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ごはん
少女――エリカに、ダイニングキッチンと思しき場所へと連れてこられた。座って待ってて、だそうだ。
本当は何か手伝うべきなのかもしれないけれど、近づいた瞬間に妙に優しい表情で椅子に戻されたので、大人しく待つことにする。
「はい、重湯。神様曰く『胃腸が弱っている可能性が高い』だって。無理に完食しなくてもいいからね!」
エリカは買い物をしに出掛けた。買わなきゃいけないものを思い出したらしい。
まるで病人のようだ。木の匙で重湯を掬いながら、そう思う。
別に、食事なんて無くてもいいのに………どうせ吐き戻して何も残らないのだから、とも思いながら、口に運ぶ。
やはり、味はしない。
でも、どうしてだろうか。
今まで、何も―――流動食でさえも―――喉を通らなかったのに。無理矢理通しても、吐き戻してしまうだけだったのに。
どういう訳か、無理せず完食出来た。




