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0.序幕

 窓から差し込む日光が、部屋の中を優しく照らす。

 外は一面雪景色に加えて霧が立ち込めており、視界は狭く両隣の家宅までしか望むことが出来ない。それより先は霞み、段々と見えなくなっていく。

 もっとも、両隣だろうがさらにその奥だろうが、住む人間などいないわけだが。


 ここは死んだ街……いや、死んだ世界だ。

 俺の家以外に生きている人間を探そうと思えば、最低でも3時間先まで歩いて訪問しなければならない。

 また、屋外は危険が多い。手ぶらで歩ける日などとうに過ぎ去った。

 少なくとも、出歩きたいなら刀剣の一振りでも佩いていく必要がある。勿論、その得物の心得を学んだうえで――だ。


 何十年も前に流行していたゲームとやらに例えるならば、フィールドには魔物が蔓延っており、ちょっと歩くだけでエンカウントする。といったところか。

 俺とて、ゲームというものには触れたことがない故、この表現が理解ある人間へ正しく伝わるのかと言われるとあまり自信がない。

 とにかく、この世界に安全な場所などほとんどなく、生きている人間は最盛期に比べてほんの一握りまで減少し、ただ生きる事すら辛い。


 これが"今"の常識であり、俺はその常識を教育せんと戦っている最中だ。


「ユウ、説明」


 銀髪銀眼の見た目麗しい、人形の如き容姿を持った少女が俺に催促を飛ばす。響く声はクリスタルグラスを響かせたように美しい。情動の内包されていない"硬さ"が、その神秘性をさらに高めている。

 彼女は勉強机について鉛筆を握って本を開いており、一見勉強する姿勢。

 本は俺の手製で、自分で言うのもなんだがかなり理解しやすく、内容を噛み砕いてシンプルに書き込んだ歴史書である。これで分からないのは読み書きの出来ないヤツぐらいだ、と思っている。

 そして、肩の上で美しい銀髪を切り整えた美少女、ユキは読み書きの能力がある。理解力もあり、吸収する速度も速い。頭脳明晰という表現を彼女に使用しても大抵同意が得られるだろう。

 だが現実は甘くないのだ。

 現在、学の浅い彼女へ俺が教師となって勉強をさせているところなのだが……


「お前な。今、それちゃんと読んだのか?」

「読んだら分かる、そう思うのは貴方の思い込み」

「繰り返すぞ。読んだのか?」

「読んだら分かる可能性は否定できない」

「つまり読んでねえんじゃねえか!」


 俺は態度の悪い生徒にツッコミを入れるばかりで、全く進む気配がなかった。



 さて。

 ここは俺の家である。

 一軒家の2階建て。敷地は平均より広く、部屋数も多い。比較的小ぢんまりとした造りの多い日本家屋にあって、この家は中々大きい部類に入るだろう。さらにこの地下はかなり開発されていて非常識な状態になっている。

