146.受験生リベアと学院の洗礼
今週から数話ほどリベアの番外編が続きます。
師匠達と別れた私は試験会場をズンズンと歩いていました。
今の私に怖いものなどありません。なにせ私は大賢者の正統後継者という肩書があるのです。
まだ正式には発表されていませんが、その時が来たら師匠の口から紹介してくれると約束してくれました。
「フッフッフ……」
思わず口元から笑みがこぼれてしまいます。
これで堂々と師匠のそばにいられるからです!!
「…………」
とは言っても気になるものは気になりました。
(……ソフィーさんからは聞いていたけど、やっぱり見られてる)
廊下を歩くたびに向けられる視線。すれ違う人達がチラチラとこちらを遠巻きに見てくるのです。
「おい、あれって……」
「ああ間違いない。あれが例の……」
「結構可愛いな……」
「やめとけ。平民だぞ」
「………………」
ヒソヒソ話も聞こえてきます。そういうのは本人がいない所でして欲しいです。まぁどっちにしても嫌ですけど。
(本当に貴族って情報が早い……私がグラトリア家に囲われている事とか、特別枠で受けるとか、その辺の情報も大体全部知られていると思ってた方がいいかも)
この場にいるのが師匠でしたら、なにを考えていたでしょうか? おそらく師匠なら、自分は美少女だから噂されてるんだろうなという前向きな感じで受け取るんでしょうね。
でも私はそこまで図太くなれません。師匠は確かに美少女で、私も結婚したいなと思っていますが、師匠に比べれば私はただの村娘。顔だって田舎育ちにしては整っている方なんでしょうが、ソフィーさんやアリスちゃんに比べたらごくごく平凡な顔立ちです。
そんな風に考え事をして歩いていたら私の前に大きな影が掛かりました。
「……?」
「おいお前っ!! 平民のくせに調子に乗ってるんじゃねぇぞ!!」
顔を上げると、そこにはいかにもガラの悪い男子生徒が数人いました。
「……えっと」
正直反応に困りました。だっていきなり絡まれたんですもん。でもこういう時の対応方法もソフィーさんから教わっています。
こういった輩には「先を急いでいるので。すみません」と言って適当にあしらえばいいのだと。
向こうも試験前なのでそれ以上は突っかかってこない筈だからです。平民と話すだけ時間の無駄ですしね。それにここではお互いに受験生同士。
国の法律でもこの場では貴族も平民も関係なく平等だと定められています。
だからこそ私はここにいるわけですから。
(教室に行くまでで結構疲れるな。注目されるのって大変だ……師匠が嫌がるのも分かるかも)
好奇な目で見られる事は分かっていたので覚悟はしていましたが、心身的にかなり疲れが溜まります。
軽蔑の眼差しをしてくる者が思ったより少なかったのは幸いでした。
(ん? なんだろ、あれ)
少し先に行った所で何やら人だかりが出来ています。
(アリスちゃんだ!! あ、それだけじゃない……)
遠くからでも一目で分かる特徴的な髪色。桃色のアホ毛がピコピコ動いていました。
彼女の周りには取り巻きと思しき貴族令嬢が数人おられました。
(取り巻きというか、勝手にアリスちゃんに付き纏ってるだけだよね! 見るからに迷惑そうな顔をしてるし!! アホ毛も嫌がってる!)
なんとかしてあげたい!!
その気持ちはあっても、貴族でもない私に出来ることはありません。
「ユリア様だ……」
「ユリア様!!」
王女様の周りにいるのは上位貴族のようでさっき私に絡んできた貴族を含め、下位貴族達は揃って廊下の端により頭を下げていました。
私も彼らに倣って頭を下げます。
(アリスちゃん、ごめん!!)
私は心の中で謝りました。
行列が通り過ぎる直前、アリスちゃんも頭を下げている私のことに気付いてくれましたが、手を挙げて声を掛けようとした所でグッと堪え、「――! っ〜〜!!」何か言いたそうにしながらもすぐに視線を前に戻し、王女様モードに戻るとそのまま前を通り過ぎて行かれました。
当然です。いくら受験生同士とはいえ、他の貴族とは訳が違います。相手はこの国の王族なんですから。
(でも、ちょっと寂しいかな)
アリスちゃんも少し寂しそうな顔をしていたと思います。本当に一瞬だけだったけど。
アリスちゃん御一行の姿が完全に見えなくなった所で私もまた動き出します。
「急がないと、試験に遅れちゃう! 遅れて失格なんてなったら師匠に会わせる顔がないです!!」
自分の教室に向かおうと再び歩き始めようとしました。するとまたもや目の前に影が現れます。それも今度は一つではなく二つ三つ重なった影でした。
「失礼しますわ」
次は誰でしょうか? めんどくさいですね。このままでは試験に遅れてしまいます。
「誰ですかっ……!」
そこにいたのはウェーブのかかった金髪を靡かせた少女を筆頭としたお嬢様方でした。
全員高身長で特に先頭に立つこの少女は群を抜いてスタイル抜群。胸はフィアさんよりあるかもしれません。
特筆すべき点はやはりその美貌。まるで彫刻のように整った顔立ち、そして均整が取れたプロポーションに思わず息を飲みます。
彼女の後ろに控えている子達も皆美人揃いでしたが、先頭の少女と比べれば霞んでしまいますね。
(ま、どんなに美少女でも、うちの師匠には敵いませんが。だって私の師匠は最強にカッコよくて可愛いんですから!!)
彼女は腰に手を当てながら、取り巻き達と見下すようにこちらを見つめています。
「…………」
そして強い口調で、周りに聞こえるくらいの声量で言ってきたのです。
「平民風情が、一体どういうつもりでこの場所に立っているのかしら?」
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