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134.錬金術師は中々に変態です!!

 ここに来るまでの苦労はなんだったのやら。奈落の平原に着いたケイティは人が変わったようにハイテンションであちこち見て回り始めました。


「おおっーこっちは滅多にお目にかかれないブルーリキューム。あ、ラウジパウダーに純度の高い燈石ニウムまで! すごいすごい!! お宝の宝庫だねここは。ん? 何をモタモタしてるんだティルラ!! ほらほら気張っていくぞっ!!」


 わたしを置いて、ケイティは一人楽しそうにしています。

 彼女が言う通りここにある素材はどれも貴重で価値の高いものばかり。遭遇する魔物によっては高価な薬を作るのに必要な素材を落とす金の卵もいます。


 その分、危険も大きいのですが……。


「勝手な行動は控えてください。あとそんな騒ぐとまた魔物が……ああもう言わんこっちゃない」


 先程から続けざまに魔物と遭遇していました。それもこれも興奮して馬鹿でかい声を出すケイティのせいです。ここに来るまであんなに渋ってた癖に……。


「うーん。また多いですね〜。大型もいますし」


 声に釣られてやって来たのは豹型の魔物マーンタプトの群れと獅子の烏デバです。後者に至っては上級魔物に分類される脅威度の高い魔物にあたります。


 確か一体屠るのに上級冒険者が5人は必要だとか? 魔法使いだったらそれなりの使い手3人は必須だった筈。


「ま、師匠と修行の旅をしていた頃はこんな魔物と戦うのは日常茶飯事でしたので慣れてますけどね!」


『『ガウワァッ!!』』

『シャー!』


 普通、子供にこんな怪物と戦わせるなんて頭おかしいと思いますが、それを平気でするのがわたしの師匠でした。わたしだったら絶対リベアにそんな危険な事はさせませんね。可愛い愛弟子が傷つく姿なんて見たくありませんし。

 

 さて、そんな事より今は目の前の脅威をどうにかしないと。

 マーンタプトは集団で狩りをする習性があり、獲物を囲むようにして追い詰めてから襲い掛かってきます。ロフロス村で戦ったウルフの上位種みたいなものですね。


「ほっ、よっ、はっ!」


 軽快なステップを踏みながら次々と襲いかかって来る魔物を魔法で捌いていきます。この程度の相手なら1体につき3秒あれば十分でしょう。


『キャウン――』


 半分ほど倒した所でマーンタプトの群れは後退。そのまま逃走していきました。


(手負の獣は凶暴。普通なら他の冒険者達の為にも狩っておくのが良いのですが……ここではそうも言ってられませんからね。まだ鳥頭も残ってる事ですし)


「うおっほっほー。やばいやばい鞄が一杯になっちゃう。どうしよう……あ、調合して減らせばいいんだ。ボクってアッタマいいー!」


 後ろのクソ変態錬金術師は素材採取に夢中で何も手伝ってくれないし。てか今調合とか言いました? こんな状況で? 


(これさえなければいい友人なんですけど……)


 魔物に現在進行形で襲われているんだから少しは身の危険を感じて欲しい所です。

 私の事を信用してくれるのは嬉しいんですがそこまで無防備に背中を見せられていると……心配になってきますよ。


『キシャー!!』

「おっと不意打ちとは卑怯ですね――」


 次の瞬間には鳥の頭がゴロリと地面に転がります。風の刃で切断したのです。痛みを感じる暇もなかったでしょうね。


「まだ来ます?」


 残っていた中級以下の魔物達を焼き払い、後処理を終えた所でケイティが作業を中断し、こちらに顔を向けてきます。その顔は戦ってもいないのに血だらけでした。何があったんでしょう?


「あ、終わった? ごめんね、ボクも加勢すればよかったね」


「それはいいんですが。今までどうやって錬金術師として活動していたんですか? あと顔どうしたんです?」


 言われて初めて気づいたのか、顔をゴシゴシと擦り「わっ、本当だ」と呑気に驚いています。

 どうやら調合の過程で赤色の液体が付着しただけのようでした。怪我じゃなくて良かったです。


「あははっ、最近までは優秀な助手がいたからね。魔法士リィーネっていうんだけど、その子が戦闘を全部受け持ってくれてたんだ」


 渡したタオルで顔を拭きながらケイティは話します。


「流石にここのレベルの魔物とじゃないよ。中級程度クラスさ。ま、それでも一人で捌けるくらいには優秀だったんだけどな。あーあ正式に雇えばよかったよ」


 残念そうに、されど懐かしむように語るケイティ。何か正式に雇えなかった理由があるのでしょう。


(これは慰めた方がいいんですかね?)


 なんて言おうか迷っていた所、彼女がわたしの腕を取り、自分の腕に絡め「そうだ。ティルラがボク専属の護衛になってくれるのはどうだい? 給料は弾むよ?」と言ってきました。


「嫌です」

「あうっ」


 ペリッと優しく剥がしてやります。わたしは大賢者なんですから。そこのところ公平にいきませんと。ただしリベアは例外。


「ケイティ。夜になるまでには採集を終わらせて帰りますよ。暗くなれば夜行性の凶悪な魔物が彷徨き始めますし、暗闇の中ではわたし達は不利です。不意打ちなどを喰らったら、いくらわたしでも命の保障が出来ません」


「はーい」

「……本当に分かってます?」


「もうティルラ、夜の危険性はボクも理解してるよ。うん、こっからはティルラの採取物だけに集中しようか。魔力の気配である程度探れるんだよね? ティルラはそっちに集中してていいよ。戦闘はボクが受け持つから」


「分かりました。では少々時間を……」


 目を閉じ、魔素の流れに集中します。目的の()()は夜行性です。今はどこかに隠れている筈ですが、その強力な魔力までは隠せません。


 暫く魔獣の気配に集中します。するとここからそう遠くないところに反応を感じました。


「……見つけました。ここから南東に少し歩いた所にいます」


「おっけー。じゃあ行きますか、毒竜(ヒドラ)狩りへ」


ここまで読んで頂きありがとうございます!


次回は大賢者VSヒドラです。


「面白い」

「続きが気になる」

「ティルラ頑張れ!」


と思ったら、広告下↓の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にしていただけると嬉しいです。


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