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62.元気の源

ユリアちゃんはまだ出てきません。次回に登場する予定です。

「へえ。我が国の姫様と勇者様が婚約――そのお二人の結婚式が先日執り行われたんですかー」


「そうよ。……高貴なる姫様と平民の出でありながら世界を救い、姫様の心を奪った勇者様との結婚はこの国に住まう国民にとって、とても大きな出来事の筈だったのになんであなたは知らないの?」


 誰もが憧れる王道ストーリーが現実のものになったのよと興奮する乙女なソフィーとは反対に、全く知らないという風に、きょとんと首を傾げてみると彼女に大きなため息をつかれました。


 うむむ、どうやら私は一度研究に没頭すると熱くなって周りが見えなくなってしまうようですね。


「あの、ソフィーさん。その話、私も知らなかったです……」


 最近ではそれが弟子にも伝染しているようで、ソフィーからリベアの教育に良くないとよく小言を言われています。


「リベアちゃんはいいの。でもちょっとティルラに毒され過ぎよ」


 話を聞いて、申し訳なさそうにしゅんとするリベアをソフィーは慌てて擁護しました。


「はい……」

 

 リベアは母親に怒られた後のように、分かりやすく項垂れます。ですがその先で何かを見つけたのか、パッと顔を上げました。


 あ、すごい嫌な予感……。


「あ、師匠! 私たちも結婚しましょうよ! つい先日、婚約指輪も買ったじゃないですか!!」


 そう言って買ってあげた日から、肌身離さず嵌めている指輪を「ほらほらー」とこれみよがしに見せつけてきます。


 約束はちゃんと守ってくれているようで、外に出る時は外してくれているようですが、しっかり持ち歩いてはいるようです。


「婚約指輪のつもりで買ったわけではないとあの日言いましたよね。ただの師弟のお揃いの品というだけです」


 私の師匠もそう言って、ガラクタをいっぱい買ってきやがりましたからね。それも私のお小遣いで。


「うーん……リベアちゃんはもうちょっと自重を覚えた方がいいわね。流石のティルラも引いてるわよ」


「ええ、そんな事ないですよ! 私は師匠一筋で絶対浮気をしないって事を分かってもらいたいだけなんですから!」


 もう十分に分かってるんですけどねー……。この子の愛には上限というものがないのかもしれません。


「もう少ししたらお昼だから一旦切り上げなさい。フィアが昼食の用意をしてくれているわ」


 あれから正式に私たちの家に住むことになったソフィーとフィアは、頻繁に外に出かけて事業の足掛かりを作ることに邁進していました。


 その過程で私はフィアさんの事をフィアと呼び捨てで呼ぶ事になりました。


 これから生活していく上でフィアは私とソフィーの使用人という立場になります。私は呼び方なんて人それぞれですし、別になんでも良かったんですが、フィアとしては目上の人に敬称で呼ばれるのは慣れないらしく、私に呼び捨てで呼んで欲しいとせかんできました。


 面と向かいあって言われたら、可愛い子に弱い私が断れるわけもなく、フィアと呼ぶ事を了承しました。


 リベアの方はある程度年が近い事もあって、今まで通りフィアさんとお呼びするそうです。リベアもリベアでフィアには懐いていますからね。


「了解。聞きましたねリベア? フィアが私たちの大好物を作ってくれているようです。あと少し頑張りましょう!」


「はい!」


「そんな事言ってないわよ……それと、あと5分は無しだから」


「分かってるって……」


「そう言って毎回分かってないじゃない。あなたも自分の家のルールくらい守りなさい。家主なんだから」


「ぶー。ソフィーはその家主に向かって生意気ですねー。もちろん守りますよ。でも少し意外でした。あなただって忙しいのに必ず食事の時には戻ってきてくれますから」


 私の家に住むにあたってのルールに、出来るだけ家族揃って食卓を囲むというものがあります。


 忙しい筈のソフィーもそのルールは律儀に守ってくれます。


 やっぱり優しいですね。


「まあ、みんなで食べると美味しいし……」


 あと最近はよくデレるので可愛いです。


「ふふ。今やってる所を終わらせたら行くので、先にリビングに行っててください」


「……分かったわ。リベアちゃん、ティルラの事よろしくね」


「はい、任されました!!」


 ソフィーは去り際、リベアに声を掛けると地下の部屋を後にしました。


(失礼しちゃいます)


