表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転移先は日本でしたが、あまりにも楽しいのでスローライフを目指します!~従者(ヤンデレ)がついてきたので一緒に幸せになる~  作者: 雨宮 叶月
第1章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

11/49

第11話 再会①

人通りの少ない道を歩いていた。


(少し遠回りだったかしら……)


スマートフォンに気を取られた一瞬の隙。

すっと影が現れた。


「ねえねえ、星羅ちゃんでしょ? 一緒に帰らない?」


「1人じゃ危ないよ? ちょっとだけ、付き合ってよ」


(……同じ大学の)


軽くあしらって通り過ぎようとしたが、彼らは並ぶように歩幅を合わせてきた。


「何、警戒しすぎじゃない?」


「そんなに固くならなくていいのに」


ぐい、と腕を掴まれた瞬間、覚えていた護身術の構えを取ろうとしたが、重心がずれた。


(っ――失敗した!)




距離をとる間もなく、もう1人が回り込む――


そのときだった。


「彼女には、指一本触れさせません」


静かで、でも妙に耳に残る声。

ふと目をやると、路地の奥に――誰かがいた。

切れ長の瞳、薄い唇。姿勢ひとつで周囲を支配するような気配。

でもその瞳は、光を孕んでいなかった。


(え……アル……?)


いや、違う。この世界に彼がいるはずない。

でもその男は、あまりに似ていた。


輪郭、髪の色、立ち方、そして何より――

私を守るときの“目”。


「は? なにお前」


男の1人がにじり寄るが、彼はそのまま無言で近づいた。


「いや、お前に関係ねーだろ。邪魔すんなよ」


その手がこちらに伸びた瞬間、“それ”は起きた。


男の手首を掴み、ひねる。

もう1人の足元に素早く入り込み、膝を蹴り崩す。

全て一瞬。音すら、ほとんどなかった。


「っ、痛っ、……!」


倒れ込んだ2人を見下ろし、男――彼はゆっくりと笑った。


「正当防衛ですから、通報されても大丈夫ですよ?」


その声には、かすかな冷たさと――異常なほどの優しさがあった。


そして彼は、私の方へ向き直った。

夜風が揺らしたコートの裾。月明かりがその輪郭を照らす。


「やっと見つけました……お嬢様。ご無事で、なによりです。」


(……アル、なの?)


さっきまで確信が持てなかったのに、その言葉だけで全てが繋がった。


「アル……?」


彼は一歩、近づく。

目が合った瞬間、逃げ場はもうどこにもなかった。


「ええ。遅くなって、申し訳ありません」


そして、ふわりと微笑んだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