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86.魔物が出現してしまいました

『ガウガウッ。ギイッ?』


 そこにいたのは低級魔物と称されるウルフの群れでした。


「あーあ、随分と派手にやってくれましたね」


 わたしが綺麗に整地した筈の土地は、随分と掘り返され荒れていました。


 懸命にリベアの爆発跡地を掘り返そうとするその姿は近所のわんころを彷彿とさせますが、その生態はかなり獰猛と言わざるを得ません。


 一匹だけならまだしも、それが群れになると危険度は大変跳ね上がります。


「うーん、それにしても不思議ですねー」


 この村は元々魔物の襲撃が滅多になかったみたいですし、その脅威度も低かった。あっても年に数回だとリベアが言っていました。


(それもどこかで湧いたばかりの生まれたてほやほやが数匹程度。武装した大人数人がかりで挑めば村人でも負けることはまずありません)


 だというのに今、目の前にはウルフが一匹、二匹、三匹、十匹……いっぱい吠えてますね。これは多すぎです。


『『『ガウルゥ! ガウガウッ!!』』』


 わたしがこの村に来てからは、村とその周辺に魔物の発生を抑える簡単な厄除けの魔法を掛けておいたので大丈夫だと思っていたのですが……一体どこから湧いてきたのやら。


「……とりあえず先にお掃除しちゃいますか」


 ぎらりと牙を剥き出しにして飛び掛かってくるウルフの攻撃を躱し、姿勢を低くしてそのお腹辺り目掛けて全力で蹴りを放ちます。


「そいっ!」


『キャウン!?』


 身体強化された蹴りを受けたウルフの体はたちまち後方に吹っ飛び、木の幹に激突して絶命しました。


『『『グルルルルゥ! ガウッ!!』』』


 仲間が吹き飛ばされた事で、わたしをただの餌から敵と認識したのか、ウルフ共が低い唸り声を上げて警戒してきます。


「ほいほい」


 警戒なんて知ったこっちゃあないというように、賢者は構わずポイポイと炎魔法を放ち、ウルフの群れを焼き上げていきます。


――一度弱腰になった敵は、もう敵ではありません。


『『『キャウン! キャウン!!』』』


 仲間がどんどんやられていくのを見て、群れの一匹が恐れをなして逃げ出しました。


「逃がしませんよ」


 火球に自動追尾(ホーミング)付与(エンチャント)して適当に放ちます。


 わたしの手から離れた火球は、ウルフ目掛けて一直線に飛んでいき離れた所で爆発が起こりました。


 どうやら命中したようです。断末魔のようなものが聞こえましたから。


「これで、全部ですかね」


 焼けたウルフ達の死骸が辺りにゴロゴロと転がっています。


 戦闘中、ずっと目を光らせていたので討ち漏らしはない筈です。


「つんつん、ツンツン」


 そこら辺で拾ってきた木の棒で突ついてみます。まだ実体はあるようでした。


 その焼け爛れた死骸からジュウジュウと肉が焼ける音が聞こえ、蒸気と一緒に煙が上がっています。


「おわっ!」


 やがて身体から一気に蒸気が噴き出したかと思えば、その肉体は消え、空気中の魔素となり消滅しました。


 低級魔物だと、絶命から消滅までだいたい5分くらいでしたね。


 魔物と戦うのはこれが初めてじゃありません。師匠との修行の一環で、あの人が連れてきた凶悪な魔物と幾度となく戦わされましたから。


 なので上級魔物以外に遅れを取ることはないでしょう。


「ふむ。それにしても、どうしてこの村にウルフの群れが発生したのでしょう。考えられるとすれば、別の地域からやってきた。あるいはあの時の魔力の残滓から生まれたものでしょうか?」


 魔物は空気中の魔素が異常結合した事により生まれます。リベアの魔力はわたし程ではありませんが、その質も高く、魔力量も豊富です。暴発した魔力の残り滓が時間を置いて異常発達してしまった……その可能性は一つの候補として上がります。


「でも、それにしては少し行動がおかしかった……」


 研究気質のわたしは、こうして一人で難題に取り組む事になると言葉遣いが少々変わります。集中してる時の証です。


 魔素の異常結合によって生まれた魔物の大半は知性を有しておらず、本能のままに活動するのみに留まります。


「その筈なんだけど……」


 今回の場合は人が住まう村には向かわず、一心不乱に穴掘りをしていました。これは一体どういう事でしょう?


 魔物は魔族とは違い、知能があまりよろしくありません。人を食べる、襲う。その為にはどうすればいいか。基本的にそれだけ。


 他にも魔族と魔物の間には様々な違いが存在します。


 どちらも肉体の構造に魔素が必要なのは変わりませんが、魔物の場合は肉体の多くが魔素で構成されている為、その活動を停止すると元の魔素となって空気中に分散する習性があるのです。


 しかし魔族は違います。死んでも消滅する事はなく死体は残り続けます。


 魔族とは魔物の中から生まれた高い知能を有する異常個体の事を指し、その姿は千差万別です。全身が鳥のような姿をしたものから、下半身は蛇、上半身は妙齢の艶かしい女、人語を操る大木など。有史以前からその存在は確認されていたと言われています。


(高い知能を有する故か、ごく最近まで魔族が群れる事は決してありませんでした)


 それぞれに個性がある魔族ですが、ただ一つ魔族達の間で共通しているものがあります。


 それは人間は滅ぼすべき種だと認識している事。


 最近の研究によって、魔族は人類にとって有益とはいえない意志を持っている事が分かりました。


 そのような特性が判明した頃、それまでは単体でしか行動しなかった魔族が、突如群を成して各国に襲いかかったのです。


 その原因は魔族の中で生まれた彼らを統率する特異個体。魔王と称される魔族でした。


 ザッ。ザザッ。



「――だれっ!?」



 近くで足音が聞こえ、反芻していた思考を慌てて呼び戻します。


(わたしとした事が、こんな近くに接近されるまで気付けないなんて)


 考えに夢中で周りの警戒を怠っていました。今回の場合、群れをなしていた為、可能性としては低いですが近くにはぐれウルフなどがいてもおかしくないのです。


 音のした方に杖を向けます。


「あ」


 そこにいたのは魔物でも魔族でもなく、仏頂面をした序列三位の変態くそやろうさんでした。


ここまで読んで頂きありがとうございました!


「面白い」

「続きが気になる」

「リベア可愛い!」


と思ったら、広告下↓の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にしていただけると嬉しいです。


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