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てつだい
「わっ!?すごい!完食!!」
帰ってきたエリカは、空っぽの器を見てそう言った。この子は、どうして他人の事でこんなに喜べるのだろうか。
それにしても、何もかもお世話されっぱなしというのは良くない。
「………ぁ゛……の」
今のは自分でも驚いた。声を出そうとしたら、嗄れた音が喉から出たのだから。
「わっ、喋れるようになったんだ!無理はしないでね」
本当に、どうしてこんな些細な事でこんなに喜べるのだろうか。
「て…つ、だぃ…す…る……」
まだ喋ろうとする度に喉が痛む。けど、頑張って喋った。
するとどういう訳か、少女は一層優しい目つきになり、困ったように笑った。
「今は回復に専念しな〜。お手伝い中に倒れたら大変だし」
そう言われ、何故かおでこをつつかれた。
自分より年下の少女にお世話されるなんて、恥ずかしい。早く治さないと。
因みに、エリカが買ってきたのは鉛筆とメモ帳だった。喉がよくなるまではこれを使うように、ということらしい。
気にしなくていいのに。マトモに喋れない自分が悪いのだから。