第1章 第6話 「ボロ刀の真価!? 鑑定チートが導くドワーフの目覚め」
「鍛冶師通り……こっちだな」
ギルドで紹介された鍛冶師を訪ねて、俺たちは町の奥の通りへ向かっていた。
「ここ、思ったより静かね。人いない」
「昔は名店が多かったらしいよ。でも今は、どこもやる気がないとかで――」
その時、ひときわ古びた建物の扉が、ギイィ……と音を立てて開いた。
「なんだ、客か。帰れ」
……あっ、態度がでかい。
出てきたのは、背が低くガッシリした体格に、真っ赤な髭を蓄えた――ドワーフだった。
「ボルド=ストラグ。鍛冶師だ」
「リク=タカナシです!武器の相談に……」
「興味ねぇ。最近は“にわか冒険者”ばっかり来やがる。
『ピカピカした剣ください〜』『色が綺麗〜』ってな。
職人の心、踏みにじりやがって……クソが」
うわあ、完全に心折れてるやつだこれ。
でも、ここで俺は――
例の【鑑定】スキルを発動する。
目の前の作業場に、錆びついて埃を被った日本刀のような剣が置かれていた。
【鑑定結果】
名称:無銘の刀
レア度:★★★★
攻撃力:+95 魔力親和性:高
素材:魔素鉄鋼(刀身)/芯材:ミスリル片
備考:未完成の名刀。芯に希少鉱石が埋め込まれており、鍛え直せば真価を発揮する。
「……これ、すごい刀ですよね?」
俺がそう言うと、ボルドの目がピクリと動いた。
「は?」
「芯にミスリルが入ってますよね?鍛え直せば、きっと――」
ボルドが、一歩近づく。
「……お前、なんでそれが分かる?」
「え、いや、なんか光ってる気がして……?」
「……おい。フザけんな」
そして――
「それはな、昔――
本気で“最後の一振り”を作ろうと思って叩いた刀だ。
でも芯にミスリルが入ってると気づく者は一人もいなかった……!」
アリスもユイも黙って見ている。
「……お前、目、持ってやがるな」
「目っていうか、スキルですけど!!」
「黙ってろ!!」
ボルドは刀を手に取り、カウンターをどけて作業場に立った。
「久しぶりに……火を入れてみるか。
“本気”で叩きたくなったのは、あの刀以来だ……!」
***
数時間後。
「……できたぜ」
そこには、光沢を帯びた漆黒の刀があった。
柄には魔素鉄鋼の紋、刀身の芯にはうっすらと輝くミスリルの筋。
【鑑定結果】
名称:朧牙
レア度:★★★★+(限界突破)
攻撃力:+120 特殊効果:魔力斬撃発動
備考:ドワーフ職人・ボルドの魂が込められた一振り。リク専用武器。
「うおお……かっけぇ……!」
アリス「へぇ、あんたに似合うじゃない。地味だけど強そう」
ユイ「売ったらいくらになるかな……って言っちゃだめ?」
「絶対ダメぇぇぇぇぇぇッ!!!」
こうして、リクは初めての“専用武器”を手に入れた。
そして、ボルドの目にも、
かつての炎が――もう一度、灯っていた。
次回:「試し斬り!?リク、チート武器で無双モード突入!」