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秘奥義とか技名を考えるのって大変だよね

”気配察知 強””範囲強化”思考加速は休息には向かないので変化させず、仰向けのまま空を見る。


 宗治との斬りあいの結果、血塗れとなった俺は、回復薬と能力併用で傷が塞がったにも関わらず軟禁された。軟禁というか拘束か、外だし。


「ん、たつ今日は休む」

「わかったよ・・・まさか一日中温めるのか?」

「ん、大事」


 確かにそれなりに血が流れたせいか、多少貧血だとは思うが、それでも回復薬である程度は回復してると思うんだけどな。チェッカー君も特に問題なしといってたろ?


「ん、だめ」


 梃子でも動きそうにない志乃がお腹を摩っていて解放してくれない。俺達が今いるのは川の傍だ。そこに異次元ボックスから取り出したキャンプ用の椅子とテーブルを並べて寛いでいるところだ。

 

 時折魚人が襲ってきたりするも千那と冬華に陸に上がった端から殲滅されて、川に投げ込まれていっている。あいつらは水中でも敵いそうにないのに、何でわざわざ陸に上がるんだろうか?


 しかも千那と冬華は競いあうように魚を獲るので、美香が処理しきれてない分だけ生臭さが魚人の死骸も相まってひどい。


「もぅ!二人とも獲りすぎよ!・・・あ、優奈駄目よ触っちゃ!」

「え~お魚料理させて?」

「・・・今日はどんな日なの?」

「多分駄目な日?」

「じゃぁ駄目よ」

「む~!」


 駄目な日なら大人しくしててくれ頼む。


「たつくん!みっちゃんが意地悪する!」

「・・・あれだ、調合するとかは?」

「ん~調合はここじゃ集中出来ないし、高品質とかはそれなりに数あるからな~神水薬エリクサーを作るには環境がいまいちだし」

「じゃぁ一緒に日向ぼっこでいいんじゃないか?」

「ん、ゆうなひるね?」

「そうしよっかな?たつくんの隣で寝そべる~」


 俺と志乃が寝転がっているのはベットだ、異次元ボックス故に出来ることだが、本来屋内で使うべきベットを外に出してそこに寝そべっている。かなりシュールな光景だろうな。スペースはあるので、優奈が隣に寝てもかなり空きはある。すでに雪と蒼は遊び疲れて膝あたりで丸まって寝てる。


「・・・すぅ・・・すぅ・・・」


 気づいたら志乃は俺の腹を枕にして寝てる。さすがに風邪を引いてしまうので、志乃を抱き上げ隣に寝かせて毛布をかけておく。


「志乃ちゃん寝ちゃったの?」

「みたいだな、まぁお昼寝もたまにはいいんじゃないか?」

「お外でベットに寝てるってのも不思議だけどね」

「異次元ボックス様々だな」








「ふはは!その程度か冬華!」

 

 水中にいればいいものを、なぜか千那と冬華に襲いかかる魚人の群れ。かれこれ1時間は戦っているが、一定の数が水中から現れ、その度に千那と冬華が競い合うように切ったり千切ったりして川に還している。


 先ほどまでは魚も一緒に獲っていたがいい加減美香の顔が恐ろしいものになっていたので、魚を獲るのをやめてからはさらに激しくなっている。最も魚を獲るくらいに片手まで戦えて、しかも今は陸にいるわけでテンション高く競っているが、要は二人とも飽きてきているのだ。飽きた故に身体の変化制限を解除して上がってくる魚人を網のように変化させた腕で大量に捕らえ、そのまま川に放り込んでいる千那である。しかも冬華を挑発するために魚人達の方は見ていない。これが本当のキャッチ&リリースだ!と叫んでいるくらいだ。


 しかし、挑発されたら冬華も黙っているわけにはいかなった。


「ヂヂヂ、ヂヂヂヂヂ!(まだです、私には秘奥義があります)」


 千那は冬華達獣人の言葉がわかるので、演技ではなく悔しがる。


「な、秘奥義だと!?」

「ヂヂヂヂヂヂ、ヂヂヂヂヂ、ヂヂヂヂヂヂ(本来はこのような場所で使うものではありませんし、この者達に使うほどでもありませんが負けるわけには行きません、タツヤ様の背中を流す権利をかけているこの戦い負けられません!)」


 いつのまにか景品がついていて、本人の承諾も得ていない二人。達也の所からはテンション高いなあいつら、というか魚人が憐れすぎると、達也の方が死んだ魚の目をして見ている。


