表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
90/149

アルランへの訪問者

 達也達がアルランから旅立って一月ほど経ったある日、冬が完全に終わり、春の暖かな日差しがアルランにも降り注いできた頃、アルランへ新たな訪問者があった。


「いや~2ヶ月ぶりだね」

「兄さん達まだいるかな?」

「「とりあえず来ちゃった♪」」

「ふふ、随分とご機嫌だね、二人とも?」


 アルランから塩の角、白炎の角を持ち帰った双子、遥と彼方がアルランを再び訪れていた。

 

「それで、あの壁に囲まれた町がアルランなのかい?」

「そうだよこと姉!」

「あそこにこと姉みたいに」

「「とんでもなく強い人いるんだ!」」

「全く、徹底して名前どころか特徴さえ教えてくれない・・・だけど会って欲しいと毎日催促するし、そりゃ塩を解決してくれたその人にはお礼を言わなきゃいけないと僕も思うよ?けどねぇせめてどんな人かくらいの説明はあってしかるべきだと僕は思うんだけど?」

「「ひみつ~♪」」

「これだよ・・・」

「まぁまぁことちゃん、とにかく守衛さん?に入っていいか聞かないと」

「確かにそうだねかなで、僕と遥と彼方はともかく、他の皆は休ませてもらないとね」

「「「「だ、だいじょうぶだよ!」」」」

「そんな生まれたての小鹿状態で、説得力ないよ君達?」


 ことちゃんと呼ばれた娘が後ろを見やれば、足をプルプルさせながら必死に歩いている子共達が見える。見える限りでは一番の年長者でも15もいっていないだろう。この集団に大人と呼べるものはいないようである。身長や姿形では年齢は測れないが、第三者の目からは大人はいないと思われるだろう。


 ここが異世界ではなく、弱肉強食を体言していなければ、ピクニックに見えるかもしれないが、一応命がけでアルランまで来たと、子供達は思っている。


 とはいっても、危険な生物や危ない場所は双子とことと呼ばれる娘が全て排除したようだが。それでも移動するだけで、幼い子供達にとっては命がけであった。慣れない野宿に体調を崩す子もいたが、そういった子はことが直接運ぶことで、一行の歩みは止まることはなかった。いや、休憩を多くとりすぎると逆に危険が多くなると考えたことによる強行軍に近かった。


「ほら、皆・・・もう少しだから頑張ろう?無理そうなら僕が運ぶからさ」

「「「「だいじょうぶだし!むしろこと姉運んじゃうし!」」」」

「ふふ、とにかく頑張って皆」

「ことちゃん、誰か出てきたよ?」

「「あれはケーナちゃんだ!」」


 叫んだ双子が一向から離れ・・・ようとしてことに強制的に止めさせられた、双子は文句をいうことはない、むしろ冷や汗を垂らして許しを乞い始める。


「「こ、ことお姉さま?」」

「うん?なんだい?」

「「ひぃぃぃぃぃ!?」」


 ことは笑顔だ、怒っているようには見えない、けど双子には守りを放棄してどこにいこうっていうんだい?と言ってるように見えるらしい。


「「ふーふぃーふー」」

「鳴らない口笛を吹かないの・・・あの子がケーナちゃん?僕達の仲間と比べても随分と幼く見えるけど」

「「兄さん曰く、アルランで俺に勝てそうなのはケーナちゃんと柳だって言ってたよ」」

「確か蛇の精霊使いだったね?」

「「そうそう」」

「それに町長さんの娘さんだというし、失礼ないようにね?皆?特に・・・遥?彼方?」

「「ちょ!?言いがかりだよ!」」

「ことちゃん、ケーナちゃん以外の人も・・・わぁ白い蛇さんも出てきたよ」

「奏・・・あんまりはしゃがない、また体調悪くなるよ?」

「あ、ごめんね?でも最近は安定してると思うよ?」

「それでもだよ?」

「う、うん」


 ことに窘められた、奏は顔を真っ赤にしている。顔が近いのである。ことは男装すればイケメンになりえる整った容姿をしているので尚更だ。僕っこでもあることが拍車をかけている。








