表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

8/111

第8話  【検索ですって!】

 話題を変えるためイースは、もう一つ気になる事があったので、

「そうだ、昨日から外ばかり見ていたけど、何かあるの?」

「ん?あぁ、……どうやって話を切り出すか色々考えていただけだ」

 頬をポリポリかきながら、何か気まずそうにシャギーは答える。


 ほっとした様子で、

「何だ、そうか。良かった!……シャギーが具合が悪くなって、機嫌も悪くなって、当たり散らされるかとビクビクしていたんだ」


 日ごろの自分の行いのせいで、イースに心の負担をかけてしまっていた事に、

「あーーー、悪かった!」

 と、率直すなおに頭を下げた。


 それを見たイースは、彼は本当に優しい人なんだと心が暖かくなり、柔らく笑って、

「でも、……ありがと。いつも気にかけてくれたんでしょ? いつものシゴキの後は体が楽だったもん」

 と、言った。


 初めてイースの笑った顔を見たシャギーは、驚きながらも、

「……気が付いていたのか? ん~お前にも分からない様に癒したつもりだったんだかなぁ~、俺も、まだまだだな」

 と、こちらも自然な笑顔で答えていた。



「まずは、イースお前のステータスを確定しないとな」


 この世界は、生まれて一歳からだいたい五歳までの間に、シホワロイト教の教会で鑑定の洗礼を受ける、その際現れたステータスに、魂の名前が刻まれており、その名が本当の名前になる。

それまでは、通り名の様なものを付けて過ごす事になっている。


 洗礼を受けて初めて、自分のスキルやジョブが決まるが、洗礼を受けないと、スキルの発動やジョブの力を使う事が出来ないし、最悪の場合一生名無し職なしになってしまうおそれがある。

 まれにスキルやジョブををいくつか持っている人はいるが、分かった時点で領主や国に取り込まれる事が殆どである。それ程まれな事なのである。

 

そうして、一つ一つ言葉に出して鑑定していき、全て鑑定し終わるとその人のステータスが確定する。


 しかし、さっきの話でも分かるように、教会の鑑定の魔術具もそれを扱う人間の魔力量に左右されるので、完璧なものではなく、少ないとイースの様に不完全なステータスになってしまう事もある。

 

が、基本的な事が分かっていれば生活にそう支障が無いので、たいていの場合はそのままで一生を過ごす場合もある。


 

シャギーはイースの目を見て、一言【鑑定】と静かに言った。


 途端に、二人の目の前にウインドが現れ、表示されていたものは、


 ・名前     イース  (セイ)

 ・種別     人族   (日本からの転生者 一ノ宮誠人)

 ・ジョブ    錬金術師  両手剣士  剛力

 ・レベル     26/100

 ・HP     101/999

 ・MP      27/999

 ・攻撃力     21/100

 ・防御力     57/100

 ・俊敏性     29/100

 ・魔法属性   火 風 水 土

 ・スキル    筋力増強(2~10)

 ・固有スキル  アイテムボックス(容量無制限 時間制限なし) 鑑定            検索 

 ・称号     なし


 シャギーは、表示されているすべての項目を口にし、

「これで、イースお前のステータスは確定した」

 と静かに言葉にした。


 腕を組みイースのステータス画面を見ながら、シャギーは、

「しかし、これは、どう解釈したもんかね。ジョブが三個に固有スキルも三か」

 と独りちしていたが、一方のイースは他の事に夢中である。


「僕にもアイテムボックスがある‼」

「良かったな、鑑定のスキルもあるぞ」

 それを見て、目を細めて微笑みながらシャギーは心の中で、

(まあ、少しは明るくなれたかな)

 と思う。


 ツッコミどころ満載のステータスで、最も気になる事の一つが、

「え~と、なんで名前が二つあるの?」

「ああ、それな、俺にも名前二つあるんだよ。さっき、姿変えをしただろ? あの姿になると、もう一つの名前が前に追加され、元に戻ると今の名前が先に表示されるようになるんだ」