 私だって世間知らずにはならないようやめる努力はしているんですよ? ですが毎度あと5分やったら休憩しようと思って時計を見ると、だいたい5時間くらい経っているのです。


 私は悪くありません。私の体内時計に現実の時間の進みが合ってないだけなんですから。


「師匠、ここはこれで大丈夫ですか?」


「はい。問題ないですが、もう少し丁寧に入れられるといいですね」


「分かりました!」


 ここ数日は前回失敗した噴水型魔道具製作に挑戦中で、手伝ってもらってるリベアにも徹夜を強いてしまっていました。


 彼女は「全然大丈夫です! むしろ徹夜するなら別の事もしてみませんか?」と饒舌に語り出すくらいやる気があったので「それじゃあ完成して余裕があったらいいですよ」と煽ってみると、目を爛々とさせて「やります!!」と食い気味に迫ってきたので言葉通り三日ほど徹夜してもらっていたのですが、いくら適度に仮眠をとってもらっているとはいえ、徹夜に慣れていないリベアには少し酷でした。


 私の場合は一週間くらい寝なくてもなんとかなりますが、どんな天才でも疲労は溜まります、その証拠に私もリベアも目の下に大きな隈を作っていました。


「ふぅ。では先程ソフィーに釘を刺された通り、休憩にしましょうか」

 

「はい!」


 前回失敗した原因は私の魔力が強すぎた為です。なので今回は私の魔力を使う代わりに完成した魔道具にはリベアの魔力を注ぎます。


 その間の過程には何も問題はなかったと前回確認しているので、今回はリベアに一から魔道具の作り方、魔術刻印の仕方を教えながら噴水型魔道具2号ちゃんの製作にあたっていました。


 これはリベアにとっても良い経験になります。いずれは独り立ちして、一人で新しい魔道具を製作していく事になるでしょうから。


 リベアは発想力でいえば、普段からも妄想で分かる通り中々の物があるので、自分で作れるようになれば私よりもっとすごい魔道具を発明すると確信しています。


 それくらい彼女には期待していますし、期待に応えられる才能がありますからね。


「ううーん。上に行く前にちょっとソファに飛び込ませて下さい」


「師匠は子供ですか……」


「15歳は成人年齢と定められていますが、まだ立派な子供ですよー」


 覚束ない足取り。ベッドに入ったら即夢の世界だったので、少し腰を下ろそうと思って備え付けのソファにぼふんっ、と顔面から柔らかな布に沈み込みます。


 ああ、やばい、動けません。


 程なくして片付けを終えたリベアがふらふらーっと近づいて来たと思ったら、彼女が私のお尻の上に座り、跳ねるように上下してきました。



「あうっ。あうっ。リベアやめてっ……!!」



「えへへ。疲労が嘘のようになくなっていきます!!」



 悲痛な師匠の叫びは聞こえないというように、弟子は容赦なく私のお尻を弄びました。


(だめです。疲れすぎて全く抵抗できない……)


 そして少しの間、私の意識は途切れる事になります。



 その後、さらにふらふらになった足取りでリベアに支えられながらリビングに入ってきた私を見て、何があったのかと二人は目を丸くするのでした。


 私は知りませんでした。それが嵐の前の静けさという名の最後の休息タイムだったということを。


ここまで読んで頂きありがとうございました。


皆さんの元気の源はなんでしょうか? 良かったら教えて下さいね。


ブックマークもいよいよ400間近で、総合ポイントも2000ポイントまで後、数ポイントとなりました。


改めてまして、ここまで応援頂き誠にありがとうございます! 


 その応援に応えるために、私もまた執筆を続けます。


これからも宜しくお願いしますね!! 


水篠ナズナ

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