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133. これは誘拐じゃないですよ?

投稿遅れました。

 翌朝。スレミアン家を再び訪れたわたしは、行きたくないと駄々を捏ねるケイティを連行……もとい説得していました。


「行きますよ、ケイティーー!! 早くしないとご両親が屋敷に戻ってきてしまいます。出発するなら今しかありません!」


「いやだ! いやだ! 行き先が奈落の平原だなんて聞いてない。絶対死んじゃうって。それなら家でお見合いしてた方がマシだよ。それに旅の準備だってしてないんだからな!! ボクは行かないぞ」


 彼女は近くの木にしがみつき、その場に留まろうと必死にもがいています。


「そんな事言わないで下さい。もうあなたしか頼れる人いないんですからっ!!」


「このコミュ症め! 屋敷に引きこもって交流関係を絶っているからボクとソフィー以外まともな友人ができないんだぞ――」


「んなっ! 引きこもり時代のわたしを引き合いに出すとはずるいです!!」


 わたしも負けじとばかりに抵抗する彼女の腰を持ち、力任せに引っ張りますが、流石は天才錬金術師。身体強化もお手のものでした。素の力では身体強化された彼女の身体を木と離すことはできません。


「ケイティ、暫く会わない間にずいぶん腕を上げましたねっ!!」

「そりゃそうだよ。ティルラの修行に巻き込まれてボクとソフィーまで大賢者直伝の身体強化を習わされたんだから。身体が悲鳴をあげても、魔法で癒されて覚えるまで繰り返し練習させられる地獄のような日々だったよ……」


 ケイティが遠い目をしています。うん、まぁ、師匠の修行に関しては彼女と同意見ですね。


「地獄のような日々には同感ですが、ケイティはそこそこ見込みがありましたからね。師匠も張り切ってたんですよ。ソフィーは残念ながらそっち方面の才能はありませんでしたが」


「代わりにボクらにはない商売の才能があるんだから、総合的にみたら同じくらい才能に恵まれてると思うけど?」

「そうですね。あの時はお金儲けのためにも頑張っていたような気がしますが」


 わたし達は顔を見合わせて笑い合います。


「それじゃあ気を取り直して……――行きましょうかっ!!」


「うん。いやだぁ~~~!!」


 足をジタバタさせ必死に抵抗する彼女をどうしたものかと困っていると、屋敷の中から昨日見たメイドさんが出てきました。


「ティルラ様。こちらお嬢様がなんだかんだ言いながら昨日ご準備されていたものです」

「おやおやそうなんですか。やっぱり楽しみにしてくれてたんですね」


 そうして彼女から渡されたのは、ケイティの錬金術セットでした。ご丁寧に服も綺麗に折り畳まれています。


 痛いところを突かれたケイティはしどろもどろになりながらも、反論しようとしました。


「あうっ。それは、錬金術師としての血が騒いで……貴重な素材は見逃せないっていうか……ああっもう、今朝気が変わったから隠しといてって言ったじゃん! ばかメイっ!!」


「つかの間の休暇を楽しんできてくださいね」


 主人の暴言を華麗にスルーし、笑顔でそれでいて皮肉たっぷり台詞で返すあたり、中々の手練れであると思いました。


「さっ、メイさんのお陰で準備も整いましたし出発しましょうか」

「嫌だって言ってるだろう!?」


 彼女も抵抗しようと力を入れているのでしょうけど、わたしにとっては大した問題ではありません。

だってわたしが少し本気を出せば、彼女の力を超えるなんて容易い事。


 なのでケイティには悪いですが、このまま引きずってでも連れていくことにしました。


「メイさんありがとうございます。それでは行ってきますね」


「はい、行ってらっしゃいませティルラ様。そしてお嬢様も。奥様と旦那様には私から『ちょっくら友達と奈落の平原まで出掛けてくるね。てへぺろっ!』と伝えておきますのでご安心を」


「い、い、い、嫌だぁああああああ!! それ絶対帰ったら怒られるやつだよーー!! メイのバカぁ〜!!」


 わんわん泣き喚くケイティをみて、流石に引きずっていくのは可哀想かなー? と思ったので彼女を肩に担いで行くことにしました。わたしって優しいですね。


「ちょっと失礼します」


 ヒョイっと彼女を抱き抱え、そのまま肩に担ぎます。うん、予想していたよりかなり軽いですね。ちゃんと食べてるんでしょうか。


「え、ちょ、なにを……わわっ、ま、待ってそれなら歩く。自分の足で歩くからー」


 駄々っ子が何か言っていますが、注意事項だけ伝え無視することにしました。


「舌を噛まないように口は閉じていてくださいね。少し飛ばします」


「え? そんなすぐに――んぎゃぁぁぁぁーーーー!!」


 わたしはケイティを担ぎ上げたまま、全力で走り出しました。


(嫌がってる女の子を無理矢理連れて行く……なんか誘拐してるみたいですね。これ)


 奈落の平原まで馬車を使って二日ほどかかる距離があると聞きましたが、ケイティを抱えて走れば半日程度で辿り着くはずです。


 こうしてなんとかケイティを連れ出すことに成功したわたしは、王都を出て奈落の平原へ続く街道を目指すのでした。

ここまで読んで頂きありがとうございます!


素材集めは残り3話で終了です。その後は本格的にリベアの受験、学院編となります。


ブックマーク、評価、感想、レビュー、紹介、リンクなど、もろもろ全て歓迎致します! 


 皆様の一手間が更新の励みになります、どうぞこれからも宜しくお願いします!!


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