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アルランへの訪問者5

「えっと?あなた達はトウカさん、あ~シリウス族長のお仲間ですか?」

「チ?チチチチッチチチチチ?(む?人間、シリウス族長を知っておるのか?)」


 ルッドが話しはじめにシリウスの名前を出すと、怯えたように何人かのリス族が後ずさる。偉そうなリス族も足が震えている。恐る恐るというように、偉そうなリス族はルッドに確認する。


「チッチチッチチチチチチチ?(そ、それでシリウス族長はここにいるのか?)」

「えっと彼女ならタツヤ君と・・・えっと、出かけていていませんが」


 ルッドがそういうとホッとしたように、また胸をはって偉そうにするリス族(雄)。


「チッチチチチチチッチチチチチチチ!(ふんっなら話は早い、ここにある食料を寄越せ!)」

「食料ですか?」


 そういえば食うに困った雄は私達を見捨てたのですとカエデさんが話していたな。トウカさんなんてタツヤ君が抑えてなかったら暴れるんじゃないかってくらい怒っていたし。とルッドは思い出した。まぁそれは置いておいたとして、どうする?と隣にいるフリッツに聞いてみる。


「食料?森の中で十分な量がとれるんじゃないか?リス族の雄なら相当強いんだろ?」

「チチチチチチチチッチチチチッチッチチ(化け物のことをいっているのか?逃げ回るだけ・・・いや、俺達でも勝てるけどな、食料としては今いちだから関わっておらん、それに木の実やら何やらは食べられるかわからん)」

「だ、そうだよ。そういえば、森の生態も変わってるから毒があるかどうかはユウナちゃんが把握してくれたものだけなんだよね」

「なるほど?食うに困ってアルランに来たというわけか・・・」

「チチチチッチッチチチチッチチチチ(何人かはそれでも食べて死んだ者もおるがな、それで?食料はいつ寄越せる?」

「・・・デニスも文句は言わないだろうし、別に食料提供は構わないのだが、お前らカエデ達はいいのか?」

「チチチ?チチチッチッチチ?チチッチ?チチチチッチチチ(かえで?まさか人間に名前をつけられて飼いならされているのか?これは傑作だ!お前ら聞いたか?人間に飼いならされてるそうだぞ!)」


 偉そうなリス族がそう言うと一団は一斉に笑い出す。チチチチチと笑いをこらえられないとでもいうように。ルッドはタツヤ君が聞いてたらとんでもないことになったかもなぁと半ば安心、彼らの態度を見て不安と仲良くするのは無理かもしれないと思う。フリッツと目配せし、もぅ食料適当に渡して帰ってもらおうかと頷きあうと、偉そうなリス族がさらに追加の要求をしてきた。


「チチッチチチチ?チチチチチッチチチチッチチチチチチ(丁度良い、ここには弱っちぃ使えない雌共がいるのだったな?シリウス族長がいないなら俺達が引き取るべきだろう、そいつらと繁殖も必要だから引き渡してもらおう、ついでに壁の中に家も用意してもらおうか)」


 これにはさすがのルッドも横暴だ!と怒る。フリッツなんて敵対認定でもしたのか、つれてきた護衛に目配せをして戦闘態勢に移行しようとしているくらいだ。それを止めることも忘れ、ルッドは叫ぶ。


「いやいやいや!?さすがにそれは身勝手じゃないかな!?」


 途端リス族の威嚇が始まった。カンカンカン!キンキンキン!と耳障りな音を立て歯を剥き出しにして威圧してくる。


「チチチ!チッチチ?チチッチチ?チチ?チチチッチチチチッチ?(クカカ!何だ人間?やるのか?構わんぞ?見たところ弱っちぃ雌共を戦力として使ってくらいなのだからお前らも弱っちぃんだろ?)」


 訓練を通して実力をつけた分だけ雄達の実力はフリッツ達も肌で感じていた。そもそもこの人数を維持しながら町の外にいたのだ、自分達と同等あるいはそれ以上の力があるに違いない。能力を得ているものがいないとも限らないのだ。


 思わずフリッツ達が後ずさろうとした瞬間

 

 ルッドはそんな無茶区茶な要求は妻子を持つ身として許せるもんかと、戦るなら戦ってやると弓を構えようとした瞬間


 柳は危険はないとは思うが、傍で急激に噴きあがる凶悪なまでの力に驚き思わず自身が使える『大いなる光よ我らを守りたまえ!”守護聖域ゆめまもり”』最硬の防御魔法と唱え、白炎を中心とした青白い結界を作り、白炎が体を赤黒くし子供達とケーナを守るように体を盾にした瞬間


 カエデ達が自分達が威嚇されているのでもないのに、腰を抜かしたかのように座り込んで、ふと後ろの気配を感じ取り後ろを見た瞬間


 そして、リス族(雄)共が威嚇しながら一歩踏み出そうとした瞬間





 リス族(雄)は踏み潰された。





― 相田真 ―


 ルッドさんの様子を見るに相当悪質な要求をしているのかな?カエデさん達の様子もおかしいし。

 

 ってうわうるさ!?思わず耳を手で押さえるも、お腹に響くような音は頭が痛い。ってあれ?この音はあの子が・・・子供達の方を見ると奏が必死に、佐奈ちゃんの耳を塞いでるのを、佐奈ちゃんが涙を流しながら僕を見ているのを見て、キレタ。


”念 制限開放(キャップカイジョ)


 リス族(雄)の人たちを上から念で押し潰す。イメージとしては大きな手でそれぞれを上から押さえつける感じだ。とりあえず、音がでないように全員顔を地面につけてもらった。一瞬抵抗するものが何人かいたけど、1秒も持たなかった。


 僕の能力は制限をかけておかないと、無意識に使ってしまっている能力、念のせいで変な圧を出してしまうらしい。だから普段は戦闘しない時は制限をかけている。それでも緊張したり、動揺すると緩んでしまう時がある。そのせいでアルランでの最初の会議も散々なものになったしね。いつもは最低限の感知が出来るくらいで抑えるようにしている。だから決めた。


 奏や双子、子供達が傷つくようなことがない限りは制限をかけておこうと。僕も常に使うのは疲れるからね。


 全力で能力を行使した時の参上と奏の怒り顔が自分のリミッターになっているのは確かだ。それにしたってあの時のことは反省している。


 でも、傷つけられるまで対処しないわけでもない、危険は先手をとって排除してきた。


 アルランに来てから緩んじゃったかな?


