第0章 転生契約 ~女神の笑顔がまぶしすぎる件~
――俺の名前は、小鳥遊リク。
……今、俺は、死んでいる。たぶん。
「ん……?ここ、どこ……?」
目を開けたら、そこは真っ白な空間だった。
空も、地面も、なにもない。なのに不思議と怖くはない。
感覚だけが浮いていて、自分の身体があるのかも分からない。
けど、“何か”がここにいる。……そんな感じ。
「あなたは死にました」
……うん、ですよね。
目の前に現れたのは、
金の瞳に白銀の髪。ふわっとした光に包まれた美しすぎる女性。
神話に出てくる“女神様”ってやつが、
本当にこんな感じなんだろうな、って見た瞬間に思った。
「あなたは他人をかばって事故に遭い、命を落としました。
その行動により、あなたには“再び生きる”権利が与えられます」
「え、マジで?転生ってやつ……?」
「はい、いわゆる“異世界転生”です」
この世界、チートがあるって本当?
スキル選べたりとか、そういうの……?
「ええ。あなたには、以下の祝福が与えられます」
女神が手をかざすと、空中に文字が浮かび上がった。
◆スキル【経験値ブースト】
経験値獲得量が常時10倍になる
◆スキル【ドロップマスタリー】
モンスターのアイテムドロップ確定
獲得金貨は通常の100倍
◆スキル【鑑定】
アイテム、人物、魔物などの情報を即時把握可能
◆神具【マジックバッグ】
無限容量の収納袋。時間停止・腐敗無効・携帯可能
「……これ、バグじゃん」
「バグです(にっこり)」
「開き直った!!」
女神、天然っぽいのかと思ったらノリもあるのか……
っていうかこの人、やたら眩しいな。心が洗われていくような……。
「ところでさ。この世界、名前ってある?」
「はい。あなたが転生するのは――グランフィーナ帝国。
剣と魔法、そして“可能性”に満ちた世界です」
グランフィーナ……。
なんかカッコいいじゃん。
「行きたい」
「では――願いを受理しました。あなたの転生を、祝福します」
女神の声が響いた瞬間、
俺の身体は光に包まれ、風の中に溶けていく。
(よし、行くぞ……!)
次に目を開けたとき、俺は――
見知らぬ草原に、寝転がっていた。
……目の前に、拳を構えて立っている、
とんでもなく可愛い女の子がいた。
「……ちょっと。そこ、私の修行場なんだけど?」
……え?
ちょっと待って、さっそく美少女イベント来た?
……ってか、怖くない!?その拳、光ってない!?!?!?
――リクの異世界物語、ここに始まる!