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アルランへの訪問者3

 さっきみたらポイントが555になっていて別の意味で嬉しい。ファイズ大好き。

 昼頃だろうか、カリルと名乗るボードルの秘書に呼ばれたので、真は1人で行くことにした。出来れば奏辺りに来てもらおうかと思ったが、仮宿から出ないとはいえ、子供達のお守りに残すことにした。


「じゃぁちょっと行ってくるよ、遥?彼方?結界は張ってあるし、何かあったら感知出来ると思うけど、もしもの時は時間稼ぎを優先にね?」

「「こと姉いるし、そうするよ」」


 ここだけ聞くと双子を信頼してないように見えるがそうではない。真の念での感知距離はアルラン全体を覆える程だ。相手が動いていない回避しない無抵抗という条件なら町の端から逆端にいる者に攻撃も可能である。遠距離すぎるので、さすがに精度は落ちるだろうが。どちらにせよ今から真がいくのは役場なので、仮宿からそう離れていない。そもそも双子の時間稼ぎも必要ない、襲撃があった時点でアルランの戦力では全滅するだろう。


 ケーナと柳はさすがに無理だろうが、あの組が真達に攻撃をしかけるとは真は考えていなかった。





 町の役場らしき所に案内された真は、ざっと周囲の生命反応を探り、複数で固まっていたり、監視しているような動きをしているものがいないのを確認しながら役場に入っていった。念のためで別に他意があってやっていることではない、参謀がいない分だけ真は用心深く生きてきた。何しろ自分が負ける=全滅に近い。達也程ではないが、それなりに死戦もこなしているので、何があっても対応出来るようにする準備は常に怠らなくなっていた。それこそ無意識レベルでだ。


 そのせいだろうか、真が無意識に垂れ流している威圧にボードルやカリルはともかく、それなりに力のあるフリッツやデニスまで気圧されていた。この場にはケーナはいないので当然柳はいない、殺気とかではなく、自分より大きな物に感じる畏怖なようなものなので、ボードル達は息苦しさを感じたまま、話し合いが始まる。


「う、うむ・・・えっとですな、アイダ殿」

「はい、何でしょう町長さん」

「あ、え~っとですな・・・」


 完全に年下の少女に気圧されていて、中々話が進まない。別に停戦協定やら外交取引を決めるわけではない。ぶっちゃけボードル達は何しに来たのかを聞くだけなのだが、それさえもまともに出来ない状態だった。


 真としては、何をそんなに言いよどんでいるのだろう、もしかして仮宿の請求かな?と見当違いな方向で不安を感じているのでさらに圧が上がっている始末だ。


 見かねたフリッツが胆力を振り絞り、真に聞く。


「アイダ、単刀直入に聞くがお前達は何しにアルランに来たのだ?」


 聞かれた真はあぁそういえば、お礼を言いに来たと軽く言っただけだったなと思い出す。実際そうなのだが、きちんと伝わっていなかったのかと。


「塩についてのお礼と・・・双子の件は達也にお礼を言うべきなのかもしれませんが、今回僕達が来たのはお礼を言いに来た・・・といえば、それだけです」

「・・・お礼を言いに全員で来たのか?」


 フリッツは呆れたように声をあげるが、構成メンバーを思い出し真が動くなら集団全員で動かざるを得ないのだということに思い至り、納得したように頷いた。


「いやそうか、全員で来ざるを得ないのか」

「はい、何せ子供が多いので、置いていくわけにはいかなかったんですよ」


 交渉を行うなら自分たちが子共しかいないことを隠すべきだが・・・ここが参謀のいない真達の弱点とも言える。情報の秘匿を考えていない、というより素直すぎた。とはいっても、今の段階で真達をどうにかすることはケーナと柳を除いてアルランにはいないが。


「アイダ・・・あまり自分達のことをペラペラ喋るな」

「あ、はい・・・ありがとうございます?」


 フリッツとしては、実力はともかくこういった交渉に慣れていないリーダーを窘めたつもりだったが、真としては親身になって注意してくれるとは思っていなかったらしく、意表をつかれたようで、その場の圧が下がった。途端何人かが息を大きく吸い安堵したように顔を見合わせあう。


 空気が弛緩した直後、静かな怒りの篭った声が部屋の入り口から聞こえてきた。


「・・・お主らはユウナの次はこっちのお嬢さんに迷惑をかけているのかえ?」


 アルランの薬師エネスの登場にその場にいた男達は新たな脅威に恐れ戦いた。真は得たいの知れない怖さだが、エネスは違う。男達が小さい時からアルランにおり、アルランに住んでいれば必ず顔を合わせることになるのが薬師だ。地位がいくらあろうが根本的なところでは頭が上がらない人物の1人それがエネスである。


 そして、エネスは真の話を治療の合間に聞き様子を見に来たのだ。そして部屋に入ってみたら大の大人が小さな女の子を囲んで何やら息苦しそうにしているではないか、息苦しいのはこんなところにいる少女の方じゃろうが!と一瞬で怒り心頭になり荒々しく部屋に入る。


