表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
87/189

85.猫と賢者とピクニック

「う〜ん……だめですー。頭がくらくらしますぅ。師匠のせいですにゃー」


「はいはい。わたしもやり過ぎたという自覚がありますから。これで許してくださいよ」


 ポカポカ陽気の中、シートの上で正座をしたわたしの膝には一匹の毛並みの整った猫が乗っておられました。


 その毛色は綺麗なアッシュブラウン色をしています。そういえばわたしの身近に同じ髪色をした人がいましたね。


「ほれほれー」


「にゃーん」


 サンドイッチ片手に顎の下辺りを撫でてあげると猫は嬉しそうに目を細め、こちら側に寝返りをうってきます。


 そして太腿の間に顔をうずめ、「スーハースーハ」と興奮し出しました。


 ……なにやら人間臭い反応ですね。


「はにゃー! (ししょうのふともも……お股です!!)」


 おやおや、よく見ると猫などではなく我が弟子ではないですか。これはもうセクハラですね。


「リベア……怒らないので今から3秒以内にやめなさい」


「にゃにゃにゃ! (リベアじゃないです。ねこさんです!)」


 わたしが優しくなってるのをいい事に、弟子は腰に腕を回してきます。ほんとに魔法で猫耳と尻尾をつけてやりましょうかね?


「そうですか。あくまで猫という(てい)で行きたいわけですか……いいでしょう。そんなにわたしの太腿を堪能したいなら、こっちからやってあげます」


「にゃふ!?」


 太腿にすりすりとほっぺを擦り寄せていた変態さんの頭をガシッと掴み、「おりゃー」と一声。自分の太腿に押し付けます。


「むぐむぐむぐ!?」


 あれわたし何してるんでしょう? これじゃあもうどっちが変態か分からないです。


「んーんぅーーん!!」


「あ」


 苦しそうにもがいていたのでパッと手を離すと、リベアは息を求めて仰向けに寝転びます。


「ぷはっ! なにするんですかもう! 師匠の匂いを堪能できて私は満足ですけど!!」


「わたしもよく分からなくなってました。でも猫タイムはお終いです」


「むぅー。ねこはやめますけど膝枕は続けてもらいますよ! 師匠は私がやめて、もう無理、限界だって言ったのにやめてくれな――んむっ」


「さっきの今だと卑猥に聞こえるので、大人しく自分の作ったサンドイッチを頬張っていてください」


 彼女の口にサンドイッチを押し込み、わたしもモグモグします。中身はたまごでした。


 そんなわたし達を見て眉を顰める人物が一人。


「はぁ、特殊なプレイは家の中だけにしてちょうだい」


 甘甘過ぎるわよと言って、ソフィーはフィアから受け取った紅茶をごくりと飲み干します。


 たまごサンド、そんなに甘かったでしょうか?


「いや、家の中でもだめでしょう」


「もう見慣れたから」


「見慣れたって何をですか!? わたしは何も――」


 抗議しようとしたわたしの言葉を遮り、ソフィーは魔法の言葉を口にします。


「毎朝、抱き枕、お着替え、お分かりかしら?」


 ぐはっ! 思わず吐血してしまう所でした。


 わたしは朝が弱いのです。


 師匠は寝起きは案外シャッキリしていた人でしたがわたしは違います。とにかく色々な意味でダメなのです。


「う、ううっ」


「リベアちゃんに毎朝色んな迷惑を掛けてるわよね? 抱き枕プレイ。子供みたいに着替えをねだったり、その他諸々。今は一人じゃないのよ? 私だっているんだから。リベアちゃんとフィアが朝食作りで忙しい時は私が起こさなきゃいけないのよ?」


「う、すみません……善処します」


「お嬢様、それくらいに。ティルラ様のライフがガンガン削られております」


「まあ体質は簡単に治るものじゃないわよね。あ、白湯なんてどうかしら? 健康にも良いと聞くし」

「では翌朝からお嬢様にも」


「私は遠慮するわ。美味しくはないし」


「お嬢様……」


 やらかしていた時の記憶がはっきり残ってしまう辺り、わたしの体質は最悪ですね。うん、一度記憶をリセットさせたいくらいです。


 正直、リベアが普段してる事より寝惚けたわたしがやってる事の方がセクハラ度は高いですから。


「ティルラ様、ここで耳寄りの情報です。お嬢様、口では起こしに行くのめんどくさいとか言っちゃってますが、実は密かに楽しみにしてるんですよ? フィアが起こしに行って下さいと伝えると鼻歌まじりに階段を上っていきますから」


「――ちょ、フィアなにを言って」


「だからティルラ様。お嬢様は望んでやっていることですのでもっとぐちゃぐちゃにしてあげても――ふむっ」


「あなたは少し黙っていなさい!」


 ソフィーに口を押さえられ、フィアはシートの上に押し倒されます。


「んーんぅーー!!」


「師匠、私も望んでいますからキスも大歓迎です!!」


 膝枕状態の弟子が腕を大きく広げてこちらに笑顔を向けてきます。


 ……襲いたくなっちゃうのでやめてほしい。というか心臓に悪い。


「……善処します」


 もはや寝起きのわたしはわたしではありません。自分の意思ではどうにも出来ないことなので、二人にはそう答えるしかありませんでした。


 その時です。


「――!!」


「師匠、どうかしましたか?」


「……野暮用が出来ました。少しの間、三人だけでピクニックを楽しんでて下さい。すぐに戻ります」


「え? 私も行きますよ」


「大丈夫です。大した用ではありませんので」


「大丈夫って……あ、ちょ師匠!!」

 

 魔法で身体強化したわたしは高速で移動を開始します。この時点でわたしの動きを目で追えていない今のリベアでは、後を追うことは不可能です。


(この気配は……)


 目的地は現在魔力の溜まり場になっている地。リベアが過去に魔力を暴発させた場所でした。


ここまで読んで頂きありがとうございました!


「面白い」

「続きが気になる」

「リベア可愛い!」


と思ったら、広告下↓の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にしていただけると嬉しいです。


ブックマークも大歓迎です。感想もお待ちしております。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