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転移先は日本でしたが、あまりにも楽しいのでスローライフを目指します!~従者(ヤンデレ)がついてきたので一緒に幸せになる~  作者: 雨宮 叶月
第3章

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第47話 自由

朝の光がカーテンの隙間から差し込んで、キッチンのテーブルを淡く照らしていた。

フライパンの上では、目玉焼きがじゅうっと音を立てている。

その音に混じって、背後から扉を開ける音が聞こえた。


「……星羅さん、ありがとうございます。とても楽しみです。」

隼人さんの声が、背中越しに届く。


手に持っていたヘラが、少しだけ止まった。

「……ふふ」


足音が近づき、隼人さんが私の隣に立つ。

ネクタイを結びかけた姿が視界の端に入った。


「星羅さん」


「うん」



「愛しています」


……え?

思わず振り向くと、隼人さんはほんの少しだけ笑っていた。

いつもの冷静で淡々とした表情のまま、それでも口角がわずかに上がっている。


「私も……愛しています」


少し照れながら返す。



「星羅さん、これからは一人で外出しても良いですよ。一緒に外の世界、楽しみたいから。俺と一緒にいる時間だけじゃなくて、星羅さんがやりたいこと、見たい景色、そういうのも知りたいです」


胸が一瞬、温かくなる。



でも、彼はそこで終わらなかった。


「……ただし」

声のトーンが、一段低く落ちた。

「もし、俺以外のことを考えたら……その時は、本当に監禁しますから」


ぞくり、と背筋が震える。

なぜか目が離せなかった。

隼人さんの瞳は、淡々とした色を保ちながらも、底の方で熱を孕んでいる。

その熱が、私の心臓を掴んで離さない。


「うん」

かすれた声で答えると、隼人の口元がわずかに緩んだ。


脅されてるはずなのに、怖いだけじゃない。

この声も、目も、全部自分だけに向けられている――

その事実が、どうしようもなく嬉しかった。


「いただきます」

そう言って、隼人さんは皿に盛られた目玉焼きを口に入れた。

それから、会社に行く準備を再開する。

結んだネクタイを整えながら、玄関へと向かう彼の背中を目で追った。


靴を履き終えた隼人さんが、ふいにこちらを振り返る。

そして、ゆっくりと歩み寄り、私の額に唇を落とした。


「行ってくる。……待っててくれる?」


「……うん。いってらっしゃい」

自然に笑顔がこぼれる。心からの笑顔だった。


隼人は満足そうに頷き、ドアを開けて外へ出て行く。

閉まる音が、部屋に静けさを戻した。


私はしばらくその場に立ち尽くし、胸に手を当てる。

鼓動が速い。怖さも、喜びも、ぐちゃぐちゃに混ざっている。


――自由、か。


窓辺に立ち、外を見下ろす。

車の走る音、人の話し声。

この世界にもっと触れたい気持ちと、彼の言葉が放つ鎖の重み。


それでも私は、はっきりわかっていた。

あの人を愛している。

そして、その愛がある限り――きっと、どこまで自由になっても、私は帰ってくる。

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