第三話
20人ほどの同級生は、男が12人、女が8人。
ここに俺が加わる。
六学年に1クラスずつの、小さな学校。
空き教室が多く、一昔前は大人数だったのだろう。
いまは、ほとんどが物置となっている。
「で、これが校庭」
四時間の授業が終わって、俺は連れ回されている。
だだっ広い校庭だった。
引っ越す前にトウキョーで通っていた小学校は、ドッヂボールのコートをとるといっぱいになってしまうほどの狭さ。
今度はサッカーのコートが二面とれそうだ。
「隆文んの前のがっこー、何はやってた?」
「ドッヂボールかな……?」
「じゃあさ、バスケやろーぜバスケ!」
12人が全員集まってくる。
ここではバスケットボールというスポーツが流行っているらしい。
ルールがわからない。
「あのさ、俺、ルールわかんないんだけど」
「えっ!?」
うそー、なんでー、しらねーのー?
口々に信じられない言葉を浴びせられる。
引っ越しに引っ越しを繰り返していて思うことは、土地によって常識が変わることだ。
とりあえず、輪から離れてコートの外から眺めていよう。
よくわからないのに混じって迷惑かけるのも本意ではない。
「やっぱドッヂボールにしない?」という意見が出てくるなか、俺はふと、女子2人がこちらを見ていることに気がついた。