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「ずっと攻略出来なかったダンジョンが攻略出来ました!」
「宝の地図だけは手に入ってたんだけどよぉ。ソアラさんのおかげで何とかそこまで到達できたぜ」
「頼む! フリーターなんて言わずにうちのパーティーに来てくれ! 金なら幾らでも払うから……!」
フリーターになってから三ヶ月、ルミアさんのサポートもあって私は色んなパーティーの助っ人として頑張っている。
どのパーティーの方も優しくて、最後にはお礼を言ってもらったりしてやり甲斐を感じるようになった。
このまま、フリーの冒険者として生きるのも悪くないかもしれない。
そんなある日のこと、ギルド内にある共用スペースで休憩をしていた私はルミアさんと今後についてのお話をしていた。
「ソアラ様~、勧誘が止まりません~。断るように言われていましたが本当に大丈夫でしょうか~? 賢者トルストイ様、剣聖ガイア様、大神官ミレーユ様など、名だたるパーティーリーダーの方々がスカウトを申し出ていらしております~」
彼女は、私が彼女にお願いしてパーティーへの勧誘を全部断っていることについて言及する。
(この様子、思った以上に勧誘されているみたいですね)
「断ってもらって大丈夫ですよ。前にもお話したとおり、私は――」
「勇者ゼノン様のパーティーを辞めさせられたのがトラウマということですよね~。……ああ、そういえば勇者ゼノン様のパーティーといえば、近頃調子は最悪みたいですよ~。ほら、見てください~」
ルミアさんが私に見せてくれたのは王国最大手の情報屋ギルドが発行している新聞記事だ。
見出しにはこう書かれている。
『勇者危うし! 連戦連敗で称号剥奪か!?』
どうやら、何度もパーティーが壊滅寸前まで追い込まれたみたいである。にわかに信じられない話だ。
彼は氷の魔城を攻略すると意気込んでいたが、そんなに強敵とばかり遭遇していたのだろうか……。
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