155.王都での生活
こんにちは。私の名前はリベア・アルシュン、14歳。こう見えても立派な大賢者の正統後継者です!
「ふわあぁぁ〜」
今日は久しぶりの休日。朝から寝ぼけ眼を擦りながら寮の食堂で朝食を頂いています。
魔学に、座学に、貴族作法。
最近は色んなことがあり過ぎて、毎日がとても忙しかったです。
私は貴族ではありませんが、今は書類上グラトリア家に属します。ですので、貴族作法も授業の一環として受けなければなりません。
(教えてはくれませんでしたが、うちの師匠もそういった教育受けてるっぽいんですよね〜)
礼節やダンスレッスンはまだしも、村育ちの私にとって上流階級のテーブルマナーは中々慣れませんでした。
新しいことを覚えるのは楽しいけど、それ以上に覚えることが多すぎました。
「おはようございます!」
「おはようリベアちゃん。今日はお友達とどこかに出かけるのかい?」
「いえ、特にそういう予定はないですけど……そうですね。せっかくの休みなので二人を誘ってみます!」
「ああ、そうするといいさ」
管理人のおばちゃん(元魔法使い)に挨拶して、部屋に戻るといつも遊びに来ているヴァネッサもルームメイトのニーナちゃんもいませんでした。
「あ、そっか。今日はニーナちゃんもヴァネッサも用事で出掛けてるんだっけ。じゃあ久しぶりの一人かぁ……」
そもそも一人で食べている時点で気付くべきでした。最近はみんな起床時間がバラバラになってきていて全然意識してなかったんですね。
私たちの中で一番の早起きはヴァネッサで日が昇る頃にはもう起きています。次に早いのがニーナちゃんで大体規則通りの時間帯に起きてきます。
三人の中で一番遅いのが私で、他の人が朝食を食べ終えたくらいに目が覚めます。
村での生活で、師匠のだらけ癖が私にまで移ってしまったのかもしれません。
「お陰で初日は寝坊して、ニーナちゃんに起こしてもらうという失態まで犯しちゃいました」
同室のニーナ・エルクスさん。男爵家のお嬢様です!
ニーナちゃんはとてもいい子で、学院では殆ど行動を共にしていました。そこに入学試験で知り合ったヴァネッサが混ざってきた感じですね。
『あたしのことはヴァネッサでいいぞ。これからよろしくな。ニーナ、リベア』
『は、はい〜。ヴァネッサさん』
『ヴァネッサ、だ。さん付けはいらない』
『うぅ、わかったよ。ヴァ、ヴァネッサ!』
『それでいい。お前もだぞリベア』
『分かりましたよ、ヴァネッサ』
『敬語』
『性分ですので』
『それなら仕方ねぇか。ほら授業が始まっちまうぞ。教室に移動しようぜ』
『そうですね』
『ま、待ってよ二人とも〜!』
頭が良く、教え方も上手いのでヴァネッサはよく彼女に授業で分からなかった事を聞いたりしていました。
特にヴァネッサは座学が苦手らしく、かなり頑張らないと卒業が危ういレベル。
よくこれで合格できたなと思いましたけど、試験の日は徹夜漬けで頑張ったみたいです。
(それで合格するのもすごいけど、たぶん実技の点が良かったんだろうなー)
私もヴァネッサもどちらかといえば実技型なので、机に向かうより身体を動かしたいと思ってしまうのです。
ヴァネッサも平民上がりなので、そういう所の感性が私と似ているんでしょう。
(初めてヴァネッサと会った時、ニーナちゃんびっくりしてたからなー。自分とタイプが全然違うからなんだろうけど)
ニーナちゃんはちょっと引っ込み思案な所があるけど、ヴァネッサとも上手くやっていけてるようで安心しました。
入学当初はどうなるのかと思ったけど、二人のおかげで楽しい学生生活を送れています! 同年代の子と友達になる機会なんて辺境の村にいたら訪れなかったでしょうから。
(あ、同年代の女の子といえば――ドロシー・エルドレッドさん)
私やヴァネッサの事を敵視していた公爵家のご令嬢。彼女もまた学院の規則に則り実家を離れ、寮生活を送っています。
入寮する際に、一応形だけの謝罪は頂きましたが、あれ以来顔を合わせることもなく今に至ります。
本来であれば王族と同じく、同じ空気を吸うことさえ憚られるような人です。確かに私も言い過ぎた自覚はあります。
しかし、そんな彼女がどうして私を目の敵にするのか全く理解できませんでした。
(せめて師匠がくれた服について触れてこなければ我慢できたのにな)
驚いたのはそんな彼女とヴァネッサが同室だったことです。元平民の貴族と王家を除いた貴族の頂点である公爵家のご令嬢。これで何も起きない筈がありません。
いったい部屋割りを決めた人は何を考えてるのやら。
(喧嘩とかしてないといいけど)
前に軽く聞いたら、普通に話せてると言っていたのですが友達としては心配です。
(このまま何事もないといいな……)
そんな感じで学園生活にもだいぶ慣れてきました。
しかし今の私はある別の問題に直面していたのです。
「………………うわぁァァァァァー! 師匠ー!! 師匠ー!!」
師匠師匠師匠師匠!!
師匠に会いたい、師匠に会いたい。師匠に会いたい!
圧倒的な師匠ロスでした。
師匠成分を補給しなければこの先やってけません。まさかこんなにも長く会えない期間が続くとは思っていなかったんです。
「あああああぁぁぁぁぁぁ!!!!」
誰もいないので叫びまくるわたし。もはや狂気じみています。
部屋の壁には防音魔法の魔道具が埋め込まれているので私の叫びは外まで聞こえません。これがなかったら苦情が来ていた所でした。感謝ですね。
え、なんで学生寮にそんな魔道具があるのかって?
うら若き少女達が生活する乙女の部屋ですよ。備えは万全にせねばいけませんから。
夜の営みも含めて……ね。自分を慰めることは大事だと師匠が隠し持っていた本から学びましたから。
こんな話をしたらニーナちゃんは顔を真っ赤にさせて俯いてしまって、ヴァネッサは「お前もそういう事に関心あるんだな」と何故か感心していましたね。
「うぅ、師匠のばかぁ〜。すぐに赴任するって言ってたのにー」
枕に顔を埋めてジタバタします。もう限界でした。
「ああ、早く会いたいなぁ……」
とは言っても私に出来ることはありません。気分を変える為にも、おばちゃんに言われたように出掛けるのがいいかもしれないです。
「そうと決まれば、さっそく!」
というわけで私は身支度を整えるためにクローゼットを開きました。
そこには私の服や普段着の他に、グラトリア家からの贈り物である洋服やドレスが何着もありました。
なんでも学院で行われるパーティでは女性はドレスを着るのが正装なんだそうです。もちろん制服での参加も可能ですが周りはみんな貴族ですので浮くのは目に見えています。
「今日はラフな格好で行こうかな」
数ある服の中から白いワンピースを手に取りました。
それは王都に来て初めて買った服で、お気に入りの一着でした。
ここまで読んで頂きありがとうございます!
ティルラは隠し本がリベアに読まれていた事を知りません。リベアが読み終わったら巧妙に隠し場所に戻しているからです。
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