表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

96/146

第四章『ロブルア神皇国』と『海底神殿』編 第1部   第1話 【頭と胃の痛い、4者会談】

お待たせしました。

恙なくお盆を過ごす事が出来ましたので、

本日から、第4章『ロブルア神皇国』と『海底神殿』編を投稿させていただきます。

前3作同様に楽しんで頂けたらならば、幸いです。



「はぁ~」

「…………!」

「はぁ~~~」

「……………………‼」

「は…」

五月蝿うるさい‼ あーもう、鬱陶うっとうしい! 今更ため息をついたってしょうがないじゃん!」


 ここはイエロキー聖教国、聖都サマリーアートの郊外に有るポツンと一軒家。

 言わずと知れたリョウとセイの、兄弟冒険者パーティー『ブラット』のホームである。



 先日、ブラクロック王国の北方にある、ロザリード辺境伯領の領境結界で、魔物の異常発生と言う出来事があり、その時に、このラドランダー大陸を守護する『五色帝神ごしきていしん』の一柱『黒狼帝こくろうてい』から、魔族の王を倒すように言われてしまったリョウとセイである。


 普段から、面倒な事は全力で避けたいリョウだが、人生最大級の面倒事を押し付けられてしまってのため息である。しかし、あまりにも頻繁にため息をつくので、とうとうセイがキレてしまった。と言う、今の状況なのだ。


 セイに対して、往生際悪く言い訳をするリョウは、

「そうは言うけど、魔王討伐なんてラノベなんかでは勇者がする事だろ? 何で、たかだか一魔導士いちまどうしの俺がしなきゃならないんだよ⁉」

「でもさ、『黒狼帝』からやれって言われた上に力まで貰っちゃったから、やらない訳にはいかないじゃん。…………それにだよ、勇者って、もしかしなくてもあのアラバスだよね? 兄さん、亜空間に落としちゃったじゃん! それじゃぁダメじゃん!」

「ぐっ……!」


 正論で言い返すセイ。

 反論出来ないリョウ。



 以前、イエロキーの西の果てにあった謎の遺跡での出来事で、シャギーとイースが昔所属していた冒険者パーティー『光の聖剣』全員が闇落ちし、二人の前に敵として立ちはだかった事があった。

 そして、彼らとの死闘の果てに、シャギーが空間魔法の一つ【亜空間】で彼らを葬り去り、謎の遺跡の事件を解決させたのだ。その『光の聖剣』のリーダーであるアラバスこそが、当代の勇者だったのだ。

 しかし、彼は勇者にあるまじき行いが多過ぎるうえ、闇の力を手に入れ暗黒勇者などに成り果て、挙句の果てには闇の力に取り込まれてしまい、闇の力の言いなりになってしまっていた。

 もうそうなっては正義の勇者とはとても言えない…………。


 

だがしかし、この世界に新たな勇者は未だ確認されてはいない。



「ハァ~、俺は勇者って柄じゃ無いしな。どうしたもんかね~?」

「もう! ここでグダグダ言ってたって、魔王は居なくならないよ! 覚悟を決めてさ、『黒狼帝』が言っていたロブルア神皇国に行くしか無いんじゃ無いの⁉」

「…………お前は、もう覚悟が出来てるのかよ?」

「ほら、僕は、どっちかって言ったら、兄さんのオマケみたいなもんだから、そのぶん気が楽なんだよね!」

「はぁ⁉」

 テヘペロ! と言いそうなお気楽セイに対し、何言ってんだこいつは‼ と思うリョウだった。



「ほら! こんな所でくだ巻いてないで、王宮に行くんでしょ? 遅刻しちゃうよ⁉」

「ハァ~。行きたくねぇ~!」

「リョウさん! 早く支度するですニャー‼」

 ため息ばかりつくリョウに、とうとうミーニャにまで呆れられ、追い立てられるように着替えをさせられてしまった。


 本日の、女王陛下のリクエストに応えたコスプレは、髪を整え赤いスーツをビシッと決めた、歌舞伎町にでも居そうなカリスマホストのような?いで立ちである。


(ハァ~、あの人は俺に何を求めてるんだ?…………この先、どんな格好をさせられるのか、胃が痛いよ。まったく!)




 略式の礼をとって、王宮のいつもの部屋に転移で現れるシャギー。


「何奴‼」

 シャギーはいきなりの大声と共に斬りかかられ、咄嗟に素早く立ち上がりながら、その斬撃を愛用の剣を使い両手で受け止める。


「グッ! お、重い‼」

 全体重をかけられた剣戟は非常に重く、おそらく片手であれば受け止める事は出来なかっただろう。

 相手を見れば、何の事は無いクラウス将軍である。


「………ク、クラウス将軍! お、俺です! S級冒険者のリョウです‼」

「何を見え透いた事を言っている! あ奴は黒髪に黒い目だ‼」

 シャギーの言葉を信じる事無く、なおも力の限り押しまくって来る将軍に、シャギーは絶望しながら一言、

「…………ウッソォ~!」


(誰か! 助けてくれ~!)

