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  作者: 赫映
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昭利の勘

僕は知っている。

柚子が、無意識にか意識的にか、僕と二人で過ごしたいと思っているのを知っている。


拾った赤子に名前をつけるとき。

引き取るか町に返すか決めるとき。柚子の刺すような視線を肌で感じる。

町へ返して、引き取らんといてという視線を痛いほど感じる。


本人は隠しているつもりやろうが、僕は柚子より長く生きている。

赤子の時から育てている柚子の考えていることは手に取るように分かってしまう。


やけど、二人で暮らすわけにゃいかん。

赤子を救うためにこの家を建てたんや。

柚子と二人で暮らすためやない。


それは柚子も分かっているようだから、何も言っては来ない。

しかし苦しんでいる柚子を見るのはとても見るに耐えないのや。



この家には、柚子の他に雛菊(ひなぎく)椿(つばき)()る。

どちらも、柚子を引き取った直後に引き取った赤子だ。


あの時は、柚子が命を連れてきてくれたと喜んだもんやった。

三人をいっぺんに世話するんはえらい大変やったが、その分とても孝行してくれる良い娘達になった。

柚子は雛菊や椿に若干(じゃっかん)の敵対心を持っているようやった。

けどまぁ、同じ年頃で同性ということもあり三人はえらい仲良しや。


柚子は赤子を家まで連れて帰ってくる。

雛菊は家で料理を作る。

椿は赤子が大きくなるまで世話をする。


時には三人で赤子の面倒を見たり町へ買い物へ出掛ける。

捨て桜に捨てられていた娘とは誰も思わんほどの別嬪(べっぴん)さん達や。

皮肉なことにそこいらの町娘よりも目を引く美しさやった。

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