第1章 第11話 「ギルマスターの警告!死霊術師“ヴェノム”の名」
森の異常調査から帰還したリクたちは、すぐにギルドに報告へと向かった。
ギルド内はいつもより少しざわついている。
冒険者たちも気づいているのかもしれない。
森で何かがおかしくなっていることに。
受付嬢が顔を上げ、リクたちを見るなり言った。
「お帰りなさい、リクさんたち。……ギルドマスターがお呼びです」
「ギルマスが、ね……」
アリスが小さくつぶやく。
ギルマスター――いや、“ギルマス”に呼ばれるというのは、それなりの意味がある。
──ギルド奥・執務室前。
扉をノックすると、中から低く響く声が返ってきた。
「入れ」
ガチャリと扉を開けると、そこには無骨な鉄製のデスク。
そしてその背後で腕を組んでいたのは、マッチョな巨体の男――
片目に眼帯、無精ヒゲ、全身から威圧感を放つ渋い風格の男。
「……ガルド=ブラント」
ギルドの誰もが恐れつつ敬意を払う、ミルティのギルマスだった。
「報告を聞こう。何があった?」
リクたちは森で遭遇した魔獣の異常、
その挙動、呪刻された痕跡、そして魔法陣と思しき痕について詳細に報告した。
ガルドは何も言わず、黙ってそれを聞いていた。
──そして、数秒の沈黙の後。
「……“ヴェノム”か」
その名を、重々しい声で呟いた。
「それは……誰ですか?」
リクが問う。
「昔、一部で囁かれていた名前だ。
死霊術を操り、魔物を“兵器”のように扱う術師……いや、魔術犯罪者だ。
十年以上前に消息を絶ったとされていたが……」
ギルマスの表情は険しい。
「まさか、奴の名を再び口にする日が来るとはな」
リクたちは沈黙した。
“死霊術師ヴェノム”。
今まで聞いたこともない名前。
だが、その気配はたしかに“森”にあった。
「これは……ただの魔獣異常じゃ済まないかもしれませんね」
「そうだ。これ以上の調査はギルドだけでは手に負えん。
近々、王都の調査隊が動くだろう。……その前に、お前たちには一つ頼みがある」
ガルドの眼光がリクを射抜く。
「――ミルティの“防衛任務”だ。
次は、魔物が街そのものを狙ってくるかもしれん」
次回予告:
第1章 第12話「迫る闇!ミルティ防衛戦、始動」
王都が動く前に、リクたちは街を守れるのか――!?




