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19章 この子たちだ!

 セーラとローラが屋根裏部屋に戻(もど)ると、サルのサスケが部屋の中にいました。きっと迷(まよ)い込(こ)んだのでしょう。サスケはセーラとローラの方をじっと見ていましたが、ローラの肩(かた)に乗りました。

「サスケはローラになついてるわね。」

「でも、ラムダスさんは心配しないかしら?」

「今日はもう遅いから、明日(あした)おとなりのお屋敷(やしき)に返しに行きましょう。」

 セーラがそう言ったので、ローラはサスケを自分のベッドに入れて一緒(いっしょ)に眠(ねむ)りました。


 次の日、セーラとローラはサスケをとなりのお屋敷(やしき)に返しに行くことにしました。ローラが抱(だ)きかかえているサスケは、離(はな)れたくないのか胸(むね)にうずくまってキーキー鳴いています。インターフォンを鳴らすセーラも、あのお屋敷に入れるのでわくわくしていました。

「時間が早ければ昨日(きのう)のうちに、お返しにうかがおうと思いました。あまり遅い時間に来られても迷惑(めいわく)かと思いましたので。」

 セーラがこう言ったので、横にいたローラもこう言いました。

「インドの忍者(にんじゃ)さんにサスケをお渡(わた)ししましょうか?」

「彼(かれ)がインド出身であることをよく知っているね。」

 クリスフォードさんが笑顔で言ったので、ローラがラムダスにサスケを渡しながら言いました。

「あたしたち姉妹(しまい)はインドで育ったんです。」

 それを聞いたクリスフォードさんと横にいたカーマイケル弁護士(べんごし)は驚(おどろ)きました。そして、クリスフォードさんが言いました。

「インドだって?君たちのことを教えてくれるかい?」

 セーラは少し困(こま)ったような笑顔で答えました。

「わたしたち姉妹はインドで育ちました。もともとはとなりの学院の生徒でした。」

「生徒でした?いったい、どういうことなんだ?」

 クリスフォードさんの疑問(ぎもん)に、ローラもこう言いました。

「今は屋根裏部屋に住んで、メイドとして働いています。」

「カーマイケルくん。確か、君は娘をとなりの学院にスパイとして送っていたな。君が彼女(かのじょ)たちと話をしてくれ。」

 クリスフォードさんは面倒(めんどう)ごとをカーマイケル弁護士に押(お)しつけました。しかし、クリスフォードさんの弁護士で、お父さんでもあるカーマイケル弁護士はこの双子の少女から話を聞きだすのにうってつけの人物でした。


「君たちのお父さんは?」

「ダイヤモンド鉱山(こうざん)の事故(じ)に巻(ま)き込まれて死んでしまいました。わたしたちにはお金を残さずに。」

 セーラは小さな声で言いました。

「カーマイケルくん!カーマイケルくん!」

「うるさいです、旦那(だんな)!静かにしてください!」

 大声を出すクリスフォードさんをカーマイケル弁護士が制(せい)し、こう続けました。

「ところで、君たちとお父さんの名前は?」

 カーマイケル弁護士の問(と)いかけに、セーラとローラは答えました。

「わたしはセーラ・クルーです。」

「妹のローラ・クルーです。あたしたちの父の名前はラルフ・クルーです。」

 それを聞いて、クリスフォードさんの顔がぱあっと明るくなりました。

「カーマイケルくん、私が探(さが)していたのはこの子たちだ!」

 喜ぶクリスフォードさんを見守りながら、カーマイケル弁護士がつぶやきました。

「旦那、よかったですね。」


 その頃(ころ)、ジャネットはお母さんのクレア・カーマイケル夫人と話をしていました。ノーラとドナルドは、別(べつ)の部屋(へや)で遊んでいます。

「ママ、となりの学院には磨(みが)けば美しい宝石(ほうせき)になる原石のような双子のお姉様がメイドとして働いているんです。おじ様が何か叫(さけ)んでいたようだけど、何かあったのかしら?」

 カーマイケル夫人が娘に答えようとしたとき、夫のエリックが飛んできました。

「クレア!ジャネット!亡(な)くなったクルー大尉(たいい)の双子のお嬢(じょう)さんが見つかったぞ!」

 カーマイケル弁護士はそう言って、セーラとローラを連れて部屋に入りました。

「パパ、ママ、私が言っていた双子のお姉様はこの方たちよ。」

 ジャネットが嬉(うれ)しそうにこう言いましたので、カーマイケル夫人は思わず涙(なみだ)を流しました。

「クリスフォードさんは事故に巻き込まれてクルー大尉は亡くなり、ほかの共同(きょうどう)経営者(けいえいしゃ)だったヴィンセントさんとアンカーソンさんは重傷(じゅうしょう)を負ってしまったの。幸(さいわ)い軽いけがですんだクリスフォードさんは3人の中の代表として、クルー大尉の双子のお嬢さんを探し出すことになったの。ジャネットの協力(きょうりょく)もあって、あなたたちを見つけられたのよ。クリスフォードさんは双子のメイドをかわいそうに思って、ラムダスさんにいろいろなものを部屋に運ばせたのよ。」

 これを聞いたセーラとローラは、嬉しくなって飛び上がりそうになりました。

「あのおじ様が、夢(ゆめ)を本当にしてくれたのね!」

「そうよ、セーラ!」

 そこに、クリスフォードさんとラムダスがやってきました。

「となりの学院から連絡(れんらく)があった。今から話をしに向かおうと思っている。」

 セーラとローラはうなずきましたので、カーマイケル弁護士も言いました。

「了解(りょうかい)です、旦那。クレア、ジャネット、お前たちはここで待っていなさい。」

 ラムダスは同行を願い出ました。

「主(あるじ)、不穏(ふおん)な気配(けはい)を感じます。手前も同行したいのですが…。」

「わかった。いくぞ、ラムダス。」

 クリスフォードさんはうなずき、セーラとローラ、ラムダス、カーマイケル弁護士とミンチン学院へ行きました。

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