 佐奈にこの手の音はマズイってわかっていたのに


 対処が遅れたなぁ


 直接の危害ではないので、とりあえず音を止めさせてもらっただけだけど・・・どうしようかな?ん?


「チカカカカ、チチチチ!」


 おや、対抗出来る能力者がいたのかな?膝立ちになってこちらを睨みつけている。威嚇なのか口をガタガタさせてたので、彼には追加で3枚程追加しておこう。


 静かになったかな?・・・うん?まだ呻けるのか、もう少しツブスカ。


――


 

 達也と違って殺気や威圧は真には出せないが、リス族(雄)達が何かに押し付けられるように、地面に引き倒され、身動きがとれなくなっているのを見れば真が何かをしていることはフリッツ達にも何となく把握できた。


 一度立ち上がりかけたリス族に対し手をかざすと、地面より下に押し付けられたのを見れば尚更だ。かなりの広範囲、それを対象指定で一つ一つ対処しているのか、リス族(雄)達が押しつぶしているところ以外に地面に変化がないのが恐ろしい。


 誰も動けないなか、動き出したのはケーナだった。


『ケ、ケーナ!?今マコト様に接触するのはマズイですよ!?』


「うん、わかってる。ヤナギちょっと力貸してね?」


『あぁもう!タツヤ様に感化されすぎです!』


「【我が名の名の下に行使する】」


 ケーナの言ったことは誰にも理解されなかった。この世界では言語が統一されているらしく、リス族も聞くことは出来る、口が対応していない為発音できないだけだ。それはともかく、理解出来る言語ではないケーナが呟くとケーナに柳が入り込み、途端ケーナの存在感が増す。


 真とリス族(雄)達を遮るように立つケーナ。これ以上真も何かをするつもりはなかったので、押しつぶしは続行したまま子供達の傍までいく。リス族(雄)は顔を伏せているのでケーナのことは見えないが、見えたとしたら助けてもらえると思ったかもしれない。実際はケーナは真に背中を見せているが。


「おじさん達、カエデさん達に酷いことしたんだよね?」

「ブフフフフ!?」


 地面に顔を伏せられているので、リス族(雄)達は言い訳も出来ない。わかるのは真以外の脅威が表れて、自分達に敵意を向けていることくらいだ。


「私もアルランの一員で、町長の娘だから、たつにいにお願いして能力の訓練したんだ。たつにいとはケーナが大きくなるまでは力を使うのは控えてって約束したけど、けどね?」


 いつの間にかケーナの容姿が変わっている。髪の色は茶色から白へ、瞳も白くなり瞳孔が仄かに光っている。身体には白い霧を羽衣ようにまとわせ、偉そうな口調なリーダーであると思われるリス族の前に立つ。


「アルランが危ない時、友達が危ない時、パパとママが困った時は遠慮しなくていいし、なんなら俺を呼んでもいいからって言ってたんだ。カエデさんはお友達だから、ケーナこれでも怒ってるんだよ?」


 リス族(雄)のリーダーは呼吸がままならない頭で必死に考える。


 自分にいや、自分達に一体何が起こっている?人間のそれも雌に何かされているということはかろうじてわかるが、何をされているのかがわからない。身体の上に何か乗っているのはわかるが、自分の上に乗っかっているものが見えないので、同じくうつ伏せになっている仲間を見ても何も乗っていない。それなのに立ち上がる者がいない。


 怖くて跪くならまだわかる、敵わないなら背中を見せて逃げるならまだわかる、だが五体投地する意味がわからない。さらに幼い子供の声が・・・それなのに巨大な気配が自分の前に立つのがわかった。


 たつにい?約束?友達?何だ?自分達は何を怒らせたのだ?



「【雨が降る、雨は降る、雨が鳴る、雨は鳴る】」


 

 自分の前で立つ者は何を言っておるのだ?聞き取れない、聞こえているはずなのに聞こえない。



 

 ケーナが何やら唱えるとリス族(雄)頭上に白い雲が出来覆っていく。覆われる端からリス族(雄)達は意識を奪い取られいった。抵抗も反抗も無意味だった。覆われた先から力を吸われ、意識を落とされ、プライドを砕かれた。


 後になって真がケーナにどういう効果があったのか聞くと、たつにいに傷つけずに相手を倒すやり方を教えてもらったのと嬉しそうに説明した。達也曰く、相手の体力を削るか、意識を落とすか、プライドをめっためたにしてやればいいと。考えたケーナはいっそ全部やろうと決め、密かに用意はしておいたのである。

 

 ちなみにケーナの呪文も意味はない、ケーナの場合最後の発動キー(呪文名)も必要はない、ただイメージを固めるために適当な呪文は唱える。ただし、直接干渉しているため、単語を理解出来るものは限られている。


 ともあれ、力を吸われ、意識を落とされ、気を失っている間に悪夢を見せられたことでプライドも砕かれたリス族(雄)は悲惨なものであった。





ケーナ・アルラン


精霊 lv4 固体名:柳 位階―-―級



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