ルーカスの語り
暗い森からでた影響でまぶしさに目がくらむ。
『こっちだ』
「ほんとに、どこ行く気だよ」
『ついて来ればわかる』
それを繰り返すばかりで何も言わない。あきらめて黙ってついていくことにした。
途中、そこをスプーンなどでくりぬかれたようにくぼんだ横を通り抜けた。その内側は明らかに人工物で、カルミナ様の小さな像がところどころ埋め込まれていた。
「ここって・・・」
『元、スカイタウンだな。ここの一番下、黒い靄が見えるだろ』
「みえるな。あそこに魔王が?」
『あぁ。いこう。もうすぐそこだ』
一番下の黒い靄をにらみつけ、ルイに続いた。視界の端に白い何かをとらえながら。
「これは・・・?」
『女神の神殿。カルミナ様を祀ってる。入るぞ』
確かに、神殿というにふさわしい外観で、大きな扉は何かを守るよう。
ギィィィと大きな音をたてて扉を開く。
(夜?)
外はまだ明るいというのに、天井に大きくあいた穴からは星空がのぞく。
『久しぶりです。マダム・ルーカス』
「お久しぶりね。ルイ」
上に向けていた視線を前に向けると目を閉じた女性がいた。
「あなたが来たということは勇者を連れてきてくれたのかしら?」
『あぁ』
「ここが、そんなに珍しいかしら?」
「え?あぁ、はい」
急に水を向けられ、素直に答えてしまう。
「どうして、ここだけ夜なんですか?」
「それが、私への罰だから」
罰・・・?
「そういえば、女の子がミクリアに落ちたらしいけど?」
『そっちにはソフィーが行ってるはず』
女の子・・・。
「ミナ!!」
そうだ、俺、ミナ迎えにいかないと・・・。
「お知り合いみたいね」
「はい。俺、その子迎えにいかないと・・・」
『ここから《ミクリア》にいくなら、フェアルの森を通るのが早いか』
「フェアルの森?」
「ユウさんたちがきた方向と逆方向にある森のことです。でも、フェアルの森は、魔物が出るでしょう?」
『出るって言ったって、ゴブリンとかその辺だろ?さっき戦ってきたから大丈夫だろ。なぁ?』
ルイにふられ、うなずいておく。
「・・・なら、大丈夫でしょう。少し待っていてください」
マダム・ルーカスが奥に入っていく。
「?」
何かをもって戻ってくるマダム・ルーカス。
「これを」
「盾?」
「何も持っていないでしょう?気休めです」
苦笑しながら受け取る。丈夫そうな盾だ。
「・・・・」
「どうかしました?」
じっと俺の足を見てくる。なんだ?
「足、けがしてるんですか?」
「え?あぁ、まぁ」
「診せてください。骨折でもしてたら大変です」
隅にあった小さい扉を通り、部屋に案内され椅子に座らされる。その前にマダム・ルーカスが膝をつく。
「別に、大丈夫だと・・・」
「ぜんっぜん大丈夫じゃない!案の定骨折してるじゃないですか」
ジト目で見あげられる。あれ?どっかで見たことがある気が・・・。
「治るまでここにいてもらいます!お話しなければならないこともありますから。というかこんな足でよくここまで来れましたね」
『まぁ・・・ここに来ないと始まらないからな』
「無理やりあるかせたの!?しんじらんない!」
あぁ、反応がミナにそっくりなんだ。
「まったく・・・。治るまで一年というところでしょうか」
「一年!?」
思わず叫ぶと、こちらをにらみ
「おとなしくしてもらいますよ」
とすごまれた。ルーカスさんこえぇっす。「まぁ、暇になりますし、勇者の話でもしましょうか」
椅子に腰掛け、話始めるマダム・ルーカス。
さて、まずは基本的なことから聞きましょうか。ルイからあなたが勇者であるということは聞いていますね?
・・・それならいいです。あ、あの伝承も知っていますよね?カルミナ伝説。『御伽噺』でしょうか。
・・・その御伽噺のとおり、勇者は女神がやってしまった馬鹿の始末に__失礼。魔王の封印に向かわなければなりません。・・・え?先にミナを迎えに行っていいか?だめですよ。それに魔王ふういんは結局はそのミナさんを助けることになるんですよ。え?どうしてか?そりゃあミナさんが女神の生まれ変わりだからですよ。わっ、そう声を荒げないでください。私も全部わかってるわけじゃないんです。
・・・・いいですか?話を戻しますよ。女神はこれから魔王封印のためある儀式をしに、三つの土地を回ります。初めはフェアルの森。あなたは女神に続いて__え?魔王封印は勇者の仕事じゃないのかって?今からあなたが魔王封印にむかったって間に合いません。あなたの魔王封印を間に合わせるため、封印をかけなおす必要があるんです。話を戻しますが、女神に続いてあなたも儀式をする必要があるんです。いくらその剣が勇者の剣だったとしても限界はありますからね。
「とても危険なみちでしょうが・・・。行ってくれますね?」
ちいさく『行ってくれないと困ります』と聞こえたのは気のせいだ。
「・・・」
「い、いきますよ!俺がいかないとだめですもんね!!」
ちいさく『行きますよね?』とマジなトーンで聞こえたのはきのせいだと思いたい!
「そうですか。ありがとうございます」
うれしそうな笑顔を咲かせ、深々と頭を下げるマダム・ルーカス。
「でも、足のけがを治すのが先決です。おとなしくしていてくださいね」
「はい」
たまに怖くなるよな・・・。あのひと。