第1章 第3話 「アリスとのコンビで初バトル!? モンスター討伐でチートが火を吹く!」
「よし……今日こそ、バトル系依頼いくぞ……!」
冒険者ギルドの掲示板を前に、俺――小鳥遊リクは気合いを入れていた。
草むしりに毒草モンスター、そして地味な雑用……。
Fランク依頼の世界、なかなかハードである。
「やっと戦う気になった? 少しは冒険者っぽくなったじゃない」
横に立つアリスが、腕を組んでにやりと笑う。
「……いや、アリスが全部付き合ってくれてるからだけどね。
俺一人だったら、たぶんまだパン齧ってた」
「情けなッ」
今日はついに、俺たちの初討伐依頼――
【町はずれの林に出る“ダストウルフ”2体の討伐】に挑む日だ。
モンスター討伐!ついに異世界らしくなってきた!!
でも、気を抜くと普通に死ぬ。それがこの世界。
「で?戦う時の作戦は?」
「俺は……支援に回る!情報分析とかポーション投げたり!」
「うん、それが正解。アンタの戦闘力じゃ足手まとい確定」
「つらい」
***
ダストウルフの目撃情報があった林に到着。
風は静かで、空気が少し重い。
俺は鑑定スキルを使って、周囲を警戒する。
【痕跡:ダストウルフの爪痕】
《2体が数時間前に通過。縄張り意識強め》
「いたな、やっぱ。しかも2体一緒っぽい……」
「なら、分断して各個撃破が基本ね。あんた、木の上に登れる?」
「まじ!?戦わせる気ある!?いや、見張りだよね!?そっちだよね!!?」
そんなことを言ってる間に、2体の灰色の獣影が現れる。
「アリス!!きた!!」
「いくわよッッ!!」
アリスが一気に距離を詰め、拳に魔素を集中させる。
バゴォッ!!!
一体目のダストウルフが木に叩きつけられ、呻き声を上げた。
俺もポーションをアリスの足元に投げる。
“爆発するタイプ”のやつだ!!(高かった)
ボンッッッ!!!
「リク、アンタそれ、補助っていうか爆弾じゃん!!」
「味方に当ててないからセーフ!!多分!!」
騒ぎながらも、アリスは残りの1体を蹴り飛ばし、追撃。
拳と体術だけで――
完全勝利。
「……はぁ、終わったわ。もう、疲れた」
「アリスかっこよすぎでしょ……女戦士って感じ……」
モンスターの死体からは、
魔素結晶×2と、獣の牙、毛皮、爪がドロップ。
「うおおっ!?めっちゃ落ちてる!これがドロップか!!」
しかも、俺のスキル【ドロップ金額100倍】が適用されているから――
「リク、あんた……この牙、ギルドで1本銀貨2枚だって……!? いや普通1枚でも出ればいい方なのに……」
「え、あれ?なんか相場より多い?ハハッ、おかしいね!偶然だね!!」
(やっべぇ……バレそう……)
***
ギルドに帰ると、報告を聞いた受付嬢が口をポカンと開けた。
「えっと……Fランクで、ウルフ2体を無傷で討伐して、
しかもこのドロップ量……!? すごいですリクさん!!」
「やー、そんなことないっすよ!?いやもう、アリスが強すぎて!!」
アリスは俺をチラッと見て、ため息をつく。
「……ほんとに、アンタ何者なのよ」
「草むしりと爆弾投げが得意な人間です!!」
「誰が信じるかバカッッ!!」
そして受付嬢から、次の言葉が。
「リクさん、アリスさん。これでFランク卒業ですね。
次回からEランク依頼も受けられますよ!」
「おおおおおお!!昇格きたああああ!!」
「おめでと、雑草くん」
「草から狼まで、成長幅すごくない!?」
――こうして俺の冒険者生活は、ついに戦闘編に突入した。
次は、もっと強いモンスター?
それとも……仲間との出会い?(まだちょっと早い)
次回:「毒の森と、金にうるさい白衣のヒーラー」