 彼女へ教育を行っているのは、その地上部2階に設けられた個室。

 比較的人の出入りが激しい我が家の空き部屋をユキへ宛がっていた。

 白い壁紙に薄水色のベッドが特徴的な、少女らしい内装の部屋だ。惜しくらむは、この部屋の趣味が彼女のものではなく、一つ前の住人のものであるということか。

 この部屋を手に入れた彼女は、特に感慨も無く利用している。


「なあ、ユキ。俺は今、記憶をまるっと喪失して何も知らない幼気な君に、丁寧にも一から十まで手とり足とり説明してやっているんだ。

 それなのに、まるで自発的に勉強する気が無いのはどういうことかな?」


 そう。年の頃は16から17といった、まだ幼さの残る容姿の彼女。

 発育は理不尽に良いので、身体は立派な女なのがアンバランスな魅力を醸し出している。これで表情が豊かなら男は即座にノックアウトだ。

 ある事情により、彼女は感情が希薄で表情も変わらない為、幸い俺はノックアウトを免れている。免れているのだ。免れていると思っている。

 ……危険指数は現時点でかなり高い。


 そんなユキは、物の見事に記憶を喪失して俺に保護されていた。

 このご時世、諸事情により戻ることのない記憶喪失が珍しいとは言わないが、ここまでおちょくられた気になる記憶喪失者は他に知らない。


「ユウ」

「なんだよ」

「ユウが説明したほうが、早い」

「……」


 1つ教えるごとに、これだ。

 俺は頭痛を覚える。

 彼女は別に俺を馬鹿にしているわけでも、面倒がっているわけでもない。真実を語っているつもりでいるからタチが悪い。

 実際その通りだから俺も反論しにくいのだが、自発的に勉強して欲しいと思う気持ちも少なからず存在し、俺の教育方針は迷走を始めている。


 結局のところ説明する他ないという真実に、そのやりとりを10分ほど続けて到達した俺は、仕方なしに訥々と説明を始めた。


「はぁ……いいか?

 今から大体60年前のある日に、事件が起きた」


 そうして俺は語り始める。

 この、世界の滅びに向かう物語を。






 それは、日本の季節で春にあたる日の出来事だ。


 自分たちを〈アース・エンデッド〉と語る組織が世界規模であらゆるメディアをジャックし、ある告知を行った。


『これより、死した惑星〈地球〉による、人類への反逆を開始する』


 彼らの主張はこうだ。

 〈地球〉は、人類に荒らされ死んでしまった。これを生き返らせるためには、先ず地球上に存在する人類を滅ぼす必要がある。

 これは、その為の第一歩である――と。





「ユウ」

「何だよ」

「痛い」

「何が!?」


 顔はまったくの無表情のくせに、こういったえぐり飛ばすような言葉を容赦なく放つ彼女は、実は感情がはっきりあるんじゃないかと思える。

 そんなはずはないのだが。

 ……まあいい、続けよう。





 誰もがその宣言に戸惑い、そしてあまりの常識外の内容に笑った。

 聞いた者の大多数を占める感想は、「出来るわけがない」であり、「やれるものならやってみろ」といったものであったのは間違いない。


 だが、彼らは実行した。


『では、人類諸君。良い滅びを』


 締めくくりの言葉と共にジャックされていたメディアは解放される。

 そして、茫然とした空気が流れた僅かな空白の後、それは起きた。


 突き上げるような地震が、世界中を襲った。

 世界単位という埒外の規模にしては、その震度はさしたるものではなかった。地震に鈍感な日本では程度の知れた揺れであり、混乱は控えめだったとされている。どちらかといえば、宣言通りに――これを宣言したわけではなかったが――起きた地震に驚愕し、困惑したというほうが強かっただろう。


 結局、その日はそれ以上の事が起きなかった。

 地震で人類の文明が軒並み崩れ人が死ぬということも無ければ、突如正体不明の病気が流行ってバタバタと倒れることも無い。

 人々は訝しんだが、じきに考えることをやめた。

 今日おかしなことがあったんだ。その程度の感想を残し、緩やかに日常へと戻っていった。





「ユウ」

「ンだよ」

「オチは?」

「落ちてねえよ!」


 こいつは今の話を、何かの笑い話として聞いているのか?