 シャギーの心の声が聞えたのかどうかは分からないが、そこに助け舟を出す声がした。

「クラウス将軍。その方は紛れも無くリョウ殿ですよ。その姿は、ブラクロックのロザリード卿の姿なのですよ」

 その声の主は、やはりお馴染み『新月の黒蝶』のネントレス子爵である。


 クラウス将軍は力を緩める事はせず、訝し気にシャギーを見る。

「ロザリード卿?」

「そうです! シャギーリース・ロザリードです!」


 ようやく力を緩め剣を収めた将軍は、赤い髪で赤い瞳のシャギーを繁々と見ながら、

「何故わざわざその様な姿でここに来たのだ? ここはイエロキーであってブラクロックでは無いぞ⁉」

 その尤もな質問に対し、シャギーはマミーナリサ女王の方に目をやり、

「この姿は女王陛下のご希望なのです」

「はあ?」

「陛下は、黒より赤がお好きなのです」

「……はあ?」

 訳が分からないクラウス将軍。


 そのシャギーの意味不明な返答に、軽やかな笑い声が聞こえてきた。

「ウフフフㇷ…………。そうなのです。わたくしは赤が好きなのです。ですので、彼にはここに来るときには、必ず赤を纏って来るように言いつけて有るのですよ」


 マミーナリサ女王のその珍妙なシャギーのへ要求に対し、クラウス将軍とネントレス子爵は一瞬目を見合わせ、深く考えてしまえばドツボにはまる危険性を感じ、あからさまに話題を変えてきた。


「陛下。此度はどの様な用件で、我らをここにお呼びになったのでございますか?」


 クラウス将軍の疑問に対しマミーナリサ女王は答えるでもなく、ボケッと突っ立ったままのシャギーに向かって、

「シャギー。いつもの様にコーヒーをお願いします」

 コーヒーを淹れるよう命じて来た。


(えっ? 今? この状況で?)

「…………私、ですか?」

「そうです、あなたですよ」


 自分で自分を指さしながら、心の内ではどうしたものかと思いはしたが、女王陛下の希望に答えない訳にはいかないので、

「はい、それでは本日はどの様に致しましょうか?」

 と、コーヒーを淹れるスペースに向かいながら、いつもの様にお伺いを立てる。


「そうですね……スッキリとした香りのフレーバーコーヒーをお願いしようかしら?」

「はい。承りました」


 そう返事をして、いつも通りにコーヒーを淹れて行くシャギー。

 たいして広いとは言えない部屋に、コーヒーの馨しい香りが満ちて来る。


「ほう…………。良い香りですな。ロザリード卿はコーヒーを淹れるのが御上手なようだ」

「それ程ではあり……」

 ネントレス子爵の誉め言葉に、それ程では無いと謙遜しようとしたシャギーだったが、


「そうなのです。シャギーはとても良いコーヒーを淹れるてくれるのですよ!」

 若い娘の様にはしゃぐマミーナリサ女王に、かぶせる様にそう言われてしまい、

「……………………」

 彼女以外の4人の男達は、その陛下の女王らしからぬ態度に対し、皆、目を背け無言で見て見ぬふりと言う賢明な判断をした。



 マミーナリサ女王、クラウス将軍、ネントレス子爵、ローランの前にコーヒーカップを置き、シャギーも自身のマグカップを持って所定の席に着いた。

 しばし各々のカップで味と香りを楽しんだ後、おもむろにマミーナリサ女王が話を切り出した。


「先日、ロザリード卿から届いた報告書を読みました」


 その言葉と共に、ローランが皆に書類を配って行く。

「これがその報告書の写しと、書庫などで古い書物を調べた結果です。クラウス将軍にはお話しするのが遅くなってしまいましたが、ここに居るローランとネントレス子爵とわたくしとで、ここに記されている『五色帝神ごしきていしん』と言う神について調べてみました」


「『五色帝神』とやらは、いったい何なのですか?」

 書類を見ながら、いきなり聞いた事も無いような、神の話をされて戸惑うクラウス将軍。


 今回、シャギーの報告がなければ、恐らく誰もがその『五色帝神』と言う神に気付く事は無かったと思われた。


思っていた以上に第4章は長編になりそうなので、1部と2部に分けさせて頂きます。

(2025 11月6日 木曜日)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