「やいやいやい!お前達はなんだ!」

「よさんか、ケイ!・・・見たところ女子共・・・いや、子共しかいないようですが・・・君達はいつぞやの双子では?」


 ケイが威勢よく前に出ようとして、フリッツに窘められて後ろに下げられ、代わりに町長であるボードルが前に出てきた。


「「お久しぶりボードルさん」」

「おね~ちゃん!」

「とと、ケーナちゃん久しぶり」


 遥を確認したケーナが真っ先に遥に飛びつく。そこで遥と彼方は不思議に思った。ケーナが外に出てるなら達也兄さんも出てきそうなものだけど?と。


「「ケーナちゃん?(達也)兄さん達は?・・・わぁ!?何で泣くの!?」」


 達也の部分だけ双子が小声で聞くと、ケーナが目に涙を貯め、ポロポロと泣き始める。双子は大慌てだ。


「やれやれ、いきなりの対面で泣かすものじゃないよ・・・こんにちわケーナちゃん?」

「・・・ぅ~だれ?」


 ことはケーナの視線を合わせる為しゃがむ、それを見たケーナはたつにい達みたいと、じっとことを見る。


「僕は相田真あいだまことと言うんだ、仲良くしてくれると嬉しいな?」

「たつにいといっしょ?」

「たつにい?一緒?・・・ん~多分違うかな?でも仲良くして欲しいな?」

「うん、仲良くする・・・あのね?これヤナギ!」


『これとは・・・随分ですねケーナ』


 これ扱いされて不服そうだが、さっきから黙っていたのは真達の心を精霊故の感応力で確かめ敵意がないことを確認していたからだ、特に害意がないことは感じとれたので、安心して柳も挨拶をすることにした。


『私は柳です。ケーナの精霊です』


「精霊さんですか・・・僕は相田真、よろしくお願いします」


『ええ、出来れば・・・本当によろしくお願いします。(達也様程の圧力はありませんが、この方・・・アルランくらい一晩で潰せそうな力を持っていますね・・・人間とは一体・・・)』


 柳の心配事が増えた瞬間である。今のところ力量がわかるのは柳だけだ・・・つまり喧嘩を売られると厄介なことになる。柳はそう判断してアルランの人間側に釘を刺そうとする。


「やいやい!精霊様にとりいろうとは不逞野郎だな!何が目的だ!?」


 一歩遅かったが、表情は特に変化せずに真は対応する。


「僕は一応女なんだけどね・・・別に取り入ろうとはしてないよ?」

「ああん!?なめた女だな!」


 連日の訓練で力をつけてきてるせいか増長してるものもいるようだ。慌ててフリッツもボードルも止めようとするが、何せ数が多い。リス族はこの場にいないのか、力だけで止めるには抑止力が足りなかった。それにしても、双子の戦闘力は訓練で知っているはずなのに、たった二ヶ月前のことをもう忘れているようである。


 ボードルとフリッツ等としては、双子の戦闘力を知っているし、しかもその主であるらしいこの少女、見た目で強さが計れないのは達也で十分に思い知っている。嫌な予感しかしないのだ。


「「う~ん、こと姉に私(僕)達の前で喧嘩売るなんて・・・」」


 双子としては自分の大好きな人を侮辱されれば、一瞬で臨界点突破して噴火である。おこである。ボードルさんには悪いと思いつつも一度目に物見せてやろうとして、止められた。


 言葉でない。


 真は特に何もしてない。


 けど双子は動きを止め、いやその場にいるもの全員の動きが止まった。


 唯一動けるのは、未だにへばっている子供達と奏、それにケーナだけだ。


 場を作り出した真は薄く笑みを浮かべて自分に喧嘩を売ったおじさんを見る。


「すみませんね?こちらの子達・・・見た目通り子供なので、あんまり刺激しないであげてください、しつけは僕の方でしておきますから「「ヒィィィィ」」。それと、別に柳さんに取り入ろうとしてないので、それだけはご理解くださいね?」

