表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/189

22.ソフィーの暴走

「師匠。ただいま帰りました」


「リベアさん、お買い物お疲れ様です。買い物袋はフィアが持ちますよ」


 買い物から帰ってきたリベアを出迎えたのは、ソフィーの専属メイドであるフィアさんでした。


「ありがとうございます。あの、師匠は?」


「その……奥にソフィー様と」


「? 分かりました。ありがとうございます」


 顔を赤らめながらリビングを指差すフィアさんに、リベアは首を傾げながらも、丁寧にお礼をします。


 フィアさんから、私の所在を聞いたリベアが、くんくんと匂いを嗅ぎながら、こっちへやって来ました。可愛らしいですね。


「なんだか、いい香りが……って、あれ、師匠!? なんで裸!?」


「お帰りなさいリベア。裸じゃないですよ。ちゃんと下着は着ているじゃないですか」


「私にとって、下着は裸同然です」


「あなたは何を言ってるんですか?」


 やっぱり、うちの弟子は少しおかしいかもです。


「それより師匠……」


「えぇ……」


 弟子が目を丸くしています。それもそうでしょう。なにせ、今の私には……。


「ねぇ、ティルラ〜。あたしの話ちゃんときいてるぅ〜?」


「はいはい、聞いていますから。まったく……」


 ソファーの上で、下着姿の私にすりすりと抱きつくソフィーが、そこには居ました。


「し、師匠。そのどうしてソフィーさんと……まさか、うわ――」


「失敗したんです」


「え?」


「最後の仕上げで失敗したんですよ。リベアもさっき匂いを嗅いでいましたよね」


「はい……」


「魔導機器に付与する筈だった魔法瓶(ポーション)の効能が、私の服……というか、私に染み付いちゃいまして。その結果こうなっちゃったんです」


 私の腰にがっしりとしがみつくソフィー。完全に魔法瓶の効能にやられてますね。


「えっと、師匠が付与しようとしてたのは、なんの魔法瓶だったんですか?」


「心の疲れを取る、リラックス系の魔法瓶を二つですね。一つは匂い付きです。良い香りがしますので、合わせたら良いものになるかなーと思いまして……まぁ、効果は見ての通りです」


「ティルラ〜!!」


「ぎゃあー!!」


「……効果覿面のようですね」


 私とリベアが話をしているのに、嫉妬したのか、ソフィーが私の上に覆い被さってきます。完全に押し倒されました。


「あ、ソ、ソフィー。ちょっと、いやだよ。離して」


 手首を捕まれ、頭の上に回されます。そしてソフィーが爛々と目を輝かせて、私の事を見下ろしてきました。


 なんだか、身の危険を感じます。


「だめ。あたしの話聞いてくれるまで、離してやんなーい」


「ソフィー。言葉遣いが昔の頃に戻ってます!」


「うぅん? なぁに〜?」


 これはまるで酔っているかのような状態です。まあ、魔法瓶(ポーション)ですので、例えとしては、間違っていないのでしょうが……。ちょっと効き過ぎですね。


「と、とりあえず落ち着いて。まずは私の手首を離してください」


 力技では到底ソフィーには敵いません。


「えぇ、どうしよっかなー」


 んふーと何やら、魅惑的な笑みを浮かべております。怖いです。


 チラッと弟子に助けを求めると、「はわわ……」と口元をおさえていらっしゃいました。


 弟子はわなわな震えているだけで、助けてくれる様子はありません。


(なっ、師匠がピンチというのに助けようとしないとは……そんな悪い弟子には、後でお仕置きが必要ですね」


「んぅ……なんかつかれたわ」


 ソフィーの拘束が緩みました。チャンスです。


 私はその隙をついて、ぐぐぐっとソフィーを押し返し、なんとか片手を解放します。


 そしてソフィーに向けて、軽めに魔法を放ちました。


 しかし放った魔法は、至近距離にも関わらず、ひょいっと躱されました。


「なっ!?」


 ソフィーは運動音痴ですが、動体視力だけは良いようです。


 魔法瓶(ポーション)の影響もあり、何か覚醒しちゃってるのかもしれません。


「ティルラ。勝手に動いたら、らめー」


 再びソフィーに押し倒され、今度は互いの鼻と鼻が触れ合う距離まで迫られます。今度はがっちりと手首を捕まれ、逃げられません。


「ち、近い! 近いですソフィー。リベア助けてー!」


 耳をすますと、なにやらボソボソと声が聞こえます。


「……これが寝取られというやつでしょうか……なんだかゾクゾクします」


 ひいっ! 


 だめです。もう弟子は逝っちまいやがってました。


「うふふ。なんだか頭がふわふわするわ。ティルラ、頂きまーす」


「ちょっ、勝手に頂きますしないでください!!」


 ソフィーは片手で器用に私の両手を拘束すると、私の頭の後ろに手を入れ、私と寝転ぶように、口づけを迫ってきました。


「心配しないで。あたし、慣れてるから――」


「そういう事じゃないんです! リベアぁぁぁー!」


「はわわ。師匠が寝取られます」


 大ピンチでした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