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転移先は日本でしたが、あまりにも楽しいのでスローライフを目指します!~従者(ヤンデレ)がついてきたので一緒に幸せになる~  作者: 雨宮 叶月
第2章

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第30話 絡まれる

「篠原さん、今日も一人?」


「あ、はい……」


「前から、よく見かけててさ。あの……俺、○○学部の――」



とっさに、距離を取るように立ち上がる。


男は笑いながら話しかけてきたけれど、その目は笑っていなかった。もう一人、彼の友人らしい男性が、にやにやと肩越しに覗き込んでいた。

視線がじっと私をなぞるように動いているのが分かる。


「ていうかさ、星羅さんって、ハーフ? それともモデルとかやってた系?」


「いえ。普通の学生です」


「マジで? でもさ、ほんと綺麗だよね。……彼氏とか、いないでしょ?」


その言葉に、私は自然と少しだけ顔をそむけた。

彼氏はいない。でも――この人にそれを伝える義理もない。


(こういうの、久しぶり……)



一度、笑顔を向けただけで「脈アリ」だと勘違いされ、騒ぎになったこともあった。

でも、いつもアル――隼人さんが助けてくれた。


「すみません、用事があるので……」


「え、待って。連絡先、教えてくれない?」


「それは無理です」


断ったのに、男は苦笑いを浮かべながら、なおも一歩踏み出そうとした。そのときだった。


「星羅さん」


冷たい声が、すぐ背後から響いた。


振り返ると、そこには隼人さんが立っていた。



「一緒に帰りましょう。」



ふと、隼人さんは男たちに視線を向ける。



「……誰?」


冷たい声。一気に周りの温度が下がる。



「知らない方です」



「へえ……」


男たちは逃げ去っていく。


「…星羅さん、これ、何度目ですか?」


「………分からない。でもよくあるし、、、」



隼人さんは私の目を見た。


「星羅」


「……え」


いつもと違う呼び方に、私は目を見開いた。


「こういうのは“よくある”から慣れていいものではない。相手がその気になってからでは遅いから」


その声音は冷たくて、――どこか痛いほどに真剣だった。




 

その夜、眠りにつく前、ぼんやりと目を閉じた私は、今日、隼人さんが隣に現れてくれた瞬間を何度も思い返していた。


あの静かな声。


鋭い瞳。


そして、私の名を呼ぶあの響き。


(――なんだろう、なんか……不思議)


自分でもうまく言葉にできない、くすぐったいような、でもどこか苦しいような感情だけが、胸に静かに残っていた。



しかし私は、隣を歩く彼の鋭い瞳に、気づいていなかった。

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