第1章 第2話 「初依頼でまさかの大騒動!? 鑑定スキルが光るッ!」
冒険者ギルドに登録して一晩が経った。
宿はギルド提携の『ほしぞら亭』。新人支援制度でタダ泊まりできたのはいいけど、朝食はパン1個。
(チートスキルはある。でも、金がないと始まらない……)
パンをかじりながらギルドに向かった俺は、
依頼掲示板の前で突っ立っていた。
「うわ……“草むしり”“ゴミ拾い”“荷運び”……地味すぎ……!」
内容はまるで地球のバイト。異世界ってもっとこう、ドラゴンとか宝箱とかさ!
「悩んでんの? それとも情けなくて泣きそうなの?」
聞き覚えのある声に振り返ると、そこには――
「アリス!」
銀髪ショート、拳付き美少女。昨日、命を救ってくれた武闘家アリスが立っていた。
「昨日の草原で会ったときと同じ顔してる。アホみたいな顔」
「失礼すぎん!?」
「で、初依頼は?」
「いや、まぁ、何をどう選べばいいのか分からなくて……」
「……まさか、ひとりで行く気?」
「……はい……」
アリスは盛大にため息をついた。
「仕方ない。付き合ってあげるわ。アンタの保護者ってことで」
「いいの!? マジで!? アリス女神!!女神光臨!!」
「うるさい。あと調子に乗ったら置いてくから」
こうして、俺の初依頼はアリス同行という形でスタートした。
***
現場は町外れの空き地。依頼内容は草地整備(=草むしり)。
「じゃあ、チートの力でサクッと草を引っこ抜いてやんよ!!」
――ブチィィィ!!
「……いてッ!! 根っこ固ッ!? 何これ異世界の草ヤバくね!?」
「何騒いでんの。そんなんで体力削られてたら、この世界で生きてけないわよ」
ぶちぶちと草を引き抜く俺の中に、ふと反応が走る。
(……きた、鑑定スキル)
【毒草:グリムウィード】
《触れると皮膚に腫れやかゆみを起こす。魔素に反応して成長する。》
「え、ちょっと待って!? これ毒草!? さっき素手で触ってたやつじゃん!!」
「……はぁ!? なんでそんなの分かったのよ!?」
「い、いや、その……なんとなく? 直感的な?」
(やばい、スキルのことは絶対バレたくない……!)
そんなとき、草の奥から突然叫び声が。
「ぎゃああああああああっ!!!」
他の冒険者たちが、毒草の群れに潜んでいたモンスターに襲われていた!
「アリス!!行こう!!」
「まったく……厄介ごとしか呼ばないのね、アンタ!!」
アリスが拳を構えて飛び出す。俺も急いでマジックバッグからポーションを投げる!
数分後――
モンスターは全滅。毒草も焼き払って現場は安全に。
***
「依頼完了、おつかれさまでした!」
ギルドに戻ると、受付嬢が笑顔で迎えてくれた。
「モンスター討伐も含めて、報酬が増額されてますよ♪」
「ま、マジ!? 草むしってたら金が増えた!! これが異世界か!!」
(倒したモンスターから“魔素結晶”がドロップしてて、
それを換金してもらったら、金額がなぜか通常の100倍……)
(まさか……このチート、ガチでやばいんじゃ……?)
アリスがじーっと俺を見る。
「……アンタ、やっぱり普通の新人じゃないわね」
「ちがいます!!ただの草むしりプロです!!」
「草から結晶出すプロ、怖すぎでしょ!!」
こうして俺の冒険者生活は、
初日からチート隠しと毒草バトルで幕を開けた。
次回:アリスとのコンビで初バトル!? モンスター討伐でチートが火を吹く!