 結構重めの話をしているのに、まるで緊張感が無い。

 説明する口調も段々と適当になっていくのだが、彼女は内容さえ耳に入ればいいらしく特に咎めもしない。

 ますます勢いを失っていく俺のモチベーションを叱咤しながら、続きを語る。








 変化が訪れたのは、その一か月後のことだ。

 日本で起きた突然の人体発火事件。犯人はごく一般のサラリーマン。商談を進めていた打ち合わせの場で論争となり、言い争いへ発展したその直後のことだ。

 サラリーマンの怒声と共に、争っていた相手が燃えた。

 炎の勢いは強く、被害者はあっさりと死亡。危うく建物まで燃やす尽くす勢いであったという。


 そんな事件を皮切りに、あちこちで不可思議な現象が報告され始める。

 曰く、喧嘩していた相手を殴り飛ばして、首から上が消し飛んだ。

 曰く、何もないところから水が溢れ出し大洪水が起きた。

 曰く、眠っていた少女が空を飛んだ――など、など。


 すぐにそれらの事象に研究が始められた。

 日増しに増えるそれらの報告をかき集め、数々の研究者たちが詳しく調べ上げていき、苦節5年という長い研究期間を経て結論が出された。


 人類に、〈魔法〉の力が得られた――と。







「ユウ」

「もう聞かねえぞ」

「頭、大丈夫?」

「記憶無くしてるお前に心配されんの!?」


 そのリアクションは想定外だった。

 今を生きる人間からすると、〈魔法〉は当たり前のものだからだ。

 生活に最低限必要な知識も欠けている節があるだけに、彼女がそこに意外性を感じるのも分からないではないが……頭が大丈夫かとか、言うか?

 もっと違う常識をどこかから仕入れているような気が、しないでもない。

 ――まあいい。今は〈魔法〉の話だ。







 〈魔法〉。

 そう、ファンタジーの物語における、大きな要素の一つだ。

 体内に宿るマナ、魔力、オーラ……何でも構わないが、そういったエネルギーを使い普通にはありえない現象を起こすものである。

 人々はその力を手に入れていたのだ。


 発現者の多くは、精神にダメージを負っていたり、或いは激情にかられていた。

 後に〈大魔導〉と呼ばれるヴァイスハイト・ベリアルはこう話した。


「人の肉体は〈器〉。そしてその中には〈魂〉という水が満たされている。それは生まれた時点で器いっぱいに満たされているものだ。

 だが、精神を負傷――と表現するべきだろうか。心にダメージを負った人間は〈器〉に収まった〈魂〉が減少した状態になる。そして生まれた隙間に、大気中に秘められた〈魔力〉が〈器〉の中に収められ、〈魔法〉を発現させるだけの力を人間に与えるのだ。

 力を発現させている人物たちは、そうして生まれた」


 他にも諸説生まれたが、最終的にこのヴァイスハイト理論が正しいと肯定される。

 研究もその法則に基づいて進められたが、様々な問題も発生した。

 そもそも〈魔法〉を行使する為には精神にダメージを負わなければならない。つまり、人を壊すのだ。

 そんな外道を、良識派を名乗る集団が咎めない筈はない。

 当然のように各地で衝突が生まれ、〈魔法〉を巡って争いが起きた。


 それでも、〈魔法〉の力は魅力だった。

 例えば、何もないところから雷を起こす法。これひとつで、電力が賄える。賛否両論あった発電方法など取ることもせず持て余すだけの電力が得られるのだ。

 それだけではない。〈魔法〉は人を癒し、食物を生み、奇跡を起こす。

 明確な利益があっては、人は抗うことも難しいのだ。

 反対の声が収まることはなかったが、強行してそれを止めさせようという動きもまた、生まれることは無かった。







「ユウ」

「……何?」

「ヴァイスハイト、何歳?」

「え、そこに喰いつくの……?」


 ヴァイスハイト理論が宣言されたの、そういや何年だ?

 俺もその理論を推す一人だが、そういえば正確な暦を知らない。

 〈魔法〉が世に出回りだしてあまり時期を置かずの宣言だったと思うのだが……まさか答えられないと悔しい質問まで飛び出すとは。

 歯噛みしながら、そっと質問を聞き流して説明を続ける。








 世界中が〈魔法〉によって発展の一途を歩んでいたが、その栄光は〈魔法〉の力が確認されてから5年後、唐突に終わりを告げた。


 〈空人〉の誕生である。


 これまでの研究課程において、〈魂〉を完全に壊された人物が居た。

 彼らは犯罪者の臨床検体であったり、〈魔法〉に取りつかれた志願者であったりと様々だったが、〈魂〉を壊した人間に共通していた結末は〈植物人間化〉である。


 何をするでもなく、ただぼんやりと佇む。

 食事も睡眠も必要としない。体内に取り込んだ〈魔力〉が肉体を生かし、老化すら止めている。ただ、大気に宿る魔力さえ取り込めば生き続ける。故に、研究者たちは彼らを〈植物人間〉と称した。


