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25.長女は美人な陰陽師⑦

連続投稿中になります。

読み飛ばしにご注意ください。


 その後、自宅というか日下部家に帰り着いた僕達は飛鳥姉と風夏から厳しい尋問を受けることになる。

 どうして帰りが遅くなったのか。どうして連絡がつかなかったのか……まるで間男と逢引きしていた若妻に浮気を問い詰めるような厳しい尋問だった。


 ちなみに……道の真ん中で全裸になってどうしたかと言うと、アイテムボックス内に入っていた服などに着替えることで事なきを得た。

 あの雪原ではアイテムボックスを使うことができなかったのだが、脱出したら問題なく服を取り出すことができた。

 どうしてだろうと華音姉さんに訊ねてみると、あの雪原は狛老鬼が生み出した結界のようなモノであり、あの中では空間を跨ぐような術や魔法は封じられてしまうらしい。

 亜空間から道具を取り出すアイテムボックスが結界の外に出るための術とみなされ、妨害されていたようだ。


「弟くん、そんなに大変な思いをしたんですね! お姉ちゃんが慰めてあげますから!」


 華音姉さんには、僕が異世界で勇者をしていたことは説明しておいた。女神の加護を見せてしまったのだから、もはや隠す理由などない。

 話した直後、涙を流してムギュッと胸に抱きしめられたのはとても嬉しい……いや、大変だったが。

 どうやら、兄とのことを置いておいても華音姉さんの甘やかしは無くなりそうもない。まあ、急に淡白にされても寂しいし、それは良かったこととしておこう。


 ついでに補足しておくと、華音姉さんは風夏が超能力者であることは知らなかった。

 さりげなく『超能力』について尋ねたところ、「そんなもの、あるわけないじゃないですか。常識的にありえないですよー」とほんわかとした顔で言っていた。

 うん、常識って何だろう。『陰陽師』やら『妖魔』やらだって十分に非常識な存在だと思うのだけど。


 ともあれ、風夏に続いて華音姉さんの秘密まで知ってしまったわけだが……それで僕の日常が変わったかと言うと、そうでもない。

 華音姉さんは相変わらずの過保護であり、ことあるごとに僕の面倒をみようとしてくる。

 甘々でえちえちで……むしろ、僕が異世界で勇者をしていたことを話すと、「頑張った弟くんへのご褒美です!」とスキンシップがより過剰になった気がする。


 まあ、兄貴には悪いけど、嬉しくないといえばウソになるし……これは大人しく受け入れておくとしよう。



     ◇          ◇          ◇



 そして……これは完全に余談だが、この事件からしばらくして僕が通っている高校で奇妙な噂が流れるようになった。


「なあ、知ってるか? 最近、このあたりに変質者が出たらしいぞ?」


「変質者?」


 授業の合間の休み時間、クラスの男子からそんな話をされて僕は首を傾げた。

 変質者とは物騒なことだと他人事のように思ったが……直後、頭を殴られたような衝撃を味わう。


「何でも、全裸の男女が学校の校門前に出たらしいぜ? 学校の監視カメラにバッチリ映ってたってよ」


「ブッ!」


 思わず、飲んでもいない牛乳を噴きそうになる。

 もちろん、飲んでいないから噴いたりはしなかったが。


「顔は映ってなかったみたいだけどさー。隣のクラスの女子も見たってよ。男女で露出狂とかマジ珍しいよな」


「そ…………ソウダネ」


「なんでカタコトなんだよ。それに女のほうはスゲエ胸がデカくて美人だったらしいぜ。僕達もお目にかかりたいよなー」


「…………」


 男女の露出狂、おまけに女のほうはグラマラスの美女……が出たという噂はしばらく学校を騒がせることになり、一部のスケベ男子が「絶対に見つけるんだ!」「美女を捕まえろ!」と放課後に学校の周囲を自主的にパトロールすることになった。


 噂の正体であるところの僕が、しばらく戦々恐々としながら学校生活を送ることになったのは、言うまでもないことである。



ここまで読んでいただきありがとうございます。

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