます!③

あれから数日、今日は“食べ歩き”に挑戦してみることにした。



数週間前の私なら、「下品」と眉をひそめていたかもしれない。

でも今は、すれ違う人たちが幸せそうに何かを頬張っているのを見るたび、自然と興味が湧いてしまう。


商店街を歩くと、揚げたてのコロッケ、湯気の立つ肉まん、甘いたいやき、ジュワッと音のする焼き鳥……



最初に目をつけたのは、たこ焼き。


「すみません、これ一つください」


受け取ったパックの上では、かつお節が舞っている。


ひとくち。

熱い。とろっとしてて、ソースが濃厚。外は香ばしくて、中はとろける。


「……っ、おいし……!」


周りに人がいたから声を抑えたけれど、思わず目を細めてしまう。




たこ焼きを食べ終え、商店街の角を曲がったところで、甘い香りが鼻をくすぐった。


(……クレープ?)


派手すぎないけど、なんだか目を引くお店。

メニューを見ると、「チョコバナナ」「いちごカスタード」「抹茶あずき」などが並んでいる。


「……チョコバナナ、ひとつください」


ほどなくして手渡されたクレープは、紙にくるまれていて、思ったより大きい。

端のほうから、クリームとチョコソースが少しのぞいている。


歩きながら、そっとかじってみた。


(……やわらかい)


もっちりした生地に、ふんわりと甘いクリーム。

バナナの優しい甘さが重なって、口の中がちょっと幸せになる。


「……これはこれで、いいかも」


食べていると、自然と気持ちがほどけてくる。


商店街のにぎやかな声。

すれ違う学生たちの笑い声。

あちこちから聞こえる「いらっしゃいませ」。


(なんていうか……馴染んできたな)


心の中が少しずつやわらかくなるような、そんな感覚。


クレープを食べ終える頃には、あたりもほんのり暗くなっていた。

ごみ箱を探して紙を捨て、深呼吸ひとつ。



「……しあわせ」


そう言って、私は小さく笑った。



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