48.恥ずかしがり屋のソフィーさん
読者の皆様お待たせしました、最新話公開です!
今日はツンツンしてるソフィーさんがメインです。
「それにしても、あのティルラちゃんが弟子を取るとは意外だったな。てっきり生涯独り身を貫くものだと」
「いや結婚願望はありましたよ。ただ、アラン様の言う通り、弟子を取るつもりはありませんでしたが……」
「えへへっ、私は師匠の一番弟子です!」
こちらに羨望の眼差しを向けるリベアを一目して、はぁっーとわざとらしく、大きなため息をついてみせます。
「取るつもりはなかったんだけど?」
「……彼女が結構いい条件を出してきたから仕方なくです」
「師匠のためなら、私なんでもしますから!」
彼女の私に対する愛が、どんどん重くなっていってる気がします。
この子、基本的にずっーと私の事をキラキラした目で見てくるので困っちゃうんですよね。嬉しいですけど。
とか思っていると、さっきまで隣にいた筈の弟子は次に見た時には消えており、前を歩くアラン様の隣を歩いておりました。
「あのアラン様。師匠って昔はどんな人だったんですか?」
「え、それ普通本人がいる前で聞きます……?」
「どうなんですか?」
「あ、無視ですか。そうですか。アラン様、言わないで下さいね」
だめですよ? と笑顔を向けると、アラン様は満面の笑みを浮かべました。その顔は弟子に隠し事をするのはよくないよって言っているようでした。
ちくしょうめ。
「私が知っている2年前、ちょうど12歳の頃の話なんだけどね。その時のティルラちゃんは……」
「こっちも無視ですか……」
何も本人の前で言わなくても……もうどうにもなりやがれデス。
私は耳を塞ぎ、聞こえないふりをします。
「へぇ……」
「ほうー」
「え、そうなんですか⁉︎ まさか師匠がそんな事を……」
一体リベアに何を言っているのか非常に気になりますが、絶対に思い出したくないので、私は耳を塞ぎ続けました。
「あー何も聞こえない聞こえないー……」
そうこうしている内に、グラトリア家が見えて参りました。
「おや、あそこにいるのは……ソフィー? 先に入ってたんじゃなかったんですか?」
私たちがグラトリア邸に着きますと、美しい金髪の少女が、門を背にして立っておられました。
機嫌悪そうに、しかめっ面をしています。
(こうして黙っている時は、本当にいいところのお嬢様にしか見えないんですけどねー)
そのお姿はまさしく深窓の令嬢といった雰囲気で、知的で優雅なオーラが漂いまくっていました。初めて会った人が彼女に騙されるのも無理はありません。
ですが彼女は確かに知的ではありますが、実際に喋り出すと、この上なくめんどくさい子です。
「なによ、入るなら一緒に入った方がいいでしょ?」
プイッとそっぽを向くソフィー。そこそこ付き合いも長くなってきたので、彼女が今何を考えているのか大体分かります。
大方、見栄を張って邸宅の前まで来たものの、いざ門の前に立ったら、一人で入るのが怖くなってしまったのでしょう。
じいやさんとフィアさんもいますが、二人はあくまで使用人ですので、一緒に中に入るというよりはその一歩後ろを歩き、ソフィーの帰宅をお迎えする側なのです。
だからソフィーは、歓迎される側である私とリベアに目をつけ、一緒に入ろうと思って、ここで私たちが来るのを待っていた――という予想を立てて、フィアさんに「っと、わたしは考えたのですが、どうでしょう? あたってます?」といった視線を送ると、その意味に気付いたフィアさんが苦笑いで応えます。
どうやら正解のようでした。
だったら私が取る行動も一つしかありませんね。
「あーそうですね。久しぶりにお母様と会うのが恥ずかしくて、ビビっちゃってるんですよね? 分かります分かります。おてて繋いであげましょうか?」
そうして差し出した手をソフィーがわなわなと身体を震わせながら、はたきました。
「あいたっ!」
「馬鹿にしないでちょうだい!! 暫く会っていなかったから、どんな顔して会えばいいか分からないだけで、全然びびってないんだから!」
「おやおや。アラン様とはずいぶん態度が違いますね。まあ、そうですよね。ソフィーはリーナさんの事が昔から大好きでしたから。何を言われるのか怖いんでしょう? 重度のマザコン、ソフィーちゃん♪」
「ななっ、なななな!? そ、そんな訳ないでしょう! ありえないわ! ほら、二人とも早くいくわよ。リベアちゃんも、お父様も!!」
「わっ!」
ニコッと悪魔の笑顔を向けると、ソフィーは顔を真っ赤にして逃げるようにリベアの手を取り、門を開けて中へ入ります。
ソフィーの母親大好き具合もそうですが、お母様の方も中々のものなんですよね。むしろ、リーナさんの方がやばい気もします。絶対リベア食べられちゃいます。
なので今のうちに手を合わせておきましょう。リベア、なーむー。
……これで合ってますかね? 師匠の屋敷にあった古い書物に書いてあったやり方なんですが……まぁ、お祈りならなんでもいいか。
「はいはい。私たちも行こうか、ティルラちゃん」
「はい」
私たちが門をくぐると、フィアさんとじいやさんが静かに門を閉めます。
敷地に入った辺りで一度後ろを振り返ると、そっと目を伏せて、お臍のちょっと下辺りに両手を置くフィアさんと、両手を後ろに回し、キリッとした体勢を維持するじいやさんの姿が目に入りました。
二人とも気持ちをすっかりメイドと執事に切り替えたようです。
そして入り口の前に立つと、後ろを歩いていた二人がスッと前に出てきて、それぞれ片方ずつ扉に手を掛け、ゆっくりと扉を開きます。
「「「ソフィーお嬢様、お帰りなさいませ」」」
扉の先に広がる光景は、それはそれは貴族らしいものでした。
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