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91.暴走気味の弟子

◇◇◇


「ししょう〜♪ ただいま戻りましたー!」


 天真爛漫な弟子が笑顔を浮かべて帰ってきます。


「おかえりなさい。手に持っているそれは?」


 戻ってきた彼女の手には、紐で縛られたなんとも奇怪な魚が数匹吊り下げられていました。


 わーこの子お話しただけでお魚さんを無料で貰って来ちゃいましたよ。それも細長い魚とグロテスクな魚を両方。コミュ力高すぎません?


「はい、親切な漁師さんに分けて貰いました!」


 元気よく腕を上げ、魚をずいっとわたしの目の前に。


 わぉ、中々の迫力をしたお魚さんですね。特に大きく開いた目と口。指を差し出したら食べられちゃいそうです。


 と思いつつも、グロテスクな魚の口に指を突っ込む馬鹿がいます。


 そんな馬鹿は一体全体誰でしょうか? 


 わたしでした。死んでるので危険はありませんけど。


「何してるんですか?」

「いや、大きな口だなーって思いまして」


「師匠。その魚、毒持ちですよ?(背びれ限定で)」


「……え、まじですか」

「はい。あと傷口から病気に感染する可能性もあるみたいです。肌に傷とかありませんよね?」


「ははっ、そんなものありませんよ――へあっ?」


 スッと魚の口から指を引き抜くと、その指先に小さな傷が見つかりました。


 その場で固まる二人。あれ、これ専門家に助けを乞うべき案件?


「……そういえば今回の魔道具を作る際に怪我してそのまま放って置いたんでした。ま、まあこの程度、唾でもつけてれば平気でしょう」



「――だめです!!」



「え」


 強い口調でガッと人差し指を掴まれます。


「あ、あのリベア?」


 その目は獲物を捉えて離さない獣のような目をしていました。


「もしもこれで師匠に何かあったらどうするんですか? 私を一人ぼっちにして責任取れるんですか? 取れないですよね? それにみんなが悲しむことになるんですよ? なのでそれを避ける為、私が師匠を治療します」


「……すみません。確かに今の発言は軽率でしたね。謝ります。ですが治療といってもなにを?」


「チュパチュパします」


 んん? わたしの耳がおかしくなったのかな?


「すみませんもう一回」

「師匠のお指をチュパチュパします」


 んんん?


 医療行為の一環として、ここまで直接的な事をしてこようとは。師匠は今大変驚いています。


「……もう少しその、言い方どうにかならなかったんですか?」


 頬を掻きながら苦笑いを浮かべます。


 そんな困り顔のわたしを見て、弟子は大きく息を吸うと……。



「――師匠の素晴らしく美しい人差し指を畏れ多くも私の口に含ませて頂き、傷口から侵入したかもしれない毒をチュパチュパと吸い取って浄化させて頂きたく存じます」



 悪化しました。


「そんな丁寧な言い方に言い直されましても……今さら気づきましたがうちの弟子やべーですね」


「では頂きます!」


「あ、こら!」


 リベアが両手でわたしの右手を押さえ、その人差し指にパクリと喰らいつきます。それからモグモグベロベロ舐め回されました。


「ちょっ、んんっ。リベア、こんな人前でこんな恥ずかしい事やめて下さい」


 ここまで積極的な弟子はみんなで温泉に入って、フィアに催眠を掛けられていた時以来です。まさかまた催眠を!?


 と思って目を凝らして見ても、催眠にかかっている様子はなく正気のご様子。なんてこった。


 そうこうしている内に、向こうから二人が戻って来ているのが見えました。


「二人が戻って来てます。口から手を離してください!!」

「むぐむぐむぐっー!」


 自由な左手で頭をぐいぐい押してみますが、剥がれる様子はありません。


「むぐっ」


「んなっ!?」


 それどころか指先にある傷口を通り越して、根元までかぶりついてきました。


「リベアっ!?」


 そんな風に弟子と攻防を繰り広げていると彼女達がすぐ側まで。


「色々な魚が見れましたね。フィアは大満足です」


「そうね。私もいつも調理されたものばかり食べていたから生きてる魚を見るのは新鮮だったわ。さっきリベアちゃんがもらってたグロテスクな魚には毒があるんでしょう? 料理人はいつも危険と隣り合わせなのね。ところであの二人は()()()()()()()かしら?」


 そう言いながら、彼女達はわたし達の()()を素通りしていきました。どゆこと?? 


「さあ、どこに行ったんでしょう? 確かに先程まではこの辺にいたんですが。好奇心旺盛なリベアさんに連れ回されているのかもしれませんね」

「なら私達ももう少しぶらぶらしてきましょうか」

「ですね。もう一度市場を巡りましょう! 途中で会うかもしれませんし、違う発見があるかもです!!」


 ソフィー達は取っ組み合いをするわたし達に気付く事なく去っていきました。


「え?」


 抵抗をやめたわたしに、弟子が容赦なくチュパチュパしてきます。もうこの子ただわたしの指を舐めたいだけですよね?


「むぐむぐむぐむぐ……ぷはっ!」


 彼女達が再び見えなくなった辺りで、リベアの小さなお口がチュポンと音を立ててわたしの人差し指を解放するのでした。


明日も更新予定です。


ここまで読んで頂きありがとうございました!


「面白い」

「続きが気になる」

「リベアちゃん!?」


と思ったら、広告下↓の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にしていただけると嬉しいです。


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