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もうひとつの
「それじゃ、気を付けてね〜」
「ばいばーい!」「またきてねー!」
孤児院の院長と子供たちに見送られて、私たちは来た道を帰っていく。
「いい子たちだね」
「みんな可愛いでしょ?」
「…ねえ、エリカ」
「ん?」
「やりたいこと、あった」
「ほんと?」
「うん」
そのまま、家に着く。
「…あ」
「ん?どうしたの?」
「孤児院の、求人情報、あるかな…」
「あー…うーんと…あ、大丈夫大丈夫!卒院する時に『此処で働かないか』って言われた事あるんだった」
「やった…!」
どうやら、私は人の温もりに飢えているようだった。
そんな事に気付いた1日だった。




