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88.変わらない関係

この作品はほっこり系だと自負しております。(私だけかもしれない……)

「では、今日から本格的に捜索を始めたいと思います。準備はいいですか?」


「おー!」


 わたしの隣から元気な声が上がります。辺りは暗く、夜の面影を残しています。こんな朝早い時間だというのに我が弟子は酷く精力的でした。

 まったく、師匠はねむねむですよ。


 旅行気分でいるのでしょうか?


(ま、王都以外で遠くに出掛けるのは初めてですからね。リベアがはしゃぐのも分かります)


 村育ちの彼女にとって、こういう見知らぬ土地に行くだけでも新鮮でしょう。


 目的地は王国南部にある港町コルシユゥ。交易で栄える港として有名です。


 元は小さな漁村でしたが、今の貴族と商人が協力して村を統治するようになってからというもの開拓が進み、人口も増え、今では王都の次に栄えていると言われる町まで成長しました。


 それもこれも海の幸が豊富な事にあります。


 この町でとれた新鮮な魚類を近隣の町や諸国に売る事で、彼らは多大な利益を生んでいました。


(この町の商人はやり手が多いと聞きますしねぇ。ソフィーのように頭の回る人が多いのでしょう)


 今わたし達はコルシユゥに向かう朝一番の馬車に乗っています。この時間帯だからか、客はわたし達の他にいません。


「リベアは元気ですねぇー」


「私は元気が取り柄ですから!」


 ふんすっと彼女は鼻息荒く口元を結びます。


 かわいい。


「ソフィーは……まだ半分夢の中ですねぇー」


 対面に座るフィアの肩に頭をこてんと預けるソフィーは、規則正しい寝息をたてていました。


「お嬢様が本来起きる時間はもう少し後ですからね。それにしてもティルラ様はよく起きれましたね? いつも夜遅くまで起きていて、昼近くになってからリベアさんに起こされる生活を繰り返していたじゃないですか」


「あーわたしも今回ばかりは目当ての馬車に乗り遅れるわけにはいかないなーと思いまして、今日寝てないんですよね」

「それは、大丈夫なのですか?」


「大丈夫……とは言い切れませんけど、師匠の下で数日間徹夜していた事もあるのでなんというか慣れてしまったんですよ」


「それはなんとも……」


「それに一本乗り遅れると、人で混み込みの馬車に乗る事になってしまうので」


「師匠はそれが嫌ってずっと言ってましたもんね」

「ええ、こんな狭い所でぎゅうぎゅう詰めになるのは勘弁願いたいです」


 彼女達と暮らすようになって、人と接触する機会は増えたものの、まだまだ人が多いのはあまり好きではありません。苦手意識の方が強いです。


 だからこうして朝早く出る事にしたのです。


「うぅ……ねむたい」


 だけど久々の徹夜は身体にくるものがありました。やはり徹夜をするのはよくないですね。お肌にも悪いですし。


 強い眠気に襲われ、わたしが眠そうに目を擦っていると弟子がポンポンと自分の膝を叩きました。


 どうやらわたしに自分の膝を使えと言っているようです。とても魅力的な提案でした。彼女の柔らかい太腿の上なら10秒足らずして眠れる自信があります。


「師匠は寝てて大丈夫ですよ。私とフィアさんが着いたら起こしますので」


「そうですね。お嬢様もそれでいいですか?」


「んーいいわよぉ〜……」


「お嬢様、可愛いですね」


 完全に脱力しきったソフィーの肩に手を回し、フィアはんふふっと笑って自らの方に抱き寄せます。


(うわーこの人やってます。超絶悪い顔しています)


 ちらりと弟子の様子を窺うと、彼女もその光景を見てそわそわしておりました。


「……リベア」

「はい」


「おやすみなさい」


「え、あ、はい。おやすみなさいって、どゅぅえー!?」


「うるさいです。わたしはねむいんです。だから寝ます」


 ストンとリベアの膝に有無を言わさず頭を置き目を閉じます。やばい、人肌って柔らかくて最高です。ただし男は除きます。


「寝起きじゃない師匠が珍しく素直……」

「ティルラ様だって甘えたい時があるんですよ」


 ふにゃふにゃのわたしにリベアは驚きを隠せないようでした。わたし自身も自分の行動に驚いていますが、とりあえず今は寝たい……ふわぁ、居心地よ。


「私が起こしに行くといつも甘えてきますけどね」

「それだけリベアさんには信頼を寄せているという事ですよ」

「成る程。そういう事ですかー。師匠はわたしをとても信頼してくれているんですね?」


 この二人、わたしがまだ起きてる事を知ってて……そういうのは寝てからにして欲しいです


「…………うっせぇですよ。バカ弟子」


「あはは。怒られちゃいました。師匠おやすみなさい。よい夢を」


「ん……」


 優しく頭を撫でられます。


 そういえば幼い頃、こんな風に馬車の中で師匠に頭を撫でてもらった事が何度かあったような気がします。


 師匠は甘えてくる弟子にどう対応すればいいのか分からなくて最初は戸惑っている様子でしたが、やがて意を決したように頭を撫でてくれたのを覚えています。


(ん。ししょう、あなたに会いたい。あなたはわたしだけの…………)

 

 それを最後に、わたしの意識は遠くなっていきました。


【※読者の皆様へ】


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