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149.私の居場所

今日はちょっと長めです。

◇◆◇◆◇


 試験が始まりました。まずは筆記試験です。


(あ、これ師匠とやった対策問題と全く同じ!! こっちのマナーに関する問題はソフィーさんと何度も実践して覚えたやつだ! これならいける!!)


 次々と解答欄を埋めていく私。これは本当に楽勝です。


 チラッと周りを確認しますと皆さん頭を悩ましているご様子で、書く手が止まっていました。それでも何人かはペンを走らせているようでしたが、そんな人は少数派です。


 王都最難関と言われるだけあって、この程度の問題が解けないようでは入学できないのでしょうね。


(綺麗な字で、丁寧に!)


 私は間違えないよう、一問一問丁寧に解いていきます。


(あと一つ……)


 そして最後の一問に取り掛かろうとした時、試験の終了を知らせる鐘が鳴り響きました。


(え、うそ! もう時間!?)


 時計を見れば、試験開始から丁度1時間が過ぎていました。


 一斉に羽根ペンを置く音が聞こえます。


「そこの受験生。今すぐペンを置きなさい。失格にしますよ!」


 思わずビクッとしてしまいましたが、私ではなくどうやら隣の受験生のようでした。


 他にも数人の生徒が終了の合図があったのに続けようとして注意されていました。


 私としても最後の一問だけ解けず、悔しかったですがそれ以外は完璧だった筈です。なので諦めて静かにペンを置きました。


 他の方々の顔色を見ても、自信があるように見えませんでしたし。上位に入れるかもしれないです。


(うん、この感じなら高得点を狙える!!)


 あくまでこのクラスでは、ですが……。


(アリスちゃんならこんなミスは絶対しない。きっと満点なんだろうなぁ〜)


 私はそんな事を考えながら先生の指示に従い、教室を出て行きました。


 廊下に出ると受験生達の多くは緊張が解け、ホッとしたような表情を浮かべています。

 

 筆記試験が終わり胸を撫で下ろしている人もいれば、泣いている女の子までいました。


 その女の子の隣で友人らしき子が慰めています。


(失敗しちゃったんでしょうか……)


 私も大賢者の弟子として行って寄り添ってあげたい所ですが、試験中ですし、何より平民の私が何か言っても嫌味にしか聞こえないでしょう。


(ごめんなさい……)


 私は気持ちを切り替え、次の実技試験の会場へと向かいました。


◇◆◇◆◇


 実技試験。


 ここで結果が決まると言っても過言ではありません。


 なにせ魔法使いといえば、『魔法』です! 座学だけ出来ても、実力が伴わなければ意味がありません。


 私の指定された会場にはドロシーもいました。ここでも多くの取り巻き達に囲われています。


 彼女の方も私の事に気付きましたが、すぐに目を逸らし、取り巻き達と話を始めてしまいました。


(何も言ってこない……いいよ、試験の結果で白黒つけましょう!)


 私は気を取り直し、深呼吸をして心を落ち着かせます。いよいよ実技試験の開始です。


「はいっ!!」


「とりゃ!」


「(うりゃ!)」


 次々に魔法を繰り出します。


 あらかじめ試験に出される魔法は指定されていたので、事前に師匠と何パターンか練習していて良かったです。


 試験官に指示された魔法で、遠く離れた所にある的目掛けて的確に当てていきます。


 単純な的当ては一切のミスなく終え、相手を変え5回行われる対人戦も全勝でした。


 ちなみにドロシーも全勝でした。む、流石にやりますね。


(私と当たっていれば負けてたでしょうが)


 そう思っていたのは向こうも同じだったようで、4戦目の勝利時に彼女の取り巻きから運だけだと言われてしまいました。


 まぁ、その取り巻きさんが5戦目の相手だったんですけどね。


 その後は魔力計測が行われ、私の魔力量は平凡よりやや多めでその魔力純度は高いとの事。簡単に言えば扱える魔力量は凡人並みだけど質が良いので高得点! という事みたいです。


 その辺の基準はかなりアバウトらしく、基準値に達していれば良いとの事でした。


(これで合格出来るかな?)