 彼らの区別の仕方は容易であった。

 〈魂〉を多く失った人間は身体のどこかが〈銀化〉する。頭髪、目、爪のような分かり易い部位のほか、皮膚、臓器、血液といった、あり得ない部位まで銀色へ変化した。

 〈植物人間化〉まで破壊された人間は、ほぼ全身が〈銀化〉するのだ。それこそ、一目瞭然というほどに。

 その色と、変化後の様子から、〈シルバー〉という蔑称が生まれたのもこの頃とされている。


 そんな彼らは、大抵研究対象とするために一か所に固められ、保管されていた。

 総数にして、各地の拠点ごとに100に届くか否か。

 その〈植物人間〉たちは、ある日一斉に植物をやめた。 


 膨大な魔力をもって、〈魂〉を持つ人間を襲い始めたのだ。

 この部分だけ切り抜いて聞いた場合、大抵の人間はいわゆるゾンビのようなものを連想するだろう。だが、彼らは違う。

 その肉の器に収められた記憶をもとに、機敏な動きを見せ、的確な行動をもってして人々を襲った。銃撃に対して遮蔽物を利用し、魔法攻撃に対して障壁を生み出し、罠に対しては罠をもって人類を翻弄した。

 唯一の救いは、その攻撃性を持つのがごく狭い範囲に限られていることだろう。もし彼らが一定のテリトリーから外まで能動的に行動を行っていたならば、人類はすべて〈銀化〉していたに違いない。

 人々は彼らを、〈魂〉を失った中身のない人間、〈空人〉と呼び、恐怖した。








「ユウ」

「はいはい、何だ」

「私は〈空人〉?」

「……違う。が、遠くない」


 今までの問答とは一線を画した、重い問いかけに俺は言葉が詰まった。

 彼女は銀髪、銀眼。更には脱色したかのような白い肌。血液こそ銀に染まっていないが、時間の問題といえるほどその変貌は激しい。

 〈植物人間化〉していないのが不思議なほどの〈魂〉を焼失させている証だ。

 表情や言動に感情が乗らないのも〈魂〉がほぼ失われているからであり、記憶がなくなってしまっているのもそれが原因だと俺は思っている。

 〈空人〉か? という問い掛けならば否だ。

 だが、〈空人〉に近いかと言われれば、是と返すほかない。


「だからユキ。お前はそこらの人間が見ると、〈空人〉寸前の危険人物だ。

 ほいほい出歩くと、危ないお兄さんに先ず間違いなく狩られる。

 だから、きちんと常識を覚えて身の振り方を――」

「分かった。ユウの言うとおりにする」

「違う。お前が自分で考えて――」

「私はユウが言うことが正しいと思う」


 くそ、分かってねえ。自分で考えることが大事だと説明したいのだ。

 俺が言ったことをするだけなら、そこらの人形にだってできる。

 とはいえ、〈魂〉をここまで消失した人間なら、これが出来る限界なのかもしれない。〈魂〉はストレス等で精神をすり減らさない限りは、時間を置いてじわりじわりと自然回復する。今は回復に努め、もう少し〈魂〉を取り戻してから同じことを伝えよう。


 仕方なく、俺は続きを語る。







 彼ら〈空人〉によって直接肉体を攻撃された人間は全く負傷しなかった。ただ、負傷しただけ〈魂〉を失ったのだ。

 ここは正にゾンビ顔負けの能力である。

 更に、〈空人〉はその症状を進行させると、不可解な進化を遂げた。

 ヴァイスハイトは、体内に内包した〈魔力〉が〈魂〉を失った器を変質させていると語った。その変質の内容は、器となった人間が脳に持つ〈強者〉の姿であり、変質する姿は多岐に渡る。

