138.帰宅のその後
今日は短めでフィア視点からソフィーさんの様子をお届けします。
「騒がしいわねぇー。一体なんなの?」
「あ、お嬢様……そんな姿で、奥様がいたら怒られますよ?」
二人の騒ぎに気付いた金髪の少女が、寝ぼけ眼で二階から降りてきました。
彼女は私のご主人であるソフィー・グラトリア様です。
「いいのよ。今のあたしは貴族令嬢というより一介の商人に過ぎないんだから」
「分かりました。でもそれとこれとは別です。フィアはお嬢様のメイドですから。とりあえず御髪を整えますね」
「ええ、お願い」
ここ数日お嬢様はリベアさんの制服を採寸したり、ティルラ様には教えられない貴族式の礼儀作法などを教えたりと彼女の受験をサポートをしていたからお疲れなのでしょう。
恋敵に塩を送るような真似は褒められた事ではありませんが、そこがお嬢様の魅力でもあるとフィアは思っています!!
「リベアちゃんが珍しく騒いでると思ったら、あいつが帰ってきてたのね。はぁ、まったくこの家には私たちもいるんだけど……堂々とイチャイチャしないで欲しいわ」
「まあまあ、久しぶりの再会ですから。リベアさんもお勉強頑張っていましたし、ご褒美は必要だと思いますよ」
「それは……分かってるけど。私だって……」
そう言いつつも、お嬢様はどこか嬉しそうな顔をしておられました。
これはあれですね! 他の使用人がいない所を見計らって旦那様や奥様と二人きりになって甘える機会を狙っている時と同じ表情です!
ふっふっふ、お嬢様の専属メイドである私に隠し事をしても無駄ですよ?
ここは専属メイドとして私がお嬢様の背中を押す場面ですね!
「はい、髪も整いましたよ。そしたらお嬢様も混ざってきたらいかがですか? ティルラー会いたかったー! 寂しかったよーって」
「……今のは私の真似かしら? あなた時々私の事を馬鹿にしてるわよね?」
眉間に皺を寄せ、ジト目でこちらを見るお嬢様。
あらら、少し調子に乗りすぎてしまったようです。
「いえいえとんでもない。心の底からお慕い(応援)してますよ?」
私は両手を前に出し、首を左右に振った後、満面の笑みを浮かべて答えました。
しかしそれでもお嬢様は疑いの目をやめませんでした。
うぬぬっ、おかしいですね。一昔前であったらすっかりそれで納得しておられましたのに。
ですが話しかける決心はついたようです。
「ふーん、そう。でも、そうよね……少しは素直にならないと――ティルラー。私にも何か言う事あるでしょ?」
「げっ、ソフィー! 素材のお金や制服代なら後で渡しますからー……」
決心した結果、いつものツンデレお嬢様でした。
「ふふふっ、お嬢様らしいですね」
不器用なお方です。でもそこがまた可愛いんですよね。
ティルラ様の前ではもう少しだけ素直になれたらいいのですが……。
お嬢様が素直になれるのにはもう少し時間が掛かりそうだと、不肖フィアは思いました。
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