 それになぜか秘奥義と聞いただけで千那が悔しがり、地団駄を踏み(踏み降ろす度に地面が陥没している)腕を解除して、魚人達を宙に放り出している。


「ヂヂヂ、ヂヂヂヂヂヂ!(いきます、放手連撃めったなげ!)」


 えらく適当な名前を叫んだ後、合手と騙手を組み合わせてポンポンと川の中に投げ込んでいく冬華。適当に言っただけで奥義でも何でもない。しかしそれでも千那は放手連撃めったなげ!?なんて凄い技なんだと本気で悔しがっている。


 予断だが、元魔王でそれなりに貫禄あった千の芸・・・千の名を持つ魔王の時より幼児退行している。達也の知識を吸収したのと、自身の身体を形成する時に生まれ変わったと千那は思っているので、見た目よりも幼い行動が目立っている。


 対抗しようにも何も思いつかなかった千那は達也の方に向かう。






 なんか冬華が雄たけびを上げながら適当に川に返しているんだが・・・死んでないから川に返してるだけだな本当に。取って投げる・・・これが本当のキャッチ&リリース?とか馬鹿なこと考えていると、何故かは知らんが冬華を見て悔しそうに千那が地団駄を踏んでいる。あいつ見た目より子供っぽい動きが目立つな。そういや、志乃もそうだけど勉強させるの忘れてたな。アルランでは意外と皆忙しくて中々気が回らなかった。夜にでも美香と相談するかね。


 そんなことを考えていたらいつのまにか千那が目の前に、ベットに上って俺の上に跨ってきた。


「ってこら!一応女の子が男に跨るんじゃねえ!」

「だってずるいのだ!冬華!ずるいのだ!」

「な、なにが?」


 俺が怒るとそんなことはどうでもいいとばかりに襟を掴んで揺さぶられる。隣の優奈も吃驚して千那ちゃんどうしたの?と聞いているがそれも目に入ってないようだ。いや、こいつ何を悔しがってるの?


「冬華だけ秘奥義なんてカッコイイもの持ってるなんてずるいのだ!達也考えてくれ!」

「・・・いや、自分で考えればいいだろ?」

放手連撃めったなげなんてカッコイイやつなんて、千那じゃ考え付かないのだ!」

「め、めったなげ?もしかして今冬華が川に投げているやつって技なのか?」


 俺には合手と騙手を交互に使って放り投げているようにしか見えないんだが、千那からすると違うのか?

もしくは近くにいたから別のものだと見抜いたとか?


「まぁわかったよ・・・ってか千那も奥義というか必殺技みたいなの使ってるだろ?」

「なんだと!?千那はいつのまにそんなものを!?」

「いや、手変化させて怪物を細切れにしてるだろ?あれに名前つければ?」

「あんなの手で千切ってるだけではないか!もっとカッコイイのがよい!」


 カッコイイ基準がわからないんだけど・・・困惑して優奈を見ると何故か目をキラキラさせて同意するように千那と一緒に俺にまたが・・・乗るな!


「千那ちゃんだけズルイ!・・・それでたつくん名前考えてあげないの?」


 さすがに二人は乗れないから諦めるのかと思いきや千那の後ろに並ぶように乗っかってくる。もう好きにしてくれ。てかまた名前考えるの?楓達の名前付けるのに滅茶苦茶大変だったのが記憶に新しいのだけど。


「達也なら厨二力?というのが高いのであろう?それに千那も千那と言う名をくれたではないか!」

「厨二力言うな・・・いや、千那お前名前を決めてから必殺技にするきか?」


 普通動作を決めてからじゃないか?


「名前さえあれば千那なら出来る!」

「どっからきたんだ?その根拠?」

「いいじゃん、たつくん考えてあげようよ!スーパービームとか!」

「千那はビームも出せるのか!?」


 何で千那が驚いてるんですかねぇ、頑張れば出せるようになるかもよ?それにしても技名ねぇ、あぁていうか形態に名前つければいいんじゃないか?


