表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
非公開中  作者: するめいか
18/104

小話「ある日の、特に何の意味もない会話集④」

【トラウマ】


「おおっ、カズヤ! 少しいいかな?」


「ひえっ……」


 廊下を歩いていたらアルルに見つかってしまった。手を振りながらやや駆け足でこちらへ向かってくる。どうしたんだろう。僕殺されるのかな。


「そんなに怯えないでよっ! 今日のこと、謝りたくて。ごめんね?」


「あ、あぁ……気にしてないよ。ダイジョブダイジョブ」


 実はめちゃくちゃ気にしているが。態度や顔があの時と今とで違いすぎてほんと怖い。あっちにはイズさんやネメスもいるし、ヴィーレを巡って戦争が起きなければいいけど。


「そういえば、アルルは鎧と武器しか持ってないんでしょ? 着替えとか色々大丈夫なの?」


「そうそう、それなんだけどね? さっきヴィーレと歩いていたら、黒いローブの女の子が城の中に屋台を構えてて。そこで彼に選んで買ってもらっちゃった!」


 そう言って彼女はだらしなく破顔した。なんだろう、惚気られている気がする。まったく、どんだけ好きなのさ。


 あくまで仮想の話だけど、初めからこの子とヴィーレだけで冒険されていたら地獄だったな。そんなパーティーに潜入だなんて、死んでも嫌だ。気まずすぎて逃げ出しそう。エルの存在って大事だったんだなぁ。


 僕はそこから展開されるヴィーレに関するどうでもいい話を、苦笑いしながら一時間ほど聞くハメになったのだった。







【魔王城の間抜けども】


「魔王城ってさ、バカな人多くない?」


 ある日、晩ご飯の時にふと頭に浮かんだことを言ってみた。それを聞いたウィッチが額に青筋をたてて、微笑みながらこちらに顔を向けてくる。


「あら、それは私達に喧嘩を売っているということでよろしいのかしら?」


「ち、違うよ!」


「私はカズヤの言っていること、なんとなく分かるわよ? ウィッチは口調がバカっぽいし、レイチェルは兄バカだし、サタンはなんかバカだもの」


「ちょっと! 『なんかバカ』は酷いよっ! 何も理由無いじゃんっ!」


 サタンが席から立ち上がって抗議する。でもなんでかこの子が一番バカっぽいんだよなぁ。頭は良いんだけど。


「よかった。俺はバカ扱いされてないんだな」


 レイブンが肉を口一杯に頬張りながら言う。その表情は物凄く間抜けだ。


「はいはい! 私知ってるよっ! レイブンって実はすごく頭悪いんだ~」


「おいサタン。嘘は良くないぞ」


「嘘じゃないもーん。前にパズル解かせてみたら、全然できなかったじゃん! ウィッチとレイチェルは数秒で解答できてたのに。ねえ?」


 見ると、二人はうんうんと頷いていた。まさかの頭が固い感じのバカでしたか。戦闘力極振りだね。


「うーん。それもあるけどさ、僕が言ってるのは、あの足止めの時のことだよ。時間稼ぎをすればいいっていう話だったのに、みんなわざわざ戦ってたでしょ? 戦闘狂か何かなのかなって」


「あれは……血がたぎってな」


「私は家族との再会に感動して、ついつい攻撃を」


「イズが挑発してきたからムカついたんですのよ」


「やっぱりバカじゃないかっ!」


 ノエルがいたから良かったものの、怪我したらどうするつもりだったんだ、この人達……。


「つまり、マトモなのは僕だけなんだね」


「いや、和也はアニメとラノベとゲームおバカでしょ? 呪文で記憶見たから分かるよ」


「あ、サタンもテレパシー使えたんだ……」


 まさか日本にいた頃の過去を暴かれるとは。いやそれらは今でも好きなんだけどさ。はぁ、こっちの世界にもそういうの無いのかなぁ。悪魔の国のどこかにはありそうなものだけど。







【悪魔と彼らの王】


「ねえ、悪魔の国ってどのくらい文明進んでるの?」


 ある日、サタンと遊んでいる時になんとなく気になって尋ねてみた。遊びというか、チェスのリベンジなのだが。


 レイブンによると、人間達の文明レベルは悪魔の国のそれより数百年ほど遅れているらしい。そこで悪夢の国がどれほど発展しているのかという事に興味が湧いたのだ。


「んーとね……。和也の記憶を見た感じだと、日本で言うところの平成入りたてくらいだよ。和也が学んだ教科書とかの知識から推測しただけだし、あんまりあてにはならないだろうけど」


 むっ、失礼な。これでも頭は良かったし、不登校になる前までは勉強もかなり真面目にやってたんだぞ。


 まあでも、同じ歴史を辿ってるわけでもないんだし、日本より進んでるところもあれば遅れているところもあるって事なのかな。どちらにせよ、悪魔の国の方が暮らしやすそうってイメージは変わらないか。


「そっか。……話は変わるけどサタンさ、魔力レベル1のわりに、結構呪文使えるよね」


 扱いが上手いのだとしても使えすぎな気がする。ただでさえ常に呪文でアンチエイジングしてるのに、魔力が枯渇するどころか疲れる様子もない。


「魔力量なんてちょっと気合い入れればいくらでも上がるからね~。それに、最悪ちょっと人から借りればいいし」


「借りる? どうやって?」


「呪文にあるんだよ。魔力や呪文を吸収する呪文」


 何それ欲しい。レベル上げにうってつけの呪文じゃないか? 一割しか取れない魔力をすべて奪えるんだし。それがあれば僕もすぐに帰れるんだろうけど。


「ちなみに、他にはどんな呪文を使えるの?」


 彼女はわずかな間考え、指を折って数え始めた。


「爆発と、魔眼と、不変と、猛毒の呪文が使えるよ。他にもあるけど、それらは全部コピーって呪文で覚えたやつだね。和也と違って十個くらいは覚えられるんだよ!」


 化け物がこんなとこにもいた……。魔王の名は伊達ではないな。彼女が良い子で本当に良かった。本気を出せば世界なんてすぐに滅ぼせるんじゃないか?


「もしかして、ヴィーレ達の冒険ずっと見てたの? その魔眼の呪文で」


「うんっ! 面白かったからね~」


 サタンが最近ずっとやってた事ってそれだったんだね。おそらくウィッチが微妙に彼らのことを把握していたのもサタンに聞いたからなのだろう。魔眼というか千里眼みたいな感じなのだろうか。


「サタンの呪文コピーさせてもらおうかな」


「いいけど、爆発と透明化の呪文しかコピーできないよ?」


「えっ。なんで分かるの?」


「未来予知の呪文、持ってますからっ!」


 彼女はそう言って素晴らしくムカつく笑顔でサムズアップしてきた。敵わないな、こりゃ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