 訳が分からない、

「…………なんで?」

「…分からん。俺も姿変えを初めてしたときに、もう一つの名前が表示されるようになったからな。もう、そう言うもんだと思うしかないな。それと、二つ目の名前はどうも、俺とお前にしか見えないようだ。だから、万が一鑑定の魔術具で見られたとしても、その時の姿の名前しか相手には伝わらないだろう」


 ジョブのうち一番最初のものがその人物の、最も適したジョブなので、

「ん~、…錬金術師か。魔法なら俺でも教える事が出来るが、…これは、ちゃんとした師匠につかなければ錬成する事ができないな」

「……えっと、どうなるの?」


 師匠の当てなど有る訳ないイースは困っているが、幸いシャギーがこれから行こうとしている所が、錬金術にぴったりの所であると気が付く。


「俺の本当の行き先はアレッドカではなくて、イエロキーにしていたんだ。『魔力過多症』は口実だったしな。大賢者の話もでたらめだし」


シャギーのいい加減さにため息一つ付いて、

「ハァ……なんて言ったらいいのか。……でも何でイエロキーなの?」

「ここイエロキーは、魔術や錬金術の研究が盛んに行われているからな。俺は魔術を極めてみたいと思っていたからイエロキーの首都を目指していたけど、こうなってみるとイエロキーで正解だったな」


 聖都サマリーアートに着いたら、イースの師匠を探してやろうと心に決めて、

「ここで錬金術の修行をする事になるな‼ がんばれよ!」

他人事ひとごとだと思ってる?」

「実際、他人事だぞ」

「んーーー‼」

 頬を膨らませて怒るイースであった。


「あとは、この『検索』ってなんだろね?」

「なんだろなぁ? グー◯ル検索だったりして?」

「もう! 真面目に考えてよ‼」

「と言われてもなぁ……」

 実際、『検索』のスキルを使ってみない事には分からない。


 イースは、ある事に気が付いて、

「シャギーは、どうやって『百貨店』を使う事が出来たの?」

「ああ、その表示されている文字を触ったんだ」

「こう?」

 ステータス画面を触るイースであったが、

「何にも起こらないけど?」


 あきれ顔のシャギーが、

「いや、これは俺がお前のステータスを表示しているだけで、イースが自分でステータスを表示させて、触らないと効果が表れないんじゃないのか?」

「……そうかも」


「どうやって、ステータスを表示させるの?」

 シャギーは、聞かれたくない事を聞かれ、言葉に詰まる。


「…………ああ、それはな……」

「何、その間は?」

「ちょっと言いづらいんだが、…傍から見たら厨二病ちゅうにびょうみたいなことしないと、表すことが出来ないんだよ」

「えっ、でもシャギーは、さっき何もしてなかったよね?」

「さっきのはあくまで、お前のステータスを俺が【鑑定】しただけだしな。今は、慣れたから動作も言葉も無しで、ステータスを表すことが出来るようになんだが……」


 シャギーも初めの頃を思い出して、

「慣れないうちは、恥ずかしくて一人で悶絶死もんぜつししそうだったよ。……もっとも、ステータスが見えるなんて人には言えないから、人目に付かない所でやっていたけどな」


「…………えっと、教えてもらえるのかな?」

「…良いけど、俺を恨むなよ」

 シャギーは、まるで特撮ヒーローの変身ポーズの様なアクションをしながら、

「ステータス オープン」と唱えた。シャギーのステータスが現れた。


 唖然としながら、

「……これ、本当に必要なの?」

 シャギーは自分のステータス画面を消して、

「俺も、何かほかに方法が無いかいろいろ試したけど、結局これしかステータスを表すことが出来なかったんだよ、観念してやってみろ!」


「ステータス オープン‼」

「出たな」

「出たね。……はぁ~ やりたくないよ~‼」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