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123.【受験まで残り2ヶ月】素材集め 1

魔法学院編は物語のクライマックスに大きく関係してくる展開となっていますので、章タイトルに追加で前編と記載させて頂きます。

 それから幾日が経ち、リベアのご両親やお世話になった村の方々。沢山の関係者様方に報告と説明を終え、久方ぶりに帰ってきた我が家のリビングでわたしは一息ついていました。


「ティルラ様、どうぞ」


「ありがとうございます」


 フィアが淹れてくれた紅茶を片手に、『愛弟子に必要な物!!』と大きく書かれたメモ用紙を眺めます。


 そこには杖やローブ、ノートに教科書など、新たな門出を迎える弟子に必要な物が丁寧に書かれています。


 又、杖などを作成するために必要な素材も勤勉なわたしは昨夜のうちに調べ上げていたようで、へにょへにょの字で『がんば、れ、あしたの、わたし』と弱々しく書かれていました。サイテーですね、昨日のわたし。


「どれもこれも高価で希少な素材……それも簡単には手に入らないものばかりですね」


 リストに並べられていたのは、“古代ドラゴンの牙”“サラマンダーの鱗”“大樹の枝”など、大賢者のわたしでも思わず「うげっ……!」となってしまうほど、入手困難な物ばかりでした。


 具体的には必要な素材を全部買うと破産します。破産ですよ、破産。王様から支度金として結構な額を貰っているとはいえ、とてもじゃないですが賄いきれない金額です。


「何点かは自分で採集に行ったほうがいいですね。一人では流石に面倒ですし、知り合いの錬金術師にでも声を掛けてみますか。あとはソフィーやシーヴ婆の伝手を使って、安く手に入れるしか……」


 今さら気付きましたが、わたしってリベアに激甘ですね。これが惚れた弱みというやつですか。


 怪訝そうな顔を浮かべるわたしに、フィアが不思議そうに首を傾げます。


「どうかなさいましたか?」


 後ろから覗き込んだフィアが、ヒュッと息を呑む音が聞こえました。


「これは……ティルラ様、リベアさんには金額のことを言わない方が良ろしいかと」


「わたしもそう思っていた所です」


 杖や専用の装備品に掛かった金額を言ったら、あの子は卒倒してしまうでしょう。計算したら何気にお揃いのローブが一番高かったですし。


 腐っても師匠が使っていた代物です。

 

 安そうに見えて、アホみたいな素材ばかり使われていました。とてもじゃないですが見習いレベルだった頃のわたしにポンッと渡すには勿体ない程の品です。その事を昔のわたしが知っていたらきっと着れなかったでしょうね。


(今思うと、あの人はほんとに何もかもがぶっ飛んでましたね)


 同じものを作る上で、見た目はそのままに、安くする為に品質を落とすか少し悩みましたが、可愛い愛弟子への贈り物です。お金に糸目はつけないことにしました。


 破産決定ですね。おめでとうございます(白目)


「リベアは今、部屋で勉強中ですか?」

「はい。朝からとても頑張っていらっしゃいますよ。もう少しでお昼ですから、そろそろ呼びに行こうかと思っています」


「そうですか。わたしが見ていなくてもしっかりやっているようで何よりです。まあ、あの子は初めて会った時から大人びていて、同年代の子よりしっかりしていましたし、それほど心配していないんですが……誰かと同じ時間を過ごしていると、月日が経つのも早く感じますね」


 思えば、リベアと初めて出会った日から今日で約一年が経とうとしていました。

 同じ一年でも引きこもっていた時と、大賢者として活動した今とでは、密度が全く違います。


 屋敷を追い出され、リベアと出会い、ソフィー、フィアと再会し、王女様の依頼を受け、その報告で王都へ向かったら国王陛下に大賢者である事を民衆が見てる前で認められてしまうという。


 この一年は、本当に、本当に濃い一年間でした。


「先程から姿が見えませんが、ソフィーはどちらに?」


「ソフィー様なら、朝一にお一人で近隣の商会に向かわれましたよ。とてもウキウキしたご様子で」

「あーなるほど」


 そういえば昨日、陛下から結界魔道具の販売許可が下りたって言ってましたっけ? それにしてもウキウキって……いつも冷静沈着なソフィーにしては珍しいですね。


「フィアは護衛として、彼女について行かなくて良かったんですか?」


「近場の町というのもありますが、街道も整備されていて、警備隊も巡回していますし、盗賊が出る心配はないかと判断しました。あ、サウスコラという町です」


「ああ、サウスコラですか。あそこには凄腕の傭兵がいますし、治安面では確かに心配しなくてよさそうですね」


「はい。お陰でフィアも心置きなくソフィー様に命じられた仕事を遂行できます」


「なんて言われたんですか?」

「ティルラ様とリベア様のお世話を賜りました」


 あのくそ幼馴染め。


「ソフィーはわたしをなんだと思ってるんですかね! 自分の事くらい一人で出来ますよ。リベアは今勉強で大変ですから、フィアはそちらのサポートをお願いします」


「元よりそのつもりですのでご安心ください」


「……暗にわたしの面倒は見ないって言ってません?」


 ジト目を向けると、フィアがスッと目を逸らします。


 ちょっとぉ!? そこは嘘でも否定して下さいよ!! 主人の面倒は従者が見るものでしょう!? あ、でも、フィアはソフィーの正式なメイドだから別にわたしの面倒を見なくても問題にならないのか。


 そんなわたしの心の動揺を見抜いたかのように、フィアは答えます。


「いえいえ、そんな事はありませんよ。なんでも()()()()出来るティルラ様?」


「…………」


 自分で言った事なのでぐうの音も出ません。主人が主人ならメイドもメイドですね。ちきしょう!


◇◇◇


「ティルラ様? お出かけですか?」


 出掛ける準備を終えたわたしに、昼食を作り終えたフィアが声を掛けてきます。


「えぇ、少し素材を取りに行こうかと。一週間くらい留守にします。その間、リベアのことをよろしくお願いします」


「それはまた急ですね。食料などは――」


「現地調達するので大丈夫です! 余計な物にお金は掛けられませんから」


 ふんぬっと腕を曲げ、力こぶを作ってみせますが、当然のように盛り上がる事はなく、くすりと笑われてしまいました。


 ぐぅ……。


「わたしが所用で出かけるとリベアにも言っといて下さい」

「ティルラ様が直接伝えてから、行かれないのですか?」


「んー、まぁそうなんですけど、今は勉強中ですしその邪魔をしたくないというか……毎日勉強漬けでストレスが溜まってるあの子に拘束されそうで怖いので」


「後者が本音ですね。まあ分かりました。ティルラ様がリベアさんの事を大事にされているのはよく分かっていますし。彼女の方には私から伝えておきます」


「ありがとうございます。では行ってきます」


「はい。行ってらっしゃいませ」


 こうして大賢者による素材集めの旅が始まるのでした。


ここまで読んで頂きありがとうございます!


予定している残りの章は現在の前編含め全5章。話数的にはまだかなりあるかなと思います。一章の長さの調節で増えたり、減ったりする可能性がありますがご了承ください。


「面白い」

「続きが気になる」

「リベア可愛い!」


と思ったら、広告下↓の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にしていただけると嬉しいです。


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