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どこかにいる柚子
どっか遠く。
檻の中やろか。
狭い。
暗い。
ほんのり寒い。
鉄でできたひんやりした檻。
少し錆びた扉には大きな南京錠がかかってる。
これから私はどこへ行くんやろ。
出口も光も見えない。
私は一人で生きて、稼ぐ。
見世物になるって言われた。
どんなものかは分からんけど、良い仕事ちゃうのはわかる。
けど、大丈夫。
身を粉にして働くんや。
そして昭利さんの元へ。
絶対に帰るんや。
きっとそうすれば、昭利さんはお金の心配をせんで私と暮らしてくれる。
そうや。
夢を叶えな。
そのために私は。
家を出ると決心したんや。