 筆記試験でかなり手応えがありましたし、実技試験でも及第点は貰えたと思います。


 残すは面接のみでした。


「よし、頑張るぞー!!」


◇◆◇◆◇


 結果から言うと、最後の面接は好感触とは言えませんでした。


 面接官は横から順に、学院長、女性教師が一名、男性教師が二名、あとは清掃員?のおじさんでした。


 学院長とおじさんは仲良さそうだったので、友人関係か何かでしょう。


「この学院に入ろうと思ったわけを教えてくれるかな」

「はい。この学院に入ろうと思ったきっかけは元々魔法が好きだったのと恩義あるグラトリアの家の名誉の為に――」


「リベアさんの得意な魔法はなんだい?」


「私の得意な魔法は拘束魔法で相手を亀甲縛りに……ごほんっ! すみません間違えました。私の得意な魔法は探知魔法です。魔力反応から敵が潜んでいてもすぐに発見できますし、特定の魔力ならどこにいたって必ず見つけられます!!」


 危なかった。うっかり変な事を言う所でした。


「? そうですか。ありがとうございます」


 お二人とも中立という感じで、質問も普通で受け答えしやすかったですが、男性教師達の方は最悪でした。


 事あるごとに平民の悪口を言ったり、意地悪な質問ばかりしてきました。正直イラッとしました。


「グラトリア家にどんな条件で取り行ったんだい?」

「王家と学院の創立関係について、100字以内で簡潔に答えて。それと学院が掲げる魔法哲学理論を述べてくれるかな?」


 どうやら差別意識の強い貴族の方達だったようで、とにかく平民の私をよく思っていないようでした。


「自分の住んでいる村から大変だったでしょう。学院に入ってたら何かしたい事はありますか?」


「はい、まずは同年代の友達を沢山作りたいと考えています。村ではあまり作れませんでしたから。それと師匠の弟子として学院で一番の魔法使いになりたいとも思っています」


「学院で一番……すごい目標ね。応援してるわ」


 女性教師の方は平民出身者らしく私に同情的ではありましたが、私情を挟まなかった所は一番教師らしかったです。


 そうしてようやく全ての試験が終わりました。


「あー終わりました! やっと師匠に会えますー。帰ったらいっぱい褒めてもらおう」


 校舎を抜け、中庭に出ると沢山の受験生達がペンチで羽を休めていました。


 私も空いている席を見つけ、ドカッと座ります。というより誰も居なかったので横になって独占しました。


 だらしないですね私。なんだかこういう所、師匠に似てきたかもしれません。


「よー特待生ちゃん。隣いいか?」


 声を掛けてきたのは今朝喧嘩を仲裁してくれたヴァネッサ・リトネスクさんでした。


「ヴァネッサさん!! どうぞどうぞ」


 ガバッと起き上がり端っこに詰めます。彼女は私の恩人であり、学院で出来た初めての友達ですから。


「さんきゅー。お前も今終わったのか?」


「はい。先程」


「聞いたぜ、筆記試験満点で実技も全部圧勝だったって噂じゃねぇか。で、実際のところはどうなんだ?」


「面接以外は合格点かなぁって感じです」


 どやぁ。私は自慢げにそう言いましたが、実際かなりの自信を持っていました。


「マジか!? すげぇな! これが天才ってやつか?」


 そこまで言われると照れますね。


「いえ、それほどでも~。ヴァネッサさんはどうでしたか?」


「あたしは実技以外ボロボロだったよ。試験は難しいし、面接も上手く喋れなかった。試験官の奴もなんかウザかったし」


「あ、それって丸っこいメガネをしてた研究者っぽい服の人じゃないですか!?」


「そいつだ、そいつ! クソウザかったぜ。どうやって家に取り入ったのだとかしつこく聞かれたぜ。ありゃ学園長いなかったら止まらなかったろうな」


「分かります。私もやられたので……」

「だよな!? 本当に最悪だぜ。あたしも一応貴族の端くれって事になってる筈なんだけどな」


「そこは血統という奴なんでしょうねー」


 彼女と試験の事について話していると、ふとある事に気づきました。


「あれ? そういえば他の受験生達はどこにいったんでしょう? さっきまであんなにいたのに」

「ああ、あいつらはもう帰っちまったんじゃねえの? 早く帰って両親に報告したいんだろうよ」


 どうやら気付かない内に結構話し込んでしまっていたようです。


(ちょっと話し過ぎちゃったかな。師匠達心配してるかも)


「私たちも帰りましょうか」

「そうだな」


 ヴァネッサも義両親を待たせているとのことでしたので、一緒に帰ることにしました。


 人を待たせているのは私も同じです。


 校舎を出れば、そこには私の一番大好きな人が待ってくれています。


 正門に着くと案の定師匠が立っていてくれてました。


 いつものように優しい笑顔を浮かべながら。


 その隣にはソフィーさん達もいました。


 自然と駆け足になる自分の身体を止める事は出来ませんでした。


「師匠ー!!」


 この瞬間が一番幸せです。やっぱり私はこの場所が好きなんだなって改めて思い知らされました。


ここまで読んで頂きありがとうございます!


「面白い」

「続きが気になる」

「リベア可愛い!」


と思ったら、広告下↓の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にしていただけると嬉しいです。


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