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おひる
いつもなら、何もかもが増えていって終わりだけど、なんか、いつもと違う、変な夢を見た気がする…そう思いながら、朝食、兼昼食を食べる。こんなに堕落した生活をするのは初めてだ。
味のしないお粥。吐き戻すことは無い。けど…少ししか食べていないのに、お腹いっぱいだ。でも、残すのは申し訳ないし…
「あ、お腹いっぱい?残していいよ、無理しないで」
この子、察しが良すぎる。結局残してしまった。
「胃腸が弱っちゃってるからねぇ、しょうがないよ。気にしないで」
…この子は、どうして私なんかに、こんなに優しくしてくれるのだろう。
家の中をぐるりと見回してみると、本がいっぱいに詰まった小さな本棚があった。どうやらこの世界、本は一人暮らしの少女がそこそこの量を買える程度にはそこまで高価でないようだ。
「あ、気になる本ある?何冊か貸すよ」
え、いや、いいのに………と言いたかったが、折角の厚意を無碍にしたら失礼だから、借りることにした。