「お・・ぅ・・・が・・・う?」


 別に真は何もしてない、だが、見られている男達は動けない、息の仕方が思い出せない・・・こんな経験は達也の怒りを・・・埋められた時以来の恐怖が脳裏に蘇る。


「「「ひ、ひぃぃぃぃぃぃぃ!!!」」」


 達也程は威圧出来ないのか、それとも耐性がついたのか男たちは四つんばいながらも町の方へ逃げていく。


 そんな男達を見る真にケーナが抱きつく。


「あのねまこねえ?」

「おや、ニックネームつけてくれたのかい?ありがとうケーナ」

「うん、えっとね?おじさん達はケーナがお仕置きするから許して?」

「・・・ケーナがするのかい?」

「ケーナじゃ難しいからヤナギにお願いするの・・・だめ?」

「わかったよ、別に私は怒ってないんだけど・・・怖がらせちゃったかな?」

「うそ!たつにいみたいだったよ!」

「たつにい?もしかして塩くれた人かな?」

「たつにいに会いに来たの?」

「う~ん、その様子だといないみたいだけど、一応会えたらお礼は言うつもりだったよ?」

「そうなんだ・・・たつにいいないの」

「そっか、でも会えなくなった訳じゃないんでしょう?」

「・・・うん」

「じゃぁケーナも元気でいないとね?たつにいが来てもがっかりしちゃうよ?」

「ケーナもう元気だよ!もう病気ならないもん!」

「(だったのか)・・・どうかな~?今のケーナ見てるとそうは思えないかな?」

「む~!まこねえもいじわる!」

「あはは、ごめんよ」


 和む二人にボードルが恐る恐る声をかける。


「そ、それでアイダ殿?アルランの町へは・・・何をしに参ったのですかな?」

「おっと、すみません、改めまして相田真です。塩の件でお礼を言いに来たのと、交流を結べないかと思いまして」

「なるほど、キサラギ殿がいた場所から来た方ですかな?服装が・・・似ておるのですが」

「キサラギという方は存じませんが・・・同じ町からは来たのかもしれませんね、僕達の服装に驚かないなら」


 双子からアルランの文明レベルも聞いていたので、真はすぐにキサラギというのが自分達と同じ世界から来た人とあたりをつけた。それに双子が兄さんと呼ぶ人物、ケーナがたつにいと呼ぶ人物、そしてキサラギという人物・・・つまり、自分達を救ってくれたのはキサラギ(たつにい)という人物なのだろうと。


「そうですな、キサラギ殿からももしかしたら来るかもしれないと話は聞いておりましたので、少し手荒になったのはすみませぬ、敵対するかもしれないと聞かされていたもので」

「いえ、それでいいと思います。僕達のいたところは基本的に仲間以外は常に奪い合い、殺しあってる状況ですから」

「なんと・・・こんな子共しかいないのにですか」

「最近は落ち着いてきましたが・・・最初の頃は本当に酷かったんですよ」

「そうですか・・・キサラギ殿はそのような場所から来たのですな」


 最初の方でキサラギという人が町を出たのは英断だと真は思った、真としても早々に外に出るべきだとは思っていたが、如何せん守る対象が増えすぎていた。これだけの人数、衣食住を揃えるのに時間がかかってしまったのだ。今はどうにでもなる・・・そういう能力者が育ったからだが。


 そこでふと真は思い出した、キサラギ?たつにい?もしかして?


「先ほどから町長さんが言っている・・・キサラギってもしかして如月達也のことですか?」


 これには双子とケーナの反応が劇的だった。


「「ええ!?こと姉、達也兄さん知ってたの!?」」

「まこねえ、たつにいとお友達?」

「知っていたし、友達・・・といえばそうかも?一応旅の同行に誘われたし・・・それじゃぁ優奈ちゃん達も元気なのかな?」

「うん、たつにいと一緒にでかけたよ」

「そう・・・良かったよ、なるほど達也がいたのか、それなら遥と彼方が負けたのもわかる」


 最初遥と彼方が歯が立たなかったと聞いたとき半信半疑だった。真には適わないとはいえ、二人の能力と身体能力は真も認めるほどの戦闘力を秘めている。真の力になりたいと目標があるので努力も訓練も怠らないので尚更だ。

 そんな二人が適わなかった竜を下し、二人がかりでも子共のように遊ばれたという兄さんという人物は一体どんな化け物なのかと・・・正直アルランに来るのには躊躇したのだ。真の力で適わなかったら、もしかしたら双子は撒き餌で、アルランにノコノコきた自分達を殺す為の罠ではないかと。


 しかし達也という話を聞いて真は安心した。短い時間しか一緒にいなかった、言葉もそう交わしていないが、3人娘を保護しているあの青年は信用できた。奏のことがなかったら、いや、奏が傍にいたら旅に同行していただろう。


 それに力の一端を見た限りだが、満身創痍であの威力は・・・今の僕なら彼と戦えるだろうか?いや、戦いたい訳じゃないけど、自分以外のlv4がいるとしたら達也だろうと思っていた。


「アイダ殿?如何なされた?」

「おっと・・・すみません・・・えっと?3人共どうしたの?」

「「「たつにい(達也兄さん)のこと知ってるの!?」」」

「だからそうだって・・・どうしたのさ3人共?」


 何故か興奮しだした3人を宥めつつ真はボードルに許可をとり町に入れてもらう。一度足を止めてしまたせいか、眠ってしまった子は真が運んでいった。浮遊しながらついてくる子共に町の人間は目を疑ったが、いつの間にか流れたキサラギタツヤの関係者らしいという噂により、納得され奇異の目を向けるものはいなくなった。


「達也・・・この町で一体何をしたのさ?」

「ことちゃんことちゃん?」

「何だい奏?」

「達也さんってたまにことちゃんが話してくれた良い人だよね?」

「・・・今その話は・・・」

「「かなねえ、詳しく!」」

「遥、彼方・・・少し大人しくしてくれないかい?」


相田真

能力 ”念 lv4”


 ところで、何か急に見ている人が増えているようなんですが、緊急メンテで何かバグってる?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