「形態毎に名前付けるか?」

「「形態毎に名前?」」


 二人揃ってキョトンとした顔をするなよ。


「天使モードとか悪魔モードとか?そんな感じで形態・・・千那だと手を変化させるのが主だろ?」

「うむ、美香に貰った服を破きたくないのだ。いっぱいあるらしいが、数に限りはあるのだろう?」

「まぁ確かに材料的にも、自作は・・・美香なら材料あれば作りそうではあるけど、物を大事にするのはいいことだな」

「そ、そうか?千那偉いか?」

「偉いけど・・・お前褒められ慣れてなさすぎ・・・まぁいいや」


 両手を頬に当ててキャーキャー騒いでる千那を見ながら考える。さすがに天使モードとか悪魔モードは背中に翼やら頭に輪っかをつけさせる訳にもいかない。服も破けるだろう。


 ん~、そうだな発動キーというか、最初の掛け声から続ければいいんじゃないかね。例えば○○○・剣みたいに最初の○○○は統一して後ろだけ形態の形を言うとかさ、ということで。


「千那好きな言葉適当に言ってみ?」

「む?好きな言葉?・・・達也?」

「・・・いや、うん、ありがとう?いやいや、そうじゃなくて、自分が思うカッコイイ言葉でも何でもいいぞ、一言でいいんだ」

「それが難しいから、達也に頼んでいると言うのに・・・むぅ」

「たつくんつまりどういうこと?」

「優奈だったら、ライ君やらチェッカー君の名前を言ってから使うだろ?」

「そういえば、お願いするときについ言っちゃってるね」

「つまりそんな感じ?」

「ど、どういうことなの?」


 思考加速してないから俺も適当にしか考えてないしな。というか腹の上でうんうん唸る女の子を乗せてるこの状態って結構あれだな。美香に怒られそうだな。


「別に怒らないわよ?」

「だからエスパーか!読心術の能力にでも目覚めたのか!」

「達也がわかりやす過ぎるのよ、お昼どうしようかなって」

「あー魚・・・って魚臭!?-ガンッ!-痛っ!?」

「た・・・つ・・・や?」


 お玉で叩かれる状況なんて来るとは思わなかったぜ・・・悪かったよ。


「もぅ・・・それで?千那と優奈は何で達也に跨っているの?」

「いやいや不思議そうな顔してる場合かよ怒れよ!情操教育だよ!」

「別にいいんじゃない?何かするわけでもないのだし、達也も邪なことは考えてないんでしょ?」

「そうかもしれんが、違う気がする・・・」


 俺と美香が昼について考えていると焦れた千那が跨ったまま貧乏ゆすりをしだす。いや待て!この状態で貧乏ゆすりはやめろ!


「達也!千那じゃ思いつかない!このままじゃ冬華に負ける!」


 何を争っているんだお前は!?ええい、発動キーみたいな言葉を考えてやればいいんだろ?身体を変えているわけだから、変装とかチェンジとかその辺か?というか特性だけ見ると千那と俺って被ってるな。用途は違うし、さすがに指を糸にして切り刻むってのは出来そうにないけど。


 依然お腹あたりで揺すり続ける千那を見て、そういやこいつ魔王だったっけ?と思い、思いつく。


「そうだな、魔装まそうでどうだ?」


 そう言うとピタっと千那は動きを止めて俺を見下ろす。変わりに私が!とでも言うように優奈が揺すり始めたのを見た美香がやめなさいとデコピンしていた。


「まそう?まそうとはなんだ?」

「千那魔王だろ?元だけど、で魔王の魔をとって、変化というか変装してるから変を使おうと思ったんだけど、それじゃかっこ悪い気がしたから装をとって魔装だな」


 説明していくとどんどん目が輝きだしてくる千那・・・いいのかこんなんで。


「つまり千那は魔装!といって変化すればよいのか?」

「そうだな・・・魔装の後に何かつければいいだろ?」

「む?何かつけるのか?千那そういうのは苦手だと・・・」

「魔装の後は何でもいいぞ?剣に変化させたなら、魔装・剣みたいに言えばいいだろう?よく使う糸みたいなやつなら・・・魔装・影糸えいし辺りでどうだ?」

「おぉ・・・おぉぉぉぉぉー!!!!!」

「うわ!?何だよ?」


 そこまで話すと雄たけびを上げるかのように叫ぶ千那。「みっちゃんひどい!」「乗るのはいいけど、揺するのは駄目よ、はしたないわよ?」と話していた優奈達も吃驚したようだ。


 それに


 寝ていた志乃と雪、蒼が起きてしまったようだ。吃驚したように俺にしがみついている。


「ん、たつ?なに?」「チチチチチ?」「クゥゥン?」

「あーすまんな、ちょっとうるさかったな。まだ寝てていいぞ?」

「ん、せんなどうしたの?」「チチ?」「クルゥ?」


 三人を起こした犯人の千那だが、魔装!と言いながら冬華の方へ走って言った。っていうか未だに魚人の群れが出てきてるんだけど、もしかしてこれ通り道か何かか?


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