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桜  作者: 赫映
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成長した鹿尾菜

これは柚子が謎の家出をした十四年後の話。

私がこの家に引き取られたのと同じ日、家出をした女の人がいてたらしいです。

その人は雄黄の髪で青鈍の瞳のとても美しい人だったらしいです。



今話したこととこれから話すことは、私を育てた椿姉さんが言ったことやから本当かどうかはわからんのです。

でも椿姉さんは嘘をつかない人だったからこの話は本当なんやってと信じてるからお話しします。



私が家に来て誰かが家出した次の日に、私の弟である檜葉(ひば)が家に来たそうです。

二人とも大人しくて良い赤子だったと誉めてもらったこともありました。


私たちはそう、五人でずっと暮らしてました。

昭利さん、椿姉さん、雛菊姉さん、そして私と檜葉。


姉さん二人はとっても綺麗な人だったから憧れて、大きくなったらあんな風になりたいと思ってました。

昭利さんは耳が聞こえず、私の顔をはっきり見ることもできんかったそうです。

けどすごく優しい人やったんです。


ある日。

それは私の10歳の誕生日のことなんです。

二人きりの薄暗い部屋で、椿姉さんは真剣な顔で私に向かってこう言いました。


雛菊は人殺し。


それだけ言って、椿姉さんは部屋を出ていきました。

私は突然の告白に呆然として、またとても驚いてしまい、その日は椿姉さんと目を合わすことすら難しかったくらいです。

椿姉さんが怖い、と。


その後、私がやっと平静を取り戻したあとの如何(いか)なる質問にも、椿姉さんは答えてくれませんでした。

椿姉さんの真剣な顔を見たのはあの時一回きりです。


これが予言だったのか、はたまた雛菊姉さんが過去に何か悪いことをしたのかはもう分かりません。


あの夜が全て奪ってしまった。

真実を知る人も。

愛する人たちも。

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