「いやいやいやいや!?エネス婆様どうしたんですか!?え?また手伝い必要なくらい忙しくなりました?」


 慌ててルッドが婆様に駆け寄るが・・・エネスに一喝される。


「だまらっしゃい!!!」

「ひぃぃぃ!?」


 また僕がとばっちり!?と思うが、今回は本当に思い当たるふしが・・・いや、まてお嬢さんに迷惑とエネス婆様は言ったよね?とルッドを思い出し、恐る恐る声をかける。


「えっと・・・エネス婆様?僕達はアイダさんの話を聞こうとしているだけで、その迷惑とか嫌がらせとかしようとしているわけではないよ?」

「ふんっ!それならボードル1人でいいじゃろうが、なんでこんな大人数で・・・大方その娘が見目麗しいのと物珍しさで集まっておるんじゃないのかい?」

「い、いや・・・そんなことは」


 名目上は真達との交流の為、有力者が集まってはいるが、確かに物珍しさもあるかもしれないと男達も考えたのか、一斉にばつが悪そうな顔をして真に謝りだした。


「すまねえな、嬢ちゃん」

「俺たちは別に嬢ちゃんを脅そうとか、何かしようってつもりじゃなかったんだが」

「確かにおっさんがたくさんいる中に嬢ちゃん1人じゃ怖いわな」

「誰が怖顔だ!」

「うるせえ!黙ってろ!キサラギのことがあったせいか、こっちも必要以上に警戒してしまったみてえだ、すまんな嬢ちゃん」


 と、どうやら何割かは達也が悪いらしい。達也からしてみれば、とんだとばっちりだが、アルランでしたことを考えると自業自得な面も確かにある。


 真は達也が?と少し考えたあと微笑んだ。今までピリピリした空気を纏っていた真は見た目が整っているせいで中世的に見えるが、それでも色っぽさを加味すると美少女である。今まで怖かった分の上書きするくらいの雰囲気に部屋の男達がだらしない顔に・・・




 そして、エネスは鬼の顔に。

 


 

 ルッドは狩人の勘で窓から逃げ出した。扉の方には鬼がいる。自分には妻がいる娘がいる・・・逃げねば!




 が、駄目だった。エネスは歳に似合わない俊敏さで動き、ルッドが窓に足をかけたところで襟首を掴み引き摺り倒した。そして、懐から何かの袋を出すと男達に投げ、袋に入っていたのは粉だったのかピンク色の煙が吹き上がる、咽たりすることもない異様な空気の中、エネスは真の手を掴み悠々と部屋を出た。


「え?え?あの?お婆さん?町長さんたちは・・・」


 よいからよいからと手を引かれて真が最後に後ろを見たのは、ボードル達が呻きながら昏倒している姿だった。え?一応念で防いだけど、これ無差別?と真は思うが、その質問にはエネスが答えてくれた。


「大丈夫ですじゃ、あれは男・・・大人の男にしか効かないように調整されておりますのでな」

「え、あ、はい・・・えっと?」


 別の部屋に案内された真は戸惑いながらも出された茶を飲む。飲んだ真の表情が変わる。


「美味しい・・・」

「ほっほっほ、ユウナ達もこれを気に入っておったのでな、好きなのではないかと思いましたが」

「優菜ちゃんが・・・これはアルランの?」

「アルランというよりは私お手製の薬草茶ですな」


 さっきの鬼婆はどこにいったのだろうか、今いるのは孫を可愛がる老婆と真がいるだけだ。真は細かいことはいいかと、エネスに出された薬草茶を飲んで落ち着く。今考えたら自分も緊張して何か粗相をしてしまったかもしれないと思い始める。


 しかしそれを察したのかエネスが話しかけ始めた。


「それでアイダ・・・マコト殿でしたかな?」

「あ、はい・・・えっと真でいいですよ?」

「それじゃマコト殿、アルランに何をしに来たのですかな?」

「えっと・・・町長さん達にはお礼を・・・その・・・本当は双子が内緒にしていたんですけど、僕の能力で誰のことを言っているかわかっていたので・・・そのいるかな?って期待したのもあって・・・えっと・・・」

「あぁ大丈夫ですよ、落ち着いてお話くだされ。ここにはこのエネスという老婆しかおらんので」

「はい・・・ありがとうございます」


 19歳なら大人といえるかもしれないが、それでも頼れるものなしに子供を保護し続け、その後も面倒を見続け、外敵を排除し・・・時には人殺しにも手を染めた。とうに壊れていてもおかしくはないが、真の精神が強靭・・・そしてコワレルことに適正があったのかここまで持った。だが、余裕が出来てきた最近ではふと自分は何をしているんだろうと考えることがあるのだ。