 最初は、精々が筋骨隆々とした大男であったが、次第にオークや狼男。果ては人型を外れスライム状の何かであったり、名状しがたい獣であったり――最終的には、ドラゴンまで確認されたらしい。


 〈空人〉が〈空人〉を増やし、その混乱は徐々に加速していく。

 誰もが恐怖した〈空人誕生事件〉より半年。

 激化する混乱は、さらに誕生した〈天使〉によって人類文明ごと幕を下ろす。


 背に羽根を生やし、震えあがるほど美しい姿の〈天使〉が空高く舞い上がり、世界中を薄い霧で包んだ。

 それが〈大地創生の日〉となった。







「ユウ」

「今度は何」

「私も天使になれる?」

「そのうちなるかもな」

「頑張る」


 できれば〈天使〉などならないほうがいいのだが。

 本気でなりたいとのたまい出したら、説得してやめさせるか首を刎ねなければならなくなる。

 いや、自発的になりたい、と思う限り〈天使〉にはなれないか?

 あれは〈魂〉を喪失して心を無くした者が行き着く場所と考えると、なりたい、という欲望を抱えた人間には到達できない境地なのかもしれない。

 中々、業の深い話になりそうだ。彼女と交わす論題ではなさそうだが。


 話が逸れてしまった。ユキに謝って続きを語ろう。








 霧に包まれた世界は、縮尺を狂わせ、土地はありえないサイズへ変貌した。

 かつて東京であった場所はその規模を5倍まで膨らませたという。

 拡大して生まれた空白地帯には、まるでコピー・ペーストを繰り返したような建物が隣接し、あたかもそうであったかのように姿を見せた。


 それらの正確な大きさや地形を把握している人間は、今の時代に至っても存在しない。

 なぜなら霧が生まれたその日から、人々は空を飛べなくなったからだ。


 空には〈天使〉が舞っている。彼女たちは個体数が少ないが非常に強く、それが地上であったとしても勝てるかは怪しい。それほどの敵が地上に居る限りは何もしてこないのが不気味であるが、〈魂〉を持つ人間が空へあがると、容赦なく墜としにくるのだ。

 だがそれが直接の原因ではない。ただ襲われるだけなら、人々は対抗しただろう。

 そうしない理由はひとつだけ。

 〈飛行〉した人間は、〈魂〉を失うのだ。

 空へ上がると天界へ召されるかのように、すぅ、と〈魂〉が抜け落ちていく。

 高度は低ければ低いほどその抜け落ちる量が減るが、高所の飛行は瞬く間に〈魂〉を消失した。〈魂〉を満載した真人間がヘリで〈飛行〉できた時間は、大よそ5分であったとされている。


 それから、現在に至るまでの約50年。

 人々は着々と数を減らし、文明は見る影もなく衰退した。

 これが〈地球〉の反撃であったのか、分かる者はいない。

 それでも残された人々は新たな技術を生み、辛うじて生きている。







「ユウ」

「何だ?」

「新しい技術って?」

「ああ、それは……〈人形〉さ。〈魂〉を内包した、戦う兵器。生きた道具」


 こちらこそ業の深い話だ。

 〈魂〉を失ってしまうのは、人間の肉体のような貧弱な〈器〉だから。

 ならば、強固な〈器〉を有した何かを作ればいい。

 結果生まれたのが、〈戦闘人形(ドール)〉。

 〈空人〉と戦うためにのみ作られた、ただそれだけの道具。


「お前をここまで運んだのもそうだぞ」

「……〈ココロ〉?」

「ああ、そうさ」



 そのやり取りを機に、俺は彼女を拾うことになった経緯を思い出していた……


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