よる
夜。
どうやらエリカとは一緒に寝るようだ。
「ねえ、スズ。スズは、どうしてずっと誰かの言いなりになってたの?」
蝋燭の明かりの下。心配そうな声で、そう聞いてきた。昼間のうちに渡されていた鉛筆とメモ帳で、答えを伝える。
『その方が、誰にも怒られないから』
「怒られるって、誰に?」
『両親とか、先生とか、上司とか』
「………元の世界、戻りたい?」
『戻らないといけない』
「どうして?」
『そうじゃないと、怒られるから』
「誰に?」
誰って、そりゃ………誰?
誰に怒られるの?そもそも私が帰らなければ、怒る人に会わない…
そんな事を考えていたら、急に抱きつかれた。
「…ごめん、意地悪な質問しちゃった。辛かったよね。怖かったよね。もう大丈夫、この世界には、スズを怒る人なんて居ないから」
そう言って、エリカは頭を撫でてきた。
どうして、この少女は私なんかにここまで優しくしてくれるのか。
このふわふわする気持ちは、何と言うのか。
両目から零れる妙に熱い液体は、何と言う名前だったか。
何もかもが分からないまま、大人として情けない姿のまま、その日は終わった。
スズラン
“再び幸せが訪れる”
“純粋”
“謙虚”
スズランエリカ
“幸運”
“幸せな愛”