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転移先は日本でしたが、あまりにも楽しいのでスローライフを目指します!~従者(ヤンデレ)がついてきたので一緒に幸せになる~  作者: 雨宮 叶月
第3章

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第34話 恐怖②

(嫌だ…嫌だ!)



ぎゅっと目をつむったとき。





バキッ!





鋭い音とともに、重い倉庫のドアが蹴り開けられた。

中の空気が揺れる。強い風が吹き込むわけでもないのに、場の温度が一気に冷えたように感じられた。




「は……?」


「おい、誰だテメェ――」



男たちの声は、そこで途切れた。






「はははっ!」



笑い声が、冷ややかに響いた。



私の視界には、うつむく一人の男の姿。



夜風に揺れるその黒髪と、声には覚えがあった。





(隼人さん……)



スーツ姿で、両手をポケットに入れている。

ドアを蹴った姿勢、足を挙げたまま微動だにしない。






「……おい、星羅から離れろ」




低い声。

その瞳には、「殺気」と言っても差し支えないほどの光が宿っていた。




「は? なんなんだよお前。マジでぶっ――」




「星羅に、触ったんだな。じゃあ、その手、いらないよな?」


 


ゴッ!!


 


最初の一人が殴られる音すら聞こえなかった。ただ、気づけば男は天井近くまで吹き飛ばされて、背中から鉄骨に叩きつけられていた。


 


「ひっ……な、ナイフなら!」


「……遅い」

 



隼人さんはいつの間にか私のそばにより、胸元へと引き寄せた。




……そして、片手で私の耳をふさぐ。





――パンッ!!


乾いた音が、塞がれた耳の奥にすら響いた。


隼人さんの手には、小型の拳銃。



「俺にとって星羅は、世界そのものなんだよ。……お前らが星羅に触れた、っていう事実だけで、存在価値はゼロ以下。次は殺す」

 


……全員、倒れた。


 


隼人さんは拳銃をしまうと、私を強く抱きしめた。



「……ごめん、遅くなって」



「……は、やと、さん……?」



震える声で名前を呼ぶ。




彼は何も言わず、自分のジャケットを私の肩にふわっとかけた。




「……もう、星羅には触れさせない。二度と。……誰にも」




すると、すっと両腕を私の背と膝裏に差し入れ、そのまま抱き上げる。


「えっ!? じぶんで、歩け――」


「黙って」


その声は、聞いたことがないくらい低くて、甘かった。




「ま、待って。あの……どこに、行くの……?」


隼人さんはにっこりと笑う。


「俺の家」



「えっ、なんで、他人に……」




「他人じゃない。」



隼人さんは真っ直ぐ私の目を見た。




「好きです。愛しています。」




「……え」



その言葉に、耳を疑った。



ずっと、欲しかった言葉。でも、何かがこの気持ちを邪魔する。




「星羅がどんな顔で俺を拒絶しようと、俺は愛してる。これからは、分からせます。――無理やりでも」




そう言って、少しだけ強く腕に力が入る。



「もう、逃がさないから。貴方がいないと、俺は壊れる。

 …ずっと囚われていて、俺の中で」



 


夜だからか、その言葉の怖さに気付かないほど私の頭はふわふわしていた。




でも、彼の月に照らされた横顔に見惚れて、そっと首に手を回した。

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