第1章 第10話(後編) 「魔獣調査(後編)!異常個体の正体と、迫る“死の気配”」
森の奥は、先ほどまでの魔獣よりもさらに空気が重い。
風すら止まり、まるで“何か”に見下ろされているような感覚に、リクは肩をすくめた。
「……なあ、ユイ。何か感じるか?」
「……うん。さっきのよりももっと……腐ってる感じ」
「っていうか、あれ見て」
ユイが指さす先、地面には黒く焼け焦げたような痕跡と、
骨で描かれた歪な“紋章”が刻まれていた。
リクはすぐさま鑑定スキルを発動――
《鑑定結果:魔獣への呪刻操作痕跡/属性:死霊・瘴気/由来:不明》
《現在:魔獣本来の生態とは異なる行動を強制されている可能性・大》
「やっぱり……これは自然の魔獣じゃない」
「誰かが“操ってる”んだ……!」
その瞬間――
ガサッ……!
茂みの奥から、先ほどの魔獣とは比べものにならない大きさの魔物が現れた。
体長2メートルを超える異常な体格、黒い瘴気をまとい、
口からは紫の泡を垂らしている。
「……あれって、ウルフじゃないよね?」
「違う、元はウルフ系だけど……これはもう“別物”だッ!」
目が合った瞬間、異常個体が突進してきた!
「くるぞ、アリスッ!!」
「了解ッッ!!」
リクが鑑定と同時に左へ跳び、ユイが展開する小結界で防御。
アリスが拳に気を集中させ――
「えいっっっっ!!!」
跳び上がっての空中ストレートで、魔獣の顔面に一撃!!
しかし――
ドン!
「硬っ!? これ、防御力も上がってるのか!?」
「物理耐性、異常魔素で強化されてる……でも!」
リクの鑑定が“魔素の中心核”の位置を読み取り、
「アリス、あいつの左肩下! そこに魔素のコアがあるッ!!」
「任せなさーい!!」
アリスの回し蹴りが核心を突き、異常魔獣が絶叫を上げて崩れ落ちた。
地面が沈黙を取り戻す――
ただし、そこには禍々しい魔法陣の痕跡と、薄く響く声が残っていた。
「……無駄だ……すぐに、もっと強いものが来る……」
声は風と共にかき消えた。
だが確かに、どこかで“誰か”がこの魔獣たちを操っていた。
「誰かが、森の魔獣を実験台にしてる……」
「正体はまだ分からないけど、これは偶然なんかじゃない」
「魔物の異常、あの魔法陣……誰かが“意思を持って”動かしてる」
リクたちは魔獣の死体と魔法陣の痕跡を写真に収め、ギルドへ報告するため森を後にした。
その背後――木々の影で、ドクロの仮面をかぶった何者かが立っていたことを、誰も知らない。
次回予告:
「次なる任務は……ミルティ防衛戦前夜!?」
魔獣異常の報告が王都まで届く中、リクたちの前に新たな任務が迫る!




