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非公開中  作者: するめいか
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書類「魔力研究についての記録書」

【初代国王による記録の要約】

 生物はすべてその身に魔力を宿している。

 しかし、増やすことのできる量には限界がある。それを迎えたら、もうどれだけ他の命を殺めようが、体が魔力を受け付けないのだ。



【三代目国王による記録の要約】

 ついに人工的に魔力を目に見える形にする方法を発見した。これによって急速に魔力に関する研究が進行することだろう。城の地下の研究施設の増築も検討せねば。



【四代目国王による記録の要約】

 物体や動物に魔力を注入してみた。限界を超える魔力を宿したものはどうなるのか、それを知りたかったのだ。

 結果として、化け物が生まれてしまった。あまりにも大量に作りすぎてしまったため、一部は秘密裏に町の外へ流すことにする。



【五代目国王による記録の要約】

 人民に化け物の存在が知れ渡ってきている。それらは『魔物』と呼ばれていた。

 誰が名付けたかは知らんが、言い得て妙である。さて、今度は死刑囚などを対象にしてみようか。人間には、まだ試したことがないからな。



【六代目国王による記録の要約】

 失敗だ。人間に限界以上の魔力を入れようとすると、拒絶反応を起こすことが分かった。結果、体の一部に異常をきたすものが多く現れてしまう。これらは近いうちに適当な処理をしよう。



【九代目国王による記録の要約】

 呪文で記憶を消して外へ放った奴らは、突然変異した劣等種という烙印を押され、やがて国から追放された。呪文の扱い方まで忘れさせたからだろう。

 彼らの呼び名は『悪魔』。笑えるな。どうして変化が起きたのかになんて目をやらず、ただただ一時の感情で動く。なんとも愚かな連中だ。



【十代目国王による記録の要約】

 成果も出ないため、人間へ魔力を注入する研究はやめた。

 どうやら悪魔どもは素晴らしい発展を遂げているらしい。彼らの文明は、いずれ我らの作った最高傑作によって奪われることになるだろう。

 そして『それ』の完成は、少しずつではあるが確実に近づいてきている。








【前国王による記録の要約】

 私の優秀な部下であったジェニウスが、突然たて突くようになってきた。これ以上の研究は止めようというのだ。

 未来予知の呪文を扱えるからと、かなり重宝していた人材だったが、仕方ない。近いうちに彼は消そう。


 そろそろ息子に王の座を譲ろうか。私が長く居すぎたせいで、もうあいつも結構な歳だが、彼の世代にはあれが完成するだろうから、それで許してもらうとしよう。



【現国王、デンガルの記録】

 とうとう完成したぞ。膨大な魔力を有した、呪文を扱える魔物だ。一つしか呪文は使えないが、それで十分。


 ドレインという呪文は触れた相手の魔力、そして相手の扱える呪文を奪うことができるものだ。これで悪魔どもの文明を根こそぎ奪い、我が手のもとに治めることができる。


 人間どもはもう邪魔だ、抹殺しよう。今のうちからムルソーに適当なやり方で人を減らしておいてもらうか。

 あいつの呪文もそのうち完全体に吸収させよう。魔力を全部吸われてしまって死ぬかもしれんが、あいつも本望だろう。


 計画は順調なのだが、一つ気になることがある。父の遺言だ。ジェニウスとかいう未来予知の男。そいつの最期の言葉が気にかかると。


『デンガルの代で、お前らの目論見もくろみはユーダンクにいる赤い瞳の農民が潰してくれるだろう』


 ……厄介だな。迂闊に殺せない。直接消すと、目撃者なども出るやもしれん。もうすぐ計画も成功するのだ。ここで下手に国民から反発など食らいたくない。避けられるリスクは避けるべきだろう。


 そうだ、次の勇者に奴を選ぼう。悪魔の王も魔物の王も、いずれ殺そうと思っていた。誰が死んでも、その頃には『完全体』の最終調整が終わっていることだろう。


 未来など、砂の城みたいなものだ。不安定で脆く、儚い。それを安定させるために、私達は時間という名の水を流して固めてきた。


 奴らが思い描くような幸福の虚像は、それを前にあっけなく崩れ落ちることになるのだ。

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