 特にlv4に慣れたあたりでは、自分が動くことなく、怪物も人間も排除出来るようになった。伊藤という男性が中心になったグループと交戦した以外はそれこそ指一本動かすことなく、対処できてしまったのだ。


 そんな折双子が旅に出るといいだした・・・真はもちろん反対、嫌許可しなかった。この集団のリーダーは何だかんだで真がしている。リーダーに反してまで旅に出るならそれはそれで真はいいと思っていた。この双子の能力なら二人だけでも生きていける。


 しかし双子は真に納得されるまでは旅に出なかった。それこそ何十何百と訓練の成果を見せられ続け、ついに真の方が折れて許可を出した。旅に出るにあたって双子は何が必要と真に聞いた。食料は奏がいるので最悪何とかなるが、栞の能力が定まった為に問題はなかった。問題は塩だ。塩がおいてあった所は軒並み他のグループに確保されてしまっており、真達のグループには塩がなかったのだ。醤油とかがあるので、そこまで必要ではないが、塩の確保は頭の痛い問題ではあった。それを双子に・・・そうポロっと、必要といえば塩かなと言ったばかりに、「「わかった!期待しててね!」」と飛び出していってしまった。


 行ってしまった後は・・・真の能力圏外に出てしまっては、真には何も出来ない。そうして一月ほど経った頃、双子は帰ってきた。水につけると塩水を生み出す。不思議な白い棒をもって。帰ってきた双子にとにかく僕達がいた町に真を連れて行きたい、会わせたい人がいるんだ!としきりに催促された。双子は隠しているつもりだったが、真の能力・・・いや、言葉の端々からも達也のことだろうなとは感じ取れた。


 念lv4・・・念動力の他にサイコメトリー、思念を簡単にだが読み取れるようになっていた、真は二人が思い出すイメージから達也のことだと確信していた。


 真が出会った時は奏のことが気になって、すぐにわかれてしまったが。怪我をおしてでも3人を守っていた姿は今でも覚えている。達也がいるならいこうかなと考えるが、子共達・・・精神的に参っている子達がいるのを思い出し、思いとどまった真だったが。当の本人達から外に出てみたいと催促され、アルランへの出立へ踏み切ったのだ。


 そんなことを支離滅裂ながらもぼそぼそと呟く真に忍耐強く聞き続けたエネスは、話疲れて眠ってしまった真を送る為に部屋を出る。薬草茶には飲んだ者をリラックス・・・配合した優奈が言うには心が休まる効果があると言っていた、それを思い出したエネスは、役場に来た時に真を見た印象からこれが必要だと感じ真に振舞ったのだ。


 今までは気丈に振舞っていたが、真にだって悩みはある、奏が親友故に話せないこともある。そんな真を見て、達也のことを思い出したエネスは、話くらいなら聞いてやれると考えたのだ。結果真は椅子に座ったまま寝てしまったので、仮宿に運ばせる為、ボードル達がいるであろう部屋を開ける。


「エ、エネスさま・・・わしらがいったいなにを・・・」

「ふむ・・・ちょっと効果が強すぎたかね?・・・動ける者はおるか?手を貸して欲しいのじゃが・・・」

「僕は何とか回復してきましたけど」

「ルッドか・・・そうじゃな、お主に頼むか、ちょっとマコト殿を運んでおくれ」

「アイダさんを?」


 ルッドは森の狩人の能力故か、元々の狩人としての素質か薬に対する抵抗があったようで、動けるようになっていた。それを見てエネスは運び手にルッドを指定し運んでもらうことにしたのだ。


 不思議そうなルッドを従え真のいる部屋に入ったエネスは真を運ぶことを再度命じる。ルッドはエネスにも手伝ってもらい背負う形で真を仮宿まで運んだのであった。


 子供達は真が無防備に寝ていて、それも大人の男に背負われているのに恐慌を来たしそうになったが、双子の取り成しで大事には至らず、また、エネスが親身になって介抱したことで落ち着いた。それからエネスは体調が悪いものはいないか薬師の本領を発揮して、真が起きるまで子供達の面倒を見たのであった。




 結局この日も話が出来ずに終わってしまったのである。

あ、あれ?1日で終わる予定だったけど、思いの他書けてしまった・・・。

もうちょい続く?かも?



ボードル「ところで薬師様、あの時のピンクの煙は何だったのですか?」

エネス「あれかい?ユウナと一緒に調合したのじゃがな・・・大人の男のみに効く痴漢撃退用最終兵器?といっておったかな?効果はお主らが身をもってしったじゃろう?」

ボードル「私としてはケーナが生まれたので別にいいのですが、出来れば若い者に使うのは・・・勘弁してやってください」


*痴漢撃退用最終兵器(弱)

 男性の性器が腫れて痛みに気を失う。弱なので意識は残るが動けない程の痛みが発生する為、動けなくなる。効果は2~3時間程。

(強は今日から女の子に慣れるよ♪  byハカセ)


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