第1章 第4話 「毒の森と、金にうるさい白衣のヒーラー」
冒険者ギルドの依頼掲示板。
今日の依頼を探していた俺たちの目に、ちょっと変わった内容が飛び込んできた。
【依頼:毒の森に現れた魔物の討伐&調査】
報酬:銀貨10枚〜/毒対策装備必須/ヒーラー同行推奨
「……おい、なんで毒とか出てくんの、急にレベル高ない?」
「いいんじゃない?チートスキルあるし」
「その発想どうかと思うけど!?」
アリスはすっかり通常運転。
でもこの依頼、報酬が高い分、危険度もそれなりっぽい。
「ヒーラー同行……誰か声かける?」
そう聞いた瞬間だった。
「――ねぇ、それ、あたし連れてったら?」
振り向くと、そこにはとんでもない美少女が立っていた。
白衣をふわりと羽織った、
綺麗すぎるお姉さん系の女の子。
金髪のポニーテール、透き通るような肌、そして微笑み――
「……やば、美人すぎ……」
「へぇ、そこまで言われると照れるなぁ」
「口に出てた!?」
「ええっと……どちら様?」
「ユイ=ロゼリア。ヒーラーやってるの。
それと、あんたたち――最近ちょっと面白い動きしてるでしょ?」
アリスが眉をひそめる。
「……どういう意味?」
「討伐依頼のドロップ量。普通よりずっと多い。
魔素結晶とか、素材のグレードとか……ギルド内でも噂になってるよ?」
「うっ」
(やば、バレてる!?チート、バレてる!?)
「でもあたしは興味あるだけ。
もし“うまく儲けられるグループ”なら、一緒に組んでもいいかなって」
「えっと、つまり……」
「回復は全部任せていいから。
でも報酬はしっかりもらうよ?――金にうるさいから、あたし」
サラッとすごいこと言ってきた!
けど、強敵と戦うのにヒーラーがいるのは超心強い……!
アリスと目を合わせる。
「どうする?」
「……まぁ、綺麗だし、強そうだし、悪くないと思うわ」
「採用理由が顔!?」
こうして――
リク、アリス、ユイの3人パーティで、毒の森へ挑むことになった。
***
森はジメッとしていて、空気が重い。
そして、出てきた魔物は――
「うわ、毒ムカデ……きもちわる……!!」
「どいて、私が前に出る」
アリスが拳で一撃!
ムカデは地面を転がりながらも、毒の息を吐き返してくる。
「まずい、アリス下が――」
「《ヒール・セイフティ》」
ユイの手元が光り、アリスの身体が一瞬包まれる。
毒の霧に包まれても、異常なし。
「結界式のヒールよ。毒は通さない」
「え、強ッッ!?しかも回復までしてる!?」
ユイは微笑む。
「さっきも言ったでしょ?回復は任せていいって」
「くぅ〜〜っ、やるなこの白衣……!」
その後、毒キノコ型の魔物や、紫色のネズミなども出現したが――
「このキノコ、食えるわね。あとで換金できる」
「毒もあるけど鑑定でわかるからセーフ!」
「換金換金♪ 儲かるなら喜んでよ〜♪」
ユイはヒールしながら、素材を回収しながら、
しっかり報酬も見逃さない、超有能ヒーラーだった。
***
依頼完了後――
「思ったより、相性いいわね、あたしたち」
ユイがそう言った。
「しばらく一緒に動いてみるのも、悪くないかも。
あんたたちのドロップ率、ほんと……面白いし」
アリスも小さくうなずいた。
「悪くないわ。ツッコミ役も増えてちょっと楽だし」
「俺、ずっとツッコまれてばっかだよな!?」
こうして、俺たちは3人パーティになった。
次の依頼は、素材集め――
「鉱山探索か……」
「いい素材、見つかるといいわね。もちろん換金できるやつ」
「お前、そればっかだな!!」
――次回、
「鉱山の深部に眠る、希少鉱石と魔物たち